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我が子のゲーム依存防ぐルール作り 5つの必須条件

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NIKKEI STYLE

日経Gooday(グッデイ)

ゲームのやり過ぎで日常生活が困難になる「ゲーム依存」に陥る人が増えている(前回「長期休暇は引き金になりやすい ゲーム依存に注意」参照)。「いつでもどこでも半ば無意識のうちにゲームに手が伸びてしまう」といった軽い依存傾向が見られる段階で早く気づいて、本格的に依存が進行する前に食い止めたい。日本初の「インターネット依存専門外来」を開設した久里浜医療センター院長・樋口進さんに、万が一ゲーム依存に陥ったときの治療法や、ゲーム依存に陥らないようにするための予防策について聞いた。

ゲーム依存の治療は長期間かかる

ゲーム依存が疑われ、専門の医療機関を受診したとしても、「1回の治療ですぐ治るわけではなく、ゲーム依存の治療は1人に対して長い時間がかかる」ということをまずは知っておきたい。久里浜医療センターでは、専門外来を受診する患者に対して、多くの場合、最初はゲーム時間を減らすことから始めて、我慢強くモニターしていくという方法で治療を続けていくという。

「ゲームをする時間を決めても、なかなか守れないのが依存症という病気です。それを分かったうえで、長く付き合いながら指導していくのが、私たちの仕事だと思います」(樋口さん)

ゲーム依存から抜け出す最大の決め手は「アカウントを消してゲームをやめてしまうこと」だが、何年もかけて作ってきたものを消すことには、当然ながら、ゲームに依存している患者は強く抵抗する。しかし一方で、ゲームのために生活が狂っていること、束縛されていること、様々なトラブルが起きていることについては、本人たちも自覚して悩んでいることが多い。そのため「本人との信頼関係を築きながら、タイミングを見て『いっそのこと消そう』と説得すると、応じてくれる場合もある」そうだ。

「彼らもゲームに依存することは怖いということを分かっているので、やり込んでいるメインのゲームのアカウントを消すことができれば、再び他のゲームを始めたとしても、自分でコントロールするため依存症状はそれほどひどくなりません」(樋口さん)

かといって、本人の承諾なしに親がいきなりスマートフォン(スマホ)を取り上げたり、アカウントを消したりしても、トラブルになるだけでうまくいかない。親に対しては甘えがあったり、親子間であつれきが生まれるからこそ、樋口さんのような専門の医師や第三者の力が必要となる。長い時間をかけて信頼関係を構築する中で、少しずつゲームとの接触を減らし、最終的にコントロールできるようになることを目指していく。

ゲーム時間を減らし、新しい自分を発見するプログラム

久里浜医療センターでは、NIP(New Identity Program)という独自のプログラムも実施している。運動や作業に取り組むなど、ゲームから離れた環境で一定時間を過ごすことで他者とのコミュニケーションを学ぶ。

同時に具体的な使用時間などを記録してモニタリングすることで問題点を視覚的に把握し、「ゲーム以外に楽しいと感じるものはない」「ゲームをしていないと不安で具合が悪くなる」といった認知のゆがみ(ゲームに対する過大評価やゲームをやめることへの恐れなど)を修正していく認知行動療法も組み合わせる。これまでゲームに費やしていた時間やエネルギーを他のものに向け、「新しい自分を発見するための治療プログラム」だ。

場合によっては入院治療や集団で野外体験活動を行う「ネット依存治療キャンプ」などを実施することもある。そうした治療プログラムを通して、本人のゲームに対する愛着が減ったところでアカウントを消すように説得したり、本来の行動を取り戻すきっかけを見つけられるように援助していくという。

「大切なのは、本人が治療に向き合う決意をすること。その第一歩を踏み出させるためには家族や周囲のサポートが不可欠です」と樋口さんは言う。

前回「長期休暇は引き金になりやすい! ゲーム依存に注意」で紹介したように、脳の中の理性をつかさどる部分(前頭前野)は年齢とともにゆっくりと発達していくので、高校生、大学生と大人に近づくほど、少しずつ自己コントロールできるようになっていく面もある。長い時間をかけて様々なサポートをしながら、本人の気づきや成長を促すという覚悟と根気強い関わりが必要だ。

