MONO TRENDY

モノ・フラッシュ

プロもアマも愛用する 「グローバル」の国内限定包丁

日経トレンディネット

2019/1/7

飯田: 両方の使い方ができる包丁はあまり聞いたことがないです。また、切れ味もすごい。

小野: 切れ味は今までのグローバルの包丁よりも鋭く、耐久性も高めました。従来のものは、グラインダーを用いた刃付けをしていますが、イストは、「エクストラエッジ」といい、和包丁の刃付け同様、水砥石で手作業で刃付けをし、さらに、革砥(かわと)で仕上げています。この技術は少数の職人しかできないので、生産性は上がらないのですが。

■パン切り包丁が面白い

飯田: イストのなかで私が特に気に入ったのが、パン切り包丁です。これは珍しいですよね。

小野: どこのメーカーでもパン切り包丁は出ていますね。そこでイストのパン切りは、海外で主流のハードパンから国内で主流のソフトパンまで切れるものを目指しました。

飯田: たしかに、こんな形のパン切り包丁は見たことがないです。

イストシリーズのパン切り包丁(左)と、グローバルのスタンダードシリーズのパン切り包丁(右)
従来のものよりイスト(右)は波刃を穏やかに仕上げている

小野: ソフトパンは刃が粗すぎるとひっかかり、断面もボロボロになってしまいます。反対にハードパンは刃が粗くないと切れない。そこで、波刃のピッチを穏やかにして、先端に反りを入れました。さらに、裏側にも刃付けをしているんです。これで、どちらのタイプも切れるようにしたんです。

飯田: 通常のパン切り包丁だと、日本の食パンはパンくずが付いてしまってスパッとは切れない。しかし、イストのパン切り包丁は、力をほとんど入れずに下まできれいに切れました。

■国内では異端児扱い、海外で受け入れられたのが始まり

飯田: もともとグローバルは海外で人気が出て、逆輸入のような形で日本の市場で売られるようになりましたよね。

小野: そうなんです。1983年にオールステンレスの包丁としてデビューしましたが、当時は包丁といえば木柄が普通。ステンレスの一体型は奇抜すぎて、オブジェとしてしか見られなかった。これは大きな誤算でした。そこで海外で展開したらどうかという話があり、展示会に出展したらヨーロッパで受け入れられ、国ごとの基準に合わせた発注が舞い込んで、以来、欧米基準でラインアップが広がっていきました。

飯田: 日本で人気が出たのはいつですか?

小野: 90年代後半に入ってからです。グッドデザイン賞をいただき、ステンレスの包丁ブームにのって知られるようになりました。現在は海外輸出専用商品を含め100種類以上のラインアップを展開しています。

■プロシリーズはプロには合わなかった?

飯田: イストの発売前には、プロシリーズがありましたが、なぜプロシリーズは終了したんですか。

小野: プロ向けにさまざまな用途やサイズの専門包丁がそろったシリーズだったのですが、売り上げがいいのは、東急ハンズなどの専門性の高い道具を置いているショップだった。そして、デザインは、プロが欲しい包丁と一般の人が欲しい使いやすい包丁のどちらでもなく、その中間だったんです。

飯田: 今なら、料理研究家として活躍するセミプロの人が増えているからその人たちには適しているものなのかもしれないですね。

小野: そうですね。さらに、海外の需要に対応するサイズや形が主体だったので、日本では使いにくい部分もあったようです。そこで原点回帰をして、日本人に向けた包丁を改めて考えようと思ったのです。特にステンレスの和包丁はほとんどなかったので、新シリーズには必ず入れようと思いました。

19センチの万能包丁は、万能ですが、皮をむいたり、飾り切りをしたりする場合は、サブとなる包丁で補えるようにしたんです。あえて2丁を使い分けることで仕上がりの精度は格段に上がります。このひと手間を楽しんでいただきたいという思いを込めています。

MONO TRENDY 新着記事

MONO TRENDY 注目トピックス
日経クロストレンド
大手ジムが「有料オンラインレッスン」に注力する理
日経クロストレンド
アップル、4年半越し悲願 腕時計「常時点灯」の真意
日経クロストレンド
ANAも参入 「5G+分身ロボット」でビジネス変革
日経クロストレンド
花王が洗顔シートで王者を逆転 敵の弱点を徹底訴求
ALL CHANNEL