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妻と死別、男はどう生きる ファッションショーで変身

2018/12/19

寺の法要室で開かれた「没イチ メンズコレクション」(12月9日、東京都港区)

伴侶と死別した単身者を指す「没イチ」の高齢男性によるファッションショーが東京都内で開かれた。喪失感と孤独にさいなまれ、服装もおざなりになってしまいがちな彼らに、明るさを取り戻してもらおうと企画された。専門家のアドバイスで華麗に変身した6人からは「10歳は若返った」「まるでチョイ悪ジジイの気分」と高揚した感想が漏れた。見た目の印象だけでなく、本人の気持ちも大きく変えるショーからは、超高齢社会を楽しく生き抜くヒントも見えてきた。

12月9日夕、東京・三田にある弘法寺の地下にロックのリズムが響いた。普段は葬儀に使われる法要室の中央に真っ赤な舞台がしつらえられ、70の客席がうまった会場に熱気がみなぎった。原色のスポットライトが点滅し、司会者が「没イチ メンズコレクション」のスタートを告げた。

音楽に乗って次々と登場する男性6人の平均年齢は68歳。第1部ではコーディネーターに選んでもらった最新ファッションに身を包み、亡き伴侶との思い出の曲に合わせて舞台へ。軽快なステップで舞台を2度、3度と往復し、観客にあいさつ。第2部では全員が、派手な色使いのイタリアンブランド「ベルサーチ」を着て登場。プリンスやマイケル・ジャクソンの曲に合わせて踊った。緊張のためか右手と右足が同時に前にでるちぐはぐは動きもあったが、それはご愛嬌(あいきょう)。軽快な身のこなしは年齢を感じさせなかった。

ショーを主催したのはシニア生活文化研究所(東京・港)の小谷みどり所長だ。長らく第一生命経済研究所に在籍し、高齢者のライフスタイルや死生観を研究してきた。2008年からは、50歳以上を対象に学び直しと再チャレンジをサポートする立教セカンドステージ大学(RSS)でも教えている。このRSS受講生と飲み会などで交流する中で、配偶者と死別した「没イチ」が、同じ悲しみを分かち合える仲間と交流できる場がないことに気づいたという。結婚歴がなかったり、離婚して「バツイチ」となったりしている高齢者とは違う孤独感を抱えている。受講生の中にも少なくなかったそうした男女が話題を共有する場として「没イチ会」を立ち上げた。実は小谷さん自身も7年半前に夫を亡くしたひとりだ。

「亡くなった奥さんの分まで」

ファッションショーのアイデアは、小谷さんが没イチ会の男性メンバーから「イメージチェンジするにはどうしたらいいでしょう」と相談を受けたのが始まりだ。妻に先立たれた男性には「立ち直れずどんどんみすぼらしくなっていく人が多い」(小谷さん)が、彼らは決してそれを望んでいるわけではない。このままではいけないと思いながら、再起のきっかけもないまま落ち込み続けているケースがほとんどだ。明るく「変身」すれば、気持ちも上向くはず。小谷さんは「亡くなった奥さんの分まで、人生を2倍楽しんで」との思いを今回のファッションショーに込めた。

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