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なぜ米国の大学を選んだのか? ~誰もが「プラスα」を追い求める

廣津留すみれのハーバードからの手紙(2)

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NIKKEI STYLE

初回はハーバード大学で生き抜くための条件と、入試までの道のりをお届けしました。今回は、日本ではなく米国の大学を選んだ理由とその成果を中心にお伝えします。

 米国の大学を選んだ理由は、大きく2つあります。まず、大学の機能です。高校2年生の春、バイオリンの演奏ツアーの帰りにキャンパスを訪れた際、学業だけでなく、好きなことが何でもできる雰囲気を強く感じました。

自分が成長できる場所はどこか?

ハーバード大のあるケンブリッジ(マサチューセッツ州)は、街全体が学校という、いわゆる「大学都市」。全寮制であることや、生徒が皆自主的に様々な活動をしていること、それらすべてが新鮮に感じました。中でも惹かれたのは課外活動と学業の両立です。

3歳から高校卒業までバイオリンは私の生活の一部でした。ですからバイオリン演奏を続けられる進路を選ぼうという考えは全くぶれませんでした。一方、地元(大分市)の進学校で仲間と切磋琢磨した経験から、もっと勉強したいという意志も強くありました。

そんな中、ハーバード大のキャンパスを訪れたわけですが、在校生から大学生活の話を聞くにつれ、彼らが全力投球しているのは学業だけではないことを知りました。新聞のライター、フットボールの選手、ミュージカル女優、Webデザイナーなど、いくつもの顔を持ち、目を見張るほどのタイムマネジメントスキルを使って、クオリティを落とすことなく両立しているのです。

これだ、と思いました。ハーバード大に入って音楽と学業の両立を実現したい、そう決断しました。

学生の誰もが「プラスα」を追い求める

米国の大学でも、学業と課外活動のバランスは学校によって違います。ハーバードは風潮として特に課外活動に力を入れる方だと思います。どんなに忙しくても課外活動に全力で臨み、短い時間で集中して勉強することで効率も上がり、時間の使い方が上手になってきます。

実際の課外活動を具体的に説明します。私は、1年生の時からオーケストラや室内楽団でバイオリニストとして演奏活動を続けていますが、先学期はオペラのプロデューサーの仕事を務めました。

スタッフのリクルーティングに始まり、会場の確保、キャストのオーディション、リハーサルや舞台装置設置のスケジューリング、予算や進捗状況の管理、宣伝活動などが仕事です。学校の授業や宿題、バイオリンの練習をこなしつつ仕事を全うするのは至難の業で、特にタイムマネジメントとスタッフとのコミュニケーションが最も大変でした。

今回はボストンで活動しているプロの歌手を交えオペラを上演しました。学生の企画とはいえ仕事の質は落とせません。むしろ、他のオール学生プロダクションの上をいかなければならないプレッシャーが常にありました。私の仕事の1つはスタッフに仕事を割り振ることでしたが、スタッフが皆与えられた仕事をこなすだけではなく、仕事の中にプラスαの価値を追求する姿に驚きました。

一緒にオペラを作った仲間を何人か紹介したいと思います。テクニカルディレクター(技術責任者)は主に舞台装置がスムーズに動くように技術関係のオペレーションを統括します。今回仕事を任せたアメリカ人の学生Aは高校時代に陸上で全国レベルの成績を残し、今は大学で歴史学を専攻しながら、彫刻の製作や詩の制作に取り組んでいます。

Aが特にこだわったのは舞台照明でした。舞台セットの木の素材とそれに巻き付ける照明のデザインが1度決まっても、何度も手直しをして、自分の理想の形を作り上げるまで土日も劇場に足繁く通う姿が印象的でした。完成させれば終わり、ではなく、自分の満足のいく作品をつくるまで努力する彼の「プラスα」が心に響きました。

また、ミュージックディレクター(音楽監督)は歌唱指導やオーケストラの指導をします。今回はボストンでWeb関係の仕事をしながら歌唱指導やリサイタルの伴奏をこなす、昨年卒業した物理学専攻の先輩にお願いしました。彼女は普段は穏やかですが稽古中は伴奏しながら舞台に目を光らせて相手がプロであろうと生徒であろうと声量や滑舌、細かい発音について厳しい指摘を飛ばします。OnとOffの切り替えが上手なので周りからも信頼が厚く、尊敬する先輩の1人です。

その他にも、医学部の試験MCAT(Medical College Admission Test)を受けながらほぼ毎日の稽古や裏方すべてを仕切るディレクター(演出家)や、ピザを頼もうとするスタッフを冷静になだめるフィナンシャルマネージャー(財政面を担当)など、ありとあらゆる「プラスα」を持ち寄ってくれるスタッフに恵まれました。

素晴らしいプロ意識を持ったスタッフやキャストと仕事ができるので、課外活動は学業に劣らず大切だと感じています。

グローバリゼーションの大転換期を生きる

アメリカの大学を選んだもう1つの理由は、自分の成長です。日本の大学にも合格していましたが、外に出ることで自分の殻を1つ破り、新しい学びや物の見方ができると判断して米国大への進学を決めました。

グローバリゼーションは、「テクノロジーの発達により輸送費と通信費が安くなり、ヒト・モノ・金・情報等が国境を越えて動くことで、世界的規模で困難な諸問題を解決に導く」流れだと理解しています。

私がハーバード大に入学するきっかけは、地元大分でたまたま見つけた、ハーバード大のホームページです。どこの大学に行くか全く考えていなかった私にとって、インターネットで直接応募できるアメリカの大学のアクセスの良さはとても魅力的でした。「私」というヒトの移動は、まさにグローバリゼーションのおかげです。

とはいえ、入学当時私がイメージしていたグローバリゼーション(世界の歴史的流れ)と、マーケット・グローバリズム(グローバル企業の動向)は違います。

米国はマーケット・グローバリズムの本拠地のようなイメージがありますが、米国人の中でももちろん地元で小売りをしている人もいれば、地域医療をしている人もいて、大分市のパン屋や小児科医院と同じように隣近所のやりとりで社会に貢献しています。

一方、グローバル企業は、自国というより自社の利益と拡大を優先しつつ世界を変えていくことを目指しています。そういった企業や団体のマネージャーになるか、世界を変える画期的なスタートアップ(起業)をやらない限り、米国にも日本にも、どこにも等しくグローバリズムとは関係のない人は出てきます。

そんな転換期に生きるなか、自分はどうするのか? どうしたいのか? 何ができるのか?......。ここが分岐点となります。

ハーバード大の学生は皆、「世界を変えたい」「現状に常に疑問を持つ」「変化し続ける」という共通の想いを抱いています。学業や課外活動はもちろん、マララ・ユフスザイ(ノーベル平和賞を受賞したパキスタン出身の女性人権活動家)、潘基文(国連事務総長)、ルネ・フレミング(米国のソプラノ歌手)などゲストによる講演会が毎週のようにあります。自分を磨くチャンスを最大限に活かし、仲間と高め合える環境のもとで4年間を過ごせることに感謝しています。

廣津留すみれ(ひろつる・すみれ)
 1993年生まれ、大分県立大分上野丘高校卒、米ハーバード大4年生。英語塾を経営する母親の影響もあり、4歳で英検3級に合格。3歳から始めたバイオリンで高1の時に国際コンクール優勝。大学では2団体の部長やオペラのプロデューサーなどを務める。2013年からハーバード大の学生らとともに子どもの英語力を強化し表現力やコミュニケーション力を引き出す英語セミナー「Summer in JAPAN」を大分で開催している。

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