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サクッぷるぷる「ペーパー包み」 揚げ出し豆腐の極意

土屋敦の男の料理道(3)

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NIKKEI STYLE

居酒屋の定番おつまみである揚げ出し豆腐。しかし、家で作るのは案外難しい。作っている途中で豆腐が欠けたり、崩れたりしてしまうことが結構ある。

その理由は豆腐をいじりすぎるから。居酒屋や料理店では豆腐に衣をつけて油がたっぷり入ったフライヤーで揚げる。しかし家庭では、揚げ出し豆腐のためにたっぷりの油を使うのがもったいないので、少量の油をフライパンなどに入れ、衣をつけた豆腐を回転させつつ、すべての面をカリッときつね色にし、だしやあんをかける、という作り方をすることが多いだろう。そういった作り方だと、豆腐を何度も回転させるので、どうしても崩れやすくなるのだ。

また、揚げるとき以外に、豆腐が崩れやすいのは、豆腐に片栗粉などの粉類をまぶすときだ。豆腐に粉をまぶすと水分を吸って粘りが出る。この状態で手で豆腐と持つと、ちょうど水を吸った粉がのりのような役割を果たしてしまい、手を離すときに、豆腐の一部がはがれて手にくっついてきてしまうのだ。

家庭で揚げ出し豆腐をうまく作るアドバイスとしては、「絹ごしではなく木綿豆腐を使う」というのが定番のようだ。ただ、揚げ出し豆腐の魅力は、なにより衣がサックリとして、中身がぷるぷると軟らかいこと。木綿豆腐だと、このぷるぷるとした軟らかさが損なわれてしまう。

絹ごし豆腐に重しをして水分を出して固くしてやる方法もある。しかしこの方法でも絹ごし本来の軟らかさは少し失われる。理想的なのは、崩れないように豆腐の内部は水をたっぷり含んで軟らかく、外側は硬めで崩れにくい、という状態だろう。

煮崩れを防止する方法として、ユズなどのかんきつ類の搾り汁を豆腐をからめる、という方法がある。クエン酸がタンパク質を固めることで、煮崩れにくくするというのだ。実際にやってみるとたしかに、手で持っても崩れにくくなる。それでいて内部は水分をたっぷり保持しているのでぷるぷる感は保たれる。

しかし、そうやって下処理した揚げ出し豆腐として食べると、どうしても豆腐が酸っぱく感じて違和感がある。豆腐を賞味期限を超えて放置しておくと酸味がでて酸っぱくなる。だから、酸っぱい豆腐というのは、どうしても腐敗を想起させてしまい、あまりおいしく感じないのだ。

そこで考えたのが、キッチンペーパーで切り分けた豆腐を包んでしまうという方法。ごく単純に、紙に水分を吸わせることで豆腐の表面に近い部分の水分を吸い出そうというのだ。包んでキッチンペーパーが湿ってきたら、さらにペーパーの上から塩をふる。そしてそのまま、20~30分ほど冷蔵庫に入れておく。

この方法にはさまざまなメリットがある。まず一度しっかり包んでしまえば、そのあとは動かしたり、手で持ったりしても崩れる心配がない。直に豆腐に塩をまぶそうとすると、豆腐を裏返す必要があり、その際に豆腐が少し崩れることもある。しかしペーパーに包んでから塩をすれば、その心配はなく、また過度に塩味がつきすぎることもない。

20~30分ほど置いてキッチンペーパーを取り除くと、豆腐の角が取れ、丸みを帯びるのだが、これは、根菜なども煮崩れを防止するために鋭い角を落とす面取りと同じ効果がありそうだ。さらにキッチンペーパーのザラつきが、豆腐の表面に転写され、つるつるとした豆腐の表面に細かな凸凹ができている。これは、粉が付きやすく、はがれにくくなる効果を生む。

また、塩の効果も見逃せない。豆腐は加熱したときにタンパク質とカルシウムなどが結合してボソボソとした食感になってしまうが、塩にはそれを防ぎ、なめらかな食感を保持する効果がある。

