有森裕子 私がカンボジアで体育教育を支援する理由

日経Gooday

今後の目標は、体育教育の専門家を育成する国の教育機関として、現在の2年制の専門学校を4年制の体育大学に移行し、教育者や体育教育専門家を育成するお手伝いをすることです。カンボジア政府も現在、教育改革に取り組んでおり、私たちの活動は、共にカンボジアに4年制体育大学を作るという新たなフェーズに入っています。

こうした事業のほかに、毎年「カンボジアスタディツアー」を開催しています。アンコールワット国際ハーフマラソンに出場する前に、ツアーの参加者が「ニュー・チャイルド・ケア・センター」を訪問して現地の子どもたちと交流したり、子供の歯科検診や歯磨きサポートなどのボランティア活動を継続したりしています。

障がい者スポーツ支援としては、「アンコールワット国際ハーフマラソン」で活躍した優秀な選手を「かすみがうらマラソン」に招へいしていますが、そのほかに2017年には、車いす選手を日本に招いて、岡山県のパラリンピアンに競技を学びました。そして2018年は、日本のパラリピアンにカンボジアに来てもらい、プノンペンの陸上競技場で、選手だけでなく指導者も学べるようなトレーニングセミナーを開催してもらいました。

こうした活動を20年も続けてこられたのは、スタッフの皆が地道にがんばってきたからです。しかし逆に言えば、20年かかっても依然としてカンボジアは支援が必要な状況であることには変わりないということにもなります。最終的には、われわれの支援がなくても、カンボジアが教育者を育てる機関を持てるような、自立につながることが目標であり、そこまでサポートできればいいなと思っています。

スポーツは人間の体と心を鍛え育むすばらしい手段です。だからこそ、現役のトップアスリートや、OBやOGたちは、スポーツにおける社会貢献にぜひとも賛同してほしいですし、スポーツを通じて得た経験を社会に生かしていただけたらと思います。そして、2020年の東京オリンピックの時だけでなく、それ以降も、アスリートの社会貢献活動がもっと広がればいいと思います。記録やメダルばかりに目を向けるのではなくて、社会を良くし、人を元気にできるスポーツの力を知っていただきたいですね。

カンボジアの小学校では運動会も始まりました。(写真提供:ハート・オブ・ゴールド)

(まとめ:高島三幸=ライター)

有森裕子
元マラソンランナー。1966年岡山県生まれ。バルセロナ五輪(1992年)の女子マラソンで銀メダルを、アトランタ五輪(96年)でも銅メダルを獲得。2大会連続のメダル獲得という重圧や故障に打ち勝ち、レース後に残した「自分で自分をほめたい」という言葉は、その年の流行語大賞となった。市民マラソン「東京マラソン2007」でプロマラソンランナーを引退。2010年6月、国際オリンピック委員会(IOC)女性スポーツ賞を日本人として初めて受賞した。

[日経Gooday2018年12月11日付記事を再構成]

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