米国の砂漠に何千台ずらり 車と飛行機の墓場の絶景

日経ナショナル ジオグラフィック社

「長距離を飛ぶときには、音楽をたくさん聴きます」と同氏は話す。「私の中では、音楽や飛行、写真は結びついています。音楽では、構造と構成、色彩と模様、雰囲気と品格をよく工夫しなくてはなりません。これは写真にも当てはまることだと思います」

南カリフォルニア物流空港は、フォルクスワーゲンが回収した車を集めた37カ所の保管所の1つだ(PHOTOGRAPH BY JASSEN TODOROV, 2018 NATIONAL GEOGRAPHIC PHOTO CONTEST)

同氏は、管制塔と慎重に連絡を取りながら飛び、撮影したいと思っていた場所の上空を数回飛行することに成功した。事前にグーグルマップで同地域を調べ、撮りたい写真を心に思い描いていた。

管制塔と通信しながら飛行機を操縦し、同時に写真を撮るというのは至難の業だが、彼は何年もかけてその技術に磨きをかけてきた。その場所に近づくと、トドロフ氏は感極まった。

「車は、ただそこに置かれ、砂埃に埋もれていました」

何千台ものフォルクスワーゲンやアウディが、カリフォルニア州のモハベ砂漠の真ん中に放置されている。09年~15年に製造された車種について、米環境保護庁が義務づけていた排ガス試験で不正が行われていたことが15年、発覚した。不正発覚後、フォルクスワーゲンは数百万台をリコールし、回収した車の保管所を全米に37カ所作った。

トドロフ氏は語る。「このような光景を撮影することで、逆に地球の美しい自然に対する意識が高まり、さらに環境に配慮するようになることを願っています」

南カリフォルニア物流空港には、引退した飛行機も保管されており、部品取り用に使われたり、スクラップにされたりしている(PHOTOGRAPH BY JASSEN TODOROV, NATIONAL GEOGRAPHIC YOUR SHOT)

同氏は、ナショナル ジオグラフィック協会の写真コミュニティ「Your Shot」の会員でもあり、これからも写真を撮って投稿を続けるつもりだと言う。「入会して以来、Your Shotが生活の中心になってしまいました。世界中から投稿される数多くの素晴らしい写真を見ていると、すぐに夢中になってしまいます」

次ページでは、墓場だけでない、ジャッセン・トドロフ氏が空から撮った「空からとらえた絶景」をご紹介する。

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