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今年の家電、主役は大手の記念モデル・ニッチな個性派

白物家電で振り返る2018年

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2018年にも、多くの家電が市場に投入された。ラインアップが一新されたモデルや、これまで市場になかった家電なども登場している。そこで家電コーディネーターの戸井田園子さんに、18年に登場した白物家電の中から、注目製品を4つのテーマに分けて聞いた。

100周年モデル 象印とパナ異なるアプローチ

18年は象印マホービンパナソニックが100周年を迎えました。節目の年にふさわしい記念モデルは、メーカー側が手を抜けないので、気合を入れた商品が出てくるもの。実際、今回も完成度が高い製品が登場しました。

7月に発売された象印マホービンの100周年モデルは、家庭用炊飯ジャー「炎舞炊き NW-KA」(象印マホービン)。IHヒーターを3つ使い、それぞれを独立制御することで炎の揺らぎを再現しています。内釜は、アルミとステンレスの間に「鉄」を仕込み、高い蓄熱性と発熱効率、熱伝導率を実現。

炎の揺らぎを再現しようという発想や、これまでの家庭用電源では実現できなかった熱量を確保するという技術力の高さに驚きました。

パナソニックは、100年間に培った技術と知恵を結集した商品群として「Creative!セレクション」を展開しました。17年9月から18年にかけて順次展開されました。ロボット掃除機やヘアードライヤー、冷蔵庫、テレビといった生活家電の他、補聴器や電動アシスト自転車など17商品をラインアップしています。

製品を単独で見せるのではなく、商品群として見せることで統一感を演出したのがユニークですね。ジャンルも幅広く、さまざまな視点での提案力を発揮しています。家電全般を手掛けてきたパナソニックの力を実感できるところも評価のポイントです。

ホットプレート 出しっ放しモデルが大手からも

新しいニーズを捉えた家電というポイントでは、食卓に出しっ放しにしておけるホットプレートも注目の家電でした。

共働き家庭などの場合、家族それぞれが忙しく、家族みんなが集まるのが食事の時間くらい、というケースもあります。ホットプレートを使って、家族が一緒に調理することで、調理と食事の時間を家族団らんの時間に充てることができるようになります。新しいライフスタイルを提案するホットプレート市場は今後も広がっていくでしょう(記事「休日料理は終日リビングで ミニホットプレート3選」参照)。

ここ数年、「BRUNOホットプレート」(ブルーノ)や「HOME BBQ」(レコルト)など、デザイン性がよいホットプレートが次々登場しています。中でも15年に発売された「Table Grill Pure」(プリンセス)は、竹の台座にセラミックコーティングのプレートがのっているだけというシンプルなデザインを採用し、「生活感がないホットプレート」として人気がでました。気になる焼き心地などは、従来のホットプレートとまったく同じ。プレートの熱伝導率が高く、電源を入れるとすぐに熱が行き渡ります。そのまま出しておいても邪魔にならず、見た目もきれいという、これまでのホットプレートの常識を覆すものでした。

この流れに追随した大手メーカーがパナソニックです。8月に発売された「IHデイリーホットプレート」(パナソニック)は、2口のIHホットプレート。Table Grill Pure同様、テーブルになじむスマートなデザインを採用しています。本体の高さは4.6cmしかなく、専用プレートを置いても7cm程度。そのため、ダイニングテーブルに置いても気になりません。またIHコンロが2口あるので、片方でフライパン、片方で鍋料理など分けて調理したり、片方を保温というように分けて使えるのも便利です。

クラウドファンディング 白物家電にも進出

その他、2018年はユニークな家電が数多く登場しました。中でも注目がクラウドファンディングから生まれた人気の商品です。

さまざまな分野で活用されているクラウドファンディングですが、白物家電でも面白いものが出てきました。幅広いターゲットを狙うというより、こだわりの人に向けて開発されているのが特徴。人気が出た商品は量販店やインターネット通販などでも販売されています。このようにユーザーを絞った提供方法は今後も増えていくと思います。

シーリングライトにプロジェクターを埋めこんだ「popIn Aladdin」(popIn)は、子どもとの就寝前の時間を大切にしたいとして開発された商品。テレビ番組や動画サイトの映像のほか、絵本や等身大動物図鑑など学習コンテンツを壁に映し出すことができます。寝室でもコミュニケーションが取れるのは、子育て世代のみならず、共通の時間が少ない共働きやマンネリ夫婦にもお勧め。これからの照明を変える夢のある家電だと思います。

「全自動コーヒーメーカー CM-D457B」(ツインバード)は、東京都台東区にある自家焙煎コーヒーの名店「カフェ・バッハ」店主の田口護氏が監修したコーヒーメーカーです。着脱式で手入れがしやすい低速臼式フラットミルを採用。挽き方が3段階から選べる上に、抽出温度はセ氏83度か90度に設定できます。挽き方と抽出温度を組み合わせ、自分好みにアレンジできるコーヒーメーカーは、これまでありませんでした。このようなコーヒーメーカーが今後のトレンドになりそう、という点で注目しています。

サンコーレアモノ家電 面白くて役立つ

最後に、PCユーザーになじみのある通販サイト「サンコーレアモノショップ」も注目です。この通販サイトや都内の直営店を手掛けるサンコー(東京・千代田)はユニークな商品を大量に開発。その中から面白くて役立つ家電が相次いで発売されました。鶏肉をセットした串が自動で回る「卓上無煙焼きとり器」(サンコー)や「お一人様用ドライワードローブ」(サンコー)など、PCのときと同様に、非常にニッチなニーズに応える商品が特徴です。

卓上無煙焼きとり器は、食材から落ちる油がヒーターにつかないため煙が出にくい。だから卓上で焼き鳥を楽しめる、という家電です。この発想には非常に感心しました。

お一人様ドライワードローブは、洋服に熱風をあて嫌なニオイと雑菌の繁殖を防ぐ商品。洋服を掛けておくだけで、スチームと振動で衣類を簡単にリフレッシュできるクローゼット型スチーマー「LGStyler」(LGエレクトロニクス)ほどの機能はありませんが、手軽に洋服をケアできるので、これでも十分という人も少なくないはずです。サンコーレアモノショップは、発想に加え、購入しやすい価格帯のものも多いので、これから大注目です。

◇  ◇  ◇

18年は、100周年モデルからユニークなモデルまでさまざまな家電が登場しました。新しい元号となる19年は、どのような家電が登場するのか、今から楽しみです。

(文 秋葉けんた)

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