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名探偵コナン・カイジ… スピンオフマンガ大流行の訳

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NIKKEI STYLE

ここ数年のマンガ界で目立つようになってきた動きに、人気作の派生作品や番外編、外伝などの「スピンオフ」が増えてきたことがある。マンガ本編のキャラなどを利用した番外編自体は昔から存在したが、かつては作者自身による読み切りや短編連載程度のものが主流だった。しかし昨今のスピンオフは、一味違ったものになってきている。

最近のスピンオフ作品の特徴としては、「作画者は本編とは別」「本編が連載中でも並行して掲載」「複数巻にわたる長期連載」といった点が挙げられる。本編の内容を踏襲してはいるものの、例えば『進撃の巨人』のスピンオフである『進撃!巨人中学校』『進撃!巨人高校』が進撃キャラを使った学園モノのギャグになっていたり、1つの独立した作品として成立しているのだ。

「作品群」で売り出す時代に

なかには瞬間最大風速で本編をしのぐほどの話題をさらうものもある。例えば『名探偵コナン』の人気キャラ・安室透を主人公としたスピンオフ『ゼロの日常』は、女性ファンを中心に人気を呼び、連載初回を掲載した『週刊少年サンデー』が全国各地のコンビニで売り切れとなり、多くの「難民」読者を生み出したことで話題となった。単行本第1巻も、わずか3日で重版がかかるほどの人気作となっている。

また『賭博黙示録カイジ』の悪役であるトネガワを主人公とした「中間管理録トネガワ」は、スピンオフでありながら『このマンガがすごい!2017年』オトコ編1位を受賞。さらにアニメ化もされるなど破竹の快進撃。さらには同じく『カイジ』の地下チンチロリン編の悪役・大槻を主人公とした『1日外出録ハンチョウ』も話題となった。

現在のマンガ界では出版不況もあり、ヒット作は貴重な存在だ。出版社側としてもヒット作をどんどん売り出していきたいところだが、作者1人では生産能力にも限界がある。その点スピンオフならば、作画者は別となるため、同じ世界観に基づいた関連作を、旬の時期に複数同時展開できるというメリットがある。これまでの「作品」単位の展開が、「作品群」単位に変わって来ているといえるのかもしれない。

(ライター 芝田隆広)

[日経エンタテインメント! 2018年12月号の記事を再構成]

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