リアルな生活の充実が依存の予防に

治療中も、単にゲーム時間だけ減らせばいいわけではなく、並行してリアルな生活を充実させることを考えていくとよいそうだ。例えば部活に一生懸命取り組んでいる、友達との関係がしっかりできているなど、現実社会に溶け込んで周囲の人ともうまくコミュニケーションがとれていれば、依存になりにくいことが分かっているからだ。

「高校生以上ならアルバイトという選択肢もあり、ゲーム機を買うなどの動機であっても、しないよりはしたほうがいい。それ以外でも塾、部活などゲームをしない時間をあえて作っていくことが大事です」(樋口さん)

子どもは社会的な体験が不足していることが多いので、アルバイトでも塾でも、それに面白みを見つけられたら、ゲームの面白みを減ずることになる。すると態度にも柔軟性が出てきて説得を聞き入れてくれるなど、希望が見えてくるという。

「実際、ゲーム依存の真っただ中で短期間の海外留学を体験し、ゲーム以外にも現実生活でこんなに面白いことがあるんだと気づいて視野が広がったという人もいました。実はバーチャルなゲームは世界の中のごく一部だと思えるようになることがとても大事なので、何でもやってみることですね」(樋口さん)

親子で一緒にルールを作ろう

ゲーム依存を未然に防ぐためにも、子どもがスマホを使い始める段階で、付き合い方を親子で話し合い、守るべきルールを決めておくとよい。以下のようなポイントを参考に、最低限、使う時間と、使ってはいけない状況(食事、入浴など)は明確にし、守れなかったときにどうするかまで、本人が納得したうえで決めておきたい。

【ゲーム依存を防ぐ ルール作りのポイント】

(1)「機器は親が貸し与える」
スマホやタブレットなどの機器は親が貸し出すという形を明確にし、一定の条件に従わない場合には返してもらう。パスワードも親が管理する。

(2)「ゲーム時間・場所を決める」
スマホのタイマーやロック機能を利用するのも一法。ただし、子ども自身が「なぜタイマーやロックが必要か」を理解しておくことが大切。なるべく家族の目の届くところでやるように場所も決めるほうがよい。

(3)「スマホを使ってはいけない状況を決めておく」
食事中は使わない、風呂場には持っていかない、学校には持っていかないなど。塾や習い事など、あえてゲームをできない時間を本人が納得する形で作るのもよい。

(4)「お金の使い方を決める」
ゲーム、アプリのダウンロードや課金の限度額を決めておく。

(5)「ルールは書面に残し、守れなかったときの約束を決めておく」
守れなかったらどうするかを決めておかないと、簡単に破れるルールとなって意味がなくなってしまう。一つひとつを子どもと一緒に確認しながら書き、家族全員で同じルールを守ることが望ましい。

「個人差はあると思いますが、一般的に、子どもにスマホを持たせる年齢が早いほど依存のリスクは高くなると思うので、持たせる年齢は遅ければ遅いほどいい」と樋口さんは言う。

また、「子どもは大人の行動を見てまねをする」と樋口さんも指摘するように、大人自身もゲームやスマホとの向き合い方を見直してみる必要がありそうだ。ゲーム依存は大人にも確実に増えている。樋口さんのもとを訪れる患者の中には、仕事などの活動はなんとかできているが生活の中心はゲームという「グレーな」人も増えているという。

特に年末年始などの長い休暇には、することもなくダラダラとオンラインゲームに走りがち。意識して別の時間の使い方を工夫してみるなど、ゲームとリアルな生活とのバランスを省みてみよう。

(ライター 塚越小枝子)

樋口進さん
独立行政法人国立病院機構久里浜医療センター院長。1979年東北大学医学部卒業。慶應義塾大学医学部精神神経科学教室に入局、1982年国立療養所久里浜病院(現・国立病院機構久里浜医療センター)勤務。米国立衛生研究所(NIH)留学を経て1997年国立療養所久里浜病院臨床研究部長。2012年から現職。日本アルコール関連問題学会理事長、WHOアルコール関連問題研究・研修協力センター長、WHO専門家諮問委員(薬物依存・アルコール問題担当)。

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