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「働いて、学んで、遊んで、暮らす」 大学生が考えた未来の丸の内とは?

2018/9/26

20XX年のある朝、大企業やベンチャーが集う活気あふれる東京・丸の内。スタートアップに勤めるヒトミは、カフェに立ち寄り指紋認証で買ったコーヒーを片手に出勤しようとしている。その横をシェアサイクルを走らせるショウタが通りすぎる。「丸の内キャンパス」の異業種間プロジェクトで知り合った仲間だ。どうやら昨夜はエリア内のセカンドハウスに宿泊したみたいだ。
「おはよう、どこに行くの?」
「企画書づくりのために、ABCビルのフリーライブラリーへ。あ、来週打ち上げって話、聞いてる?」
「うん、最近オープンした空中レストランでしょ。じゃ、そのときに」
ガーデンエリアの前で手を振って別れた。広場では今月の「ごほうび屋台村」の準備が始まっている。
「そういえば仕事の頑張りポイントがたまっているはず、今日はそのポイントでランチしよう」
そう考えヒトミは会社のある高層ビルに入っていった......。

大学生が考えた未来の丸の内はこんなイメージだ。

「働き方」「学ぶ」「遊ぶ」「暮らす」でまちづくり

28万人のビジネスパーソンが働く大手町・丸の内・有楽町の大丸有エリアで8月22~24日、大学生が未来のまちを考える「丸の内サマーキャンプ」に挑戦した。丸の内の企業の協賛により発足したエコッツェリア協会と三菱地所による試みで、大丸有エリアの未来を「働き方」「学ぶ」「遊ぶ」「暮らす」の4つの観点から自由に考えてもらうワークショップだ。

参加したのは大学1年生から大学院生までの約30名。大学名も年齢も明かさず、基本的に名前だけで参加するのがこのワークショップのルールだ。初日、2日目はイベントの説明や講演、大丸有エリアの案内などが中心だ。

プロトスター代表の山口豪志さん
YouthCreate代表の原田謙介さん

初日の講演で、「若者と政治をつなぐ」をテーマにしたNPO法人「YouthCreate」代表の原田謙介さんは、行動を起こし成功させるには自分の興味関心や強みをいかすことが重要だと訴えた。続いて、三菱地所の田口真司さんが、従来統一感のなかった大丸有エリアを魅力的な街に変貌させる同社の取り組みを紹介した。路面店などで賑わいをつくり、人とコミュニティの創造性を高めながら、交流とイノベーションを起こす街づくりだ。

初日最後のプログラムはエコッツェリア協会専務理事の村上孝憲さんの案内による大丸有街歩きツアー。エリア内の代表的なビルを巡り、街づくりのアイデアに利用する。なかでも、都市での野菜づくりを実験している「大手町フィナンシャルシティ エコミュージアム」では夏に蛍が飛び交うという説明を受けると、学生は大丸有エリアの持つ多様な面に驚いた様子だった。

2日目は、起業家支援のプロトスター代表を務める山口豪志さんが講演した。起業にはリスクもリターンもすべて背負う覚悟が必要だが、「失敗しても死にはしません」とエールを送り、変化の激しい時代には自分が何をしたいかという気持ちを大事にしようと訴えた。

未来の街づくりの発表に向けたチーム分けも2日目に行った。4つのテーマについて自分が興味を持ったものに集まる。6つのチームが成立した。最終日に街づくり案を発表するゴールに向け、チームごとによるワークが始まった。

とはいえ、まったく知らない者同士、どこからどう取り組んでいいのかわからない。いろいろな案がでてくるもののなかなかまとまらない。手探りの状態が続いたが、発表時間も迫った3日目のお昼くらいから、アイデアが徐々に集約されていった。方向性が固まると、作業ペースは一気に速まった。会話や笑い声のトーンも上がり、議論の盛り上がりは加速していった。

大丸有街歩きツアーの様子
ワークショップでのアイデア出し

実現可能なアイデアも

チームのアイデアを発表する時間がきた。発表と質疑応答で15分の勝負。大きな模造紙にイメージをまとめ、それを見せながら発表が進んだ。

1組目は、男女5人からなるチーム「三方吉(さんぽよし)」の「丸の内空中レストラン」。アドバルーンと巨大なドローンを合体させて丸の内上空を飛行、都会の空から丸の内を見下ろす完全予約制の空中レストラン「バローン」を提案した。大中小さまざまな「バローン」で、昼間はランチやつかの間の昼寝用、夜はゴージャスにきらめくまちの明かりを眺めながら食事をするという。レストランは日本中の食材を集め、有名シェフを招いて最高の料理を堪能できる。またプロジェクションマッピングを投影し、内部だけでなく、地上から見上げた「バローン」も華やかにし、まちに彩りを加えるというものだ。

