京大合格34年ぶり1位 大阪・北野、データで生徒支援大阪府立北野高校の恩知忠司校長に聞く

就任後、データ分析チームを整備して調べてみると、いろいろな発見があったという。たとえば、高校生の学力が中だるみに陥る時期は、何となく2年に進級したころだと想像していた。ところが、データ分析では、中だるみは1年の後半に始まり、3年の4月に元に戻ることがわかった。そこで「1年の後半と2年の後半に、進路指導などの機会を利用して生徒にちょっとしたメッセージを発信したら、卒業まで成績がずっと右肩上がりになった」という。

部活動をしている生徒の場合は、引退してから受験モードに切り替えるのでなく、2年の10月ごろに勉強のギアを少しだけ上げるよう指導したら、切り替えがよりスムーズになった。これもデータ分析の成果という。

北野高校。大阪市の北部を流れる淀川にも近い

「基本はあくまで生徒一人ひとりの頑張りと現場の先生たちの経験に基づいた指導であって、データはあくまでサポート役。でも、データがあれば、より説得力を持って生徒を指導できる」と恩知氏はデータ活用のメリットを語る。

受験勉強とは別に、生徒一人ひとりの情報発信力の習得・強化に力を入れているのも北野の特徴だ。これは、14年度に文部科学省から「スーパーグローバルハイスクール(SGH)」に指定されたのがきっかけだ。

「世界に発信できる」人材を育成

たとえば、1年生のときには「総合英語」や「国際情報」といった授業を通じて、英語でディベートする力やプレゼンテーション能力を身につけるよう促す。英語は、ネイティブの教師による授業もある。さらに1、2年生は、希望すれば米国や台湾を数日間訪れ、海外を肌で感じる研修ができるなど、「英語に力を入れているのも特徴」(恩知氏)だ。これからの日本人には、世界の技術や文化を吸収するだけでなく「世界に向かって日本を情報発信する力が大切」(同)との考えからだ。

実はSGHの指定は、18年度に終わる。19年度以降も現在のプログラム内容を維持しようとすれば、国の財政支援に代わる資金が必要になる。だが、恩知氏は「北野には、卒業生4万人の強固な同窓会組織があり、寄付も多い」と、継続に自信を見せる。

実際、ギャラリーのある「六稜会館」という美術館のような建物(地上3階、地下1階建て)は、創立130周年を記念する卒業生などからの募金で建てられたもの。在校生や卒業生、教職員の文化活動などのスペースとして利用している。

「不易流行」。インタビューの間、何度か恩知氏の口を突いて出てた言葉だ。「文武両道など北野の伝統を大切に維持しつつ、英語や情報発信力の強化などグローバル時代にふさわしい新しい教育にも力を入れていきたい」。恩知氏はこう力を込めた。

(ライター 猪瀬聖)

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