民泊半年、上乗せ規制の寒風 9割の自治体で独自書類

戸建て型の民泊施設で住人の山口さん(左端)と交流するタイ人一家(12月11日、東京都世田谷区)
戸建て型の民泊施設で住人の山口さん(左端)と交流するタイ人一家(12月11日、東京都世田谷区)

住宅宿泊事業法(民泊新法)施行から12月15日で半年となった。新法での民泊施設は1万を超え、9月までの延べ宿泊者は約70万人に達したが、民泊全体の稼働率は前年割れの月が目立ち、ホテルなどに対して存在感はまだ小さい。当初の期待ほど増えず、自治体の過度な上乗せ規制が成長の芽を摘んでいる面は否めない。一方、民泊事業者は高級物件を開いたり、依然残る違法物件の根絶へ業界団体を立ち上げたりし、市場の活性化に向けた取り組みが続く。

東京都世田谷区の戸建て住宅。「これがきな粉ですか」。妻、娘と旅行中のタイ人ジラワットさん(45)は、住人の山口結衣さん(37)とお茶を飲み、食文化について談笑していた。「気軽に相談でき、布団も快適」と利用は3度目だ。山口さんの自宅は夏に新法で営業を始め、料理づくりや書道の体験も提供する。

観光庁によると、民泊新法で届けた施設は11月末に1万2268件と6月15日時点と比べ3.3倍に増加。9月末までの3カ月半に延べ69万491人が泊まった。旅館業法や国家戦略特区の物件も含むと国内の民泊施設は3万件前後とみられ、延べ宿泊者も計100万人を超えている可能性が高い。

もっとも当初の期待ほど伸びていないのも事実だ。データ分析のメトロエンジン(東京・港)の推計では、仲介最大手エアビーアンドビーに載る民泊施設の6~10月の稼働率は47~56%。旅館を上回るものの前年同月比では6月を除き微減だった。

観光庁によれば同期間にシティーホテルには延べ約2500万人が泊まっている。民泊を100万人が利用したとしてもシティーホテルの4%程度。シティーホテルの集計対象が約20万室とはいえまだ差は大きい。

無届け施設の掲載禁止やキャンセル騒動で敬遠された面もあるが、違法物件は減り市場は正常化に向かっている。

自治体の約2割は任意で現地調査

焦点は自治体の上乗せ規制だ。自治体側は訪日客を呼び込み、関連の消費増や税収増などで地域経済を潤したいという思惑があるが、民泊を警戒する住民の声にも応えようとする。「物件はあまり増えてほしくない」と忌避する自治体もある。