2組目は、「学び」をテーマに選んだチーム「Worth Create」。彼らが考えたのは会社やビジネスを知りたい学生とベンチャー企業を大丸有エリアで交流させ、マッチングさせる投資ゲーム「MARUNOUCHI Business Garden」の提案。ゲームを通じて学生は企業を知り、ベンチャー企業は丸の内に進出するきっかけを得るとともに意中の学生を見出すことができるというもの。丸の内から縁遠いような人と企業を呼び込み、エリアをさらに活性化するという企画だ。

「丸の内空中レストラン」を提案した「三方吉」
投資ゲームを提案した「Worth Create」

3組目は「Finger Cash」。その名のとおり、エリア全体を指紋認証でつなぎ食事や買い物もすべてキャッシュレス化してしまうアプリ「Finger Cash」の開発を提案した。属性を丸の内で働く人々と一般利用客に分けて登録。ここから得たビッグデータを活用すれば、嗜好やトレンド、動線などさまざまな分析結果が得られるため、新しいまちづくりにつなげることができる。また個人情報を共有すれば位置情報の取得も可能となるため、同僚や友人など、知り合い同士が集まりやすくなるという目論見だ。

4組目は「丸の内大人のごほうびプロジェクト」チームによる同名のプロジェクト。日頃のストレスや集中力、歩数などの「頑張り」を計測して数値化し、たまったポイントでイベントや食事、ジム、映画鑑賞などを利用できるというものだ。日頃の生活をリフレッシュさせて次への「やる気」を生み出すと同時に、娯楽・外食産業や体験型イベントなどのビジネスに結びつけることに主眼を置いている。

キャッシュレスアプリを提案した「Finger Cash」
頑張りのポイント化を提案した「丸の内大人のごほうびプロジェクト」

5組目の「働き方改革委員会」は、協賛企業ビルの低層階を大学の図書館やラウンジ、部室などに見立ててすべてのビジネスパーソンが共有できるという「丸の内キャンパス化計画」を提案した。フリーWi-Fiの設置、シェアサイクルでのエリア移動、指紋認証によるセキュリティチェックなどにより、所属企業に関係なく、エリア全体を誰もが自由に使えるというものだ。情報を共有する「かわら版」の発行、転職情報提供やメンタルケアなどのサービスも取り入れ、大丸有エリアに関係する人々なら自在にまちを活用できる仕組みとなっている。

最後に登場した「チームバラバラ」がプレゼンしたのは、人口知能(AI)、仮想空間の技術、3Dプリンター、プロジェクションマッピングなどを使って自分だけの宿泊施設をつくる「今日限りの理想のセカンドハウス」。ビルの低層階を短期的な宿のスペースとして活用する。南国リゾートを楽しみたいなら、椅子や家具、ハンモックなども3Dプリンターで南国風にその場でつくるなど部屋全体を思い通りに設定できる。いわば、手づくりの夢の宿だ。

「丸の内キャンパス化計画」を提案した「働き方改革委員会」
「今日限りの理想のセカンドハウス」を提案した「チームバラバラ」

発表後には参加した企業に勤める社会人から各チームに厳しくも暖かい質問やコメントが寄せられた。共通していたのは、実現にはクリアすべきことが多いものの、事業化に向けた議論に値するアイデアだったということ。学生がそれらのコメントをきちんと受け止め、有益なフィードバックとして今後に活用しようとする姿勢が印象的だった。

枠にとらわれず未来構築

終了後、学生に感想を尋ねてみた。ある学生は「法律や既存の知識など現実的なことを最初は考えてしまったが、それを取っ払って一番ありえないアイデアを追求したら目の前が開けた」と話していた。枠にとらわれない発想で未来のまちを構築する楽しさを実感したようだ。講師を務めた、一般社団法人SoLaBo代表理事の工藤紘生さんは「初日から大学生たちをずっと見ていましたが、日毎に彼・彼女たちの目の輝きが変わり、与えられた課題に対しての態度変容・意識変革に目覚ましいものが感じられました」と話し、学生の短期間での成長ぶりに驚いていた。ナレッジワーカーズインスティテュート株式会社代表取締役の塚本恭之さんは「未来を担う人たちと一緒にいろいろ考える経験を通じ、自分もまた新鮮な目線で物事を考えることができた」と学生の発想を評価していた。

今回のワークショップで、協力して何かを成し遂げることの楽しさや、初対面の人同士でも打ち解けられたことを素直に喜ぶ学生が多かったのはもちろんだ。しかし、参加した学生にとってなにより重要だったのは、自由な発想と議論が思いがけないアイデアを生むという体験を通じ、短期間で成長したことを実感できたことのようだ。

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