ほかにも豆腐が崩れにくくなる方法としてよく言われている、重しをして水切りをする、電子レンジにかける、塩水につける、などを試したが、「キッチンペーパーで包む+塩」が、最もぷるぷる感を保持しつつ、崩れにくかった。上述のような副次的なメリットも含め、揚げ出し豆腐を作る上ではピカ一の方法だろう。

さて、こんなふうに絹ごし豆腐の崩れやすさを防いだうえで、今度はまぶす粉について考えたい。片栗粉がもっとも一般的だろうが、ほかの粉類も試してみたい。

用意したのは、片栗粉以外に、コーンスターチ(トウモロコシのでんぷんで、ケーキやクッキーの口当たりを軽やかにしたり、カスタードクリームづくりなどに使われる)、浮き粉(小麦のでんぷんで、コーンスターチ同様の用途の他、手打ちうどんの打ち粉などに使われる)、わらび餅粉(本来はわらびの地下茎から取られるが、購入したものはサツマイモのでんぷんに、わらびのでんぷんを混ぜたもの)、本葛粉(葛の根のでんぷんでくず餅、くずきりなどに使われる)。これらはジャガイモのでんぷんである片栗粉同様、植物から取り出したでんぷんの類い。それに加えてコメ粉(うるち米の微粒粉末)、そば粉、そして小麦粉だ。

最もよかったのが本葛粉である。サックリとして、衣の味そのものが美味。ほかの粉類だとだしやあんをかけてると、しんなりしてしまうのだが、本葛粉はサクサク感が継続する。味の面ではそば粉も美味だったが、しっとりとした食感で豆腐からはがれやすく、またそばの味が強すぎて、普通の揚げ出し豆腐の味とは少し乖離(かいり)してしまう。

ただ、本葛粉の衣にははがれやすいという難点があった。その点で優秀なのは片栗粉。片栗粉の衣はほかの粉に比べて粘りが強く、また粘り出す温度も65度とほかの粉よりも低い。だから、加熱を始めると、より低い温度で粘り出し、豆腐からはがれにくくなる。

そこで考えたのは、最初に片栗粉をまぶし、そのあとに本葛粉をつけるという手法だ。これなら、片栗粉の粘りで衣ははがれにくく、表面はサクサクとおいしい。本葛粉は通常、さらさらの粉ではなく、小石ほどの大きさに固まっている(微粉末にしたものも最近は売っている)。これをすり鉢ですりつぶして粉末にし、さらにまぶすのだから、相当に面倒だが、最高に美味な揚げ出し豆腐を食べたいなら、使う価値はあると私は思う。

さて、冷蔵庫からキッチンペーパーで包んだ豆腐を取り出し、ペーパーを取り除いて片栗粉と本葛粉をまぶしたら、いよいよ揚げる。ここでは油を節約するため、フライパンに油をひき、豆腐を一面ずつ、揚げいためにすることにしよう。

使う油にこだわるならよけいな味がせず、熱が入ってもおいしい太白ごま油を推奨する。フライパンに接した面がカリッと揚がったらフライ返しを差し入れ、90度回転させて次の面を揚げる。これを5回繰り返せば完成だ。

これで、サックリぷるぷるの揚げ出し豆腐は完成。だしはかつおだしを使い、本葛粉でとろみをつける。薬味には、おろしショウガ、ダイコンおろし、刻んだ小ネギ。もちろん薬味にも工夫の余地がある。セリ、ミツバ、青ジゾ、ミョウガ、青トウガラシ、ネギ、ユズなど、季節に合わせて薬味を変えれば、一年中楽しめる。

土屋 敦

ライター 1969年東京都生まれ。慶応大学経済学部卒業。出版社で週刊誌編集ののち寿退社。京都での主夫生活を経て、中米各国に滞在、ホンジュラスで災害支援NGOを立ち上げる。その後佐渡島で半農生活を送りつつ、情報サイト・オールアバウトの「男の料理」ガイドを務め、雑誌などで書評の執筆を開始。著書に『男のパスタ道』『男のチャーハン道』(いずれも日本経済新聞出版社)など

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