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バド女子ダブルスなぜ強い 体格差、粘りの防御で補う 五輪代表争い、し烈に

2018/12/19 日本経済新聞 朝刊

高橋礼(右)と松友のペアはワールドツアーファイナルで優勝した(12月15日の準決勝、中国・広州)=共同

現在、バドミントンの女子ダブルスの世界ランキングには日本ペアの名前がずらりと並ぶ。ワールドツアー(WT)ファイナルで優勝した2016年リオデジャネイロ五輪金メダルの高橋礼華・松友美佐紀組、8月の世界選手権を制した永原和可那・松本麻佑組をはじめ、トップ10に5組がひしめく圧倒ぶりだ(12月6日時点)。日本の女子ペアはなぜここまで強くなったのか。

(注)12月6日時点の世界ランキング

「ディフェンス力があって、(一発で)決められなくても戦える」。日本の特徴についてこう話すのは高橋・松友組を指導する日本ユニシスの小宮山元(はじめ)監督だ。高身長の選手をそろえた中国勢や、身体能力の高い欧州勢に比べ小柄な日本はどうしてもパワーでは見劣りする。一方で、粘り強さという伝統がある。

その日本の長所を引き出したのが04年に監督に就任した韓国出身の朴柱奉氏だ。それまでは参戦を避けていたトップレベルが集う国際大会を次々と転戦。中国選手らの男子顔負けの力強いショットなどを年間百日ほど受けるうちに、本来の守備力が自然と磨かれた。

「スピードやパワーは慣れ。日本人は堅実なので、あとは相手の体力が落ちたら自分たちが上回ればよかった」と小宮山氏。「オグシオ」の愛称で人気を博した07年世界選手権銅の小椋久美子・潮田玲子組をはじめ、北京五輪4強の末綱聡子・前田美順組、ロンドン五輪銀の藤井瑞希・垣岩令佳組(再春館製薬所)らが実績を積み重ねていくことで、一つの「日本らしさ」が出来上がった。

永原(右)と松本のペアは高身長を生かしたスマッシュが特徴だ(12月13日のワールドツアーファイナル、中国・広州)=共同

06年就任のA代表の中島慶コーチの存在も大きい。「日本としてひとくくりにせず、各選手の長所を伸ばしてくれる」と証言するのは、北都銀行の原田利雄総監督。例えば高橋・松友組は高校時代は粘りのプレーが特徴だったが、中島コーチの指導もあり、瞬発力のある前衛の松友が前で仕掛け、パワーのある後衛の高橋がスマッシュを打ち込む攻撃の形が確立された。

世界1位の福島由紀・広田彩花組ならば安定したラリー、永原・松本組は高身長を生かしたスマッシュ。今の日本勢は皆、バラエティーに富んだ特徴を持つ。「日本人だからこう、というのではなく、常に各ペアの特徴をどう引き出すかを考えている」と中島コーチ。

■国際大会の転戦で自信つける

「昔はトーナメント表で強豪国の名前を見ては弱気になった。今は自信がつき、自分たちが一番強いとも思っている」と小宮山氏。高橋・松友組らの活躍で若手が奮起し、今では日本ペアが週替わりで表彰台の真ん中に立つ。B代表のカレル・マイナキー・コーチによれば「『自分たちもやればできるかも』という雰囲気があり、厳しい練習にもめげない」。B代表ながら世界ランク10位へと躍進した桜本絢子・高畑祐紀子組ら新星も次々と現れている。

代表争いは激しさを増している。五輪と同じように1カ国2組しか出場できない16日閉幕のWTファイナルでは、高橋・松友組、永原・松本組が出場権を得て、世界1位の福島・広田組が外れたほどだ。

ただ、中島コーチは「この1年は結果が出たが、この先の保証はない」と危機感を口にする。アジア大会では中国ペアに金メダルを譲った。各国、特に中国勢が目の色を変え日本の牙城を崩そうと研究してきている。

朴監督は「(他国と比べ)攻撃で決めるのはまだ難しい。ネットプレーやドライブがもっと良くなったら」とプレーの精度を上げるよう各ペアに注文をつけている。

(堀部遥)

[日本経済新聞朝刊2018年12月12日付を再構成]

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