卒業生にインタビュー 就活時期、インターン、進学……廣津留すみれのハーバードからの手紙(11)

バイオリニスト 廣津留すみれ

バイオリニスト 廣津留すみれ

前回はハーバードの学生の就職観について紹介しました。今回は実際にハーバード卒業後に金融業界に就職した2人と、コンサルティング業界に就職した1人の計3人にインタビューしました。リアルな声をお聞きください。

Aさんはハーバード大学2015年卒、大学4年間で学士と修士の両方を取得してしまった、私の尊敬する先輩の1人です。すでに金融業界から転職して、現在テクノロジー業界で働いています。Bさんは2016年卒の同級生で、現在ウォール街の金融業界で働いています。CさんはワシントンDCでコンサルをしている同級生です。

―― いつから就職先を探し始めましたか?

Aさん 金融の定量分析に高校時代から興味があり、高校卒業後の夏休みから仕事を探し始めました。当時ローファームでのインターンシップか数学の教師という2つの選択肢があり、まず金融業界で成功している人とのコネクションをつくるために、数学を教え始めました。金融業界では数学コンテストに参加している人が大変多いため、教師としてそれに参加することで有益なコネクションを築くことができました。

Bさん 大学3年生の始めです。

Cさん 3年生を終えた夏にコンサル面接の準備を始め、秋学期にすぐに就活を始めました。

Summer in JAPAN 2016(※)に参加したハーバードの仲間と

―― インターンシップ経験は役に経ちましたか?

Aさん 大学4年間で、金融取引と銀行業の様々なインターンを経験しました。実際の職務を通した貴重な経験ができたのはもちろんのこと、どんな内容の仕事が良いか、ワークライフバランスが整っているか、どのような人たちと一緒に働きたいか、というポイントをよく理解できて、最終的に自分の就く仕事を決めるのに大変役立ちました。

Bさん インターンシップは、職探しのスターティングポイントとして利用しました。役に立ったのは、インターンでの自分の上司が、興味のある業界の人とのコネクションをつくってくれたことです。

Cさん インターンシップ経験はなく、長期休暇は研究をしていました。

―― 短期的・長期的どちらの仕事を探しましたか?

Aさん 大学時代も、卒業した今も、スタートアップで働くことに常に興味を持っています。つまり、成功したスタートアップは結果的に長期的な職になりますが、多くの場合、スタートアップはその不安定さから、雇用者・被雇用者両方の視点から見ても短期的な職となりがちです。

Bさん 長期的な仕事を探しました(筆者注:このあと詳しく質問したところ、彼女の意味する「長期的」は2-3年であることがわかりました。認識の違いを実感した瞬間でした)。

Cさん 新卒でコンサルティングに就く場合、何か他の仕事を始める前のステップとして2、3年働くものだと思っています。

―― 就活中、大学院への進学も考えましたか?

Aさん ロースクール・ビジネススクール・アカデミアへの興味はあります。しかし、直近の将来でその道に進むことは考えていません。大学院で学ぶ内容は豊富な仕事経験の上に積み重なるものだと思うので、大学院に進む前に、仕事でしっかりと問題解決能力を磨いて基盤を築いておきたいです。

Bさん 大学院への進学は考えず、金融業界への就職を中心に職探しをしました。

Cさん ビジネススクールへの進学を考えています。

Summer in JAPAN 2016(※)の授業風景

―― ハーバードの学歴を持っていても就活中に難しいと感じたことはありましたか?

Aさん 自分が持つ技能を求められている仕事を探すのも大変ですが、何より自分に合った仕事を探すのは、より大変です。たくさんのインターンシップと実際の仕事を経験してみて、私はお金を稼ぐことよりも何かを築き上げることの方が、はるかに幸せであることにやっと気がつきました。気がつくまでかなりの時間がかかってしまったので、最初に異なる道を選択して視野を広げられたらよかったとも思いますが、今自分に合った職場で働けていることが、幸運だと感じています。

Bさん 一番難しいと思ったことは、その業界での職務経験がなくても、すでにたくさんの知識を持っていると期待されていることです。もちろん仕事を進めるにおいてその知識を得ることはできますが、常に他の学校と比較されるため、ハーバードの学歴があっても就職は思うほど簡単ではありません。

Cさん 自分が応募したのはハーバード大生のみの採用枠だったため、学歴以外に自分を他の学生から差別化するものが必要だったことです。

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いかがでしょうか。前回と今回で述べたハーバード生のビジョンの描き方・統計・3人の回答を照らし合わせると、日米の考え方の違いや、逆に似ている部分も分かっていただけたと思います。

さて、次回からは「ジュリアードからの手紙」というタイトルのもと、新連載をさせていただくことになります。ハーバードでの大学生活とはまたひと味違う、ニューヨークのジュリアード音楽院での生活を日本の皆様にお伝えできれば嬉しいです。引き続きどうぞよろしくお願いいたします。

※Summer in JAPANとは、英語教育・国際交流プログラム・地域における優良な教育機会の提供を3つの柱に、ハーバード生が講師の7日間英語サマースクールです。詳しくはこちらをご覧ください。

廣津留すみれ(ひろつる・すみれ)
1993年生まれ、大分県立大分上野丘高校卒、米ハーバード大4年生。英語塾を経営する母親の影響もあり、4歳で英検3級に合格。3歳から始めたバイオリンで高1の時に国際コンクール優勝。大学では2団体の部長やオペラのプロデューサーなどを務める。2013年からハーバード大の学生らとともに子どもの英語力を強化し表現力やコミュニケーション力を引き出す英語セミナー「Summer in JAPAN」を大分で開催している。
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