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海外旅行先での支払い 手数料を比べ、賢くカード選択

2018/12/16

写真はイメージ=PIXTA

平日の夜遅く。年末の追い込みで残業を終えた良男がようやく帰宅しました。出迎えた幸子と2人でダイニングに入ると、満が海外旅行のガイドブックを読み込んでいます。なかでも各国で使われている通貨に関心があるようです。

筧幸子(かけい・さちこ、48=上) 筧良男(かけい・よしお、52=中) 筧満(かけい・みつる、15) 

筧良男 満、何しているんだ?

筧満 海外旅行先について調べていたんだ。年末年始はパパもお姉さんも休みが長く取れそうだし、4~5月のゴールデンウイーク(GW)は10連休だから。僕、尊敬する米国の著名投資家が株式を保有していて日ごろ愛飲している清涼飲料水を現地で買って飲んでみたいんだ。お小遣いは普段の買い物でたまったポイントを電子マネーに交換してまかなうからさ。

良男 満が日ごろ使っている前払い式の電子マネーは、海外では使えないぞ。

 そうなの? 海外旅行先では普通、どうやって支払いをするの?

筧幸子 昔からある方法だけど、現地の空港や街中にある両替所などで交換した現地の通貨、つまり現金で支払うのが一般的ではないかしら。

良男 会社の同僚から、海外で使い切れなかった紙幣や硬貨を見せてもらったことがあるな。少しもったいないよね。

幸子 多額の現金を持ち歩くということは、それだけ紛失の恐れや、盗難などの被害や犯罪に巻き込まれる可能性も高まるということよ。JCBが全国の20~69歳の男女1000人を対象に実施した調査によると、海外旅行での現金の持ち歩きについて29.3%が「非常に怖い」、38.1%が「やや怖い」と答えているの。3分の2超の人が現金の持ち歩きに不安があるようね。

 じゃあ、現金以外にどんな支払い手段があるの?

幸子 多くの専門家が勧めるのがクレジットカードやデビットカード、プリペイドカードといった非現金型、いわゆるキャッシュレスの決済手段よ。仮に盗まれても、暗証番号を入力したり署名したりしないと利用できないし、盗難に備える補償がつくものもあるからね。

良男 海外ではどのくらい普及しているのかい?

幸子 野村総合研究所によると、個人消費(家計の最終消費支出)に対するキャッシュレス決済の比率(2016年)は日本の19.8%に対し、英国68.7%、米国46%。これら先進国だけでなく、日本はインド(35.1%)よりも低いの。海外のほうがキャッシュレス決済が浸透しているといえそうね。

 これらのカードは具体的にはどんなふうに使うの?

幸子 国際ブランドのVISAやマスターカード、JCBなどが運営する決済システムの加盟店で利用できるわ。それぞれ支払いのタイミングが異なっていて、クレジットカードはまとめて、または分割で金融機関の口座から後日引き落とすの。デビットカードも銀行口座からの引き落としで原則、即時引き落としよ。プリペイドカードは事前に入金(チャージ)した残高から即時に引き落とすの。

 3種類のカードからどれを選んだらいいのかな?

幸子 短期間の旅行なら、利用するまでに手間がかからないものを選ぶのがいいわ。パパみたいに安定した収入のある会社員で、普段から買い物や飲食などの支払いに使っているならクレジットカードが便利ね。

良男 なるほど。

幸子 ただ、クレジットカードは原則18歳未満はつくれないから、満は持てないの。一方、銀行ごとに条件は異なるけれど、デビットカードなら15歳から、プリペイドカードには親権者の同意があれば年齢制限なく持てるものもあるので選択肢になるわ。デビットカードとプリペイドカードは収入などの審査を受けなくても持つことができるしね。

 海外留学を目指したり、頻繁に海外出張したりする人にお勧めはあるの?

幸子 利用する際にかかるコストを意識したほうがいいかもしれないわ。カード決済をする際、私たちが普段使っている円を外貨に交換して支払うのが一般的よ。交換する際のレートは為替市場ではなく、国際ブランドが提示するレートなどを適用するの。さらに、各カードの発行会社が決めた事務手数料が別途かかるわ。事務手数料は発行会社のサイトを見たりすると確認できるわよ。

良男 割高な気もするな。ほかにいい方法はないの?

幸子 デビットカードやプリペイドカードには金融機関に預けている外貨預金を支払いに充てられるものがあるわ。この場合は事務手数料がかからないものもあるの。一方、プリペイドカードにはチャージや払い戻しに手数料がかかるものがあるわ。クレジットカードやデビットカードも年会費がかかるものがある一方、独自にポイントを付与したり現金を還元したりするなどの特典もあるので、総合的に判断する必要があるわね。

 ほかに注意点は?

幸子 万一、不正利用された際の補償についてはカードごとに異なるので、手続きも含めて事前に確認しておくといいわ。カード決済に詳しいポイ探(東京・世田谷)代表の菊地崇仁さんは「プリペイドカードの中には会員用のアプリで一時的に利用を止められるものがある」と助言しているの。こうした機能も把握したうえで、上手に使いこなせるといいわね。

■メインのクレカは避けて
ポイ探代表 菊地崇仁さん
利用金額に応じて付与されるポイントを効率よくためるため、公共料金や携帯電話料金などを1枚のクレジットカードでまとめて支払っている人もいるでしょう。海外旅行先でこうしたメインのカードを使う際は注意が必要です。紛失すると手元に戻る可能性は低く、再発行するとカード番号も変わるので、多くの支払先に変更手続きをしなければなりません。請求書の明細を確認する際も、公共料金などの決済と見分けるのに手間がかかります。
海外でクレジットカードを使う際は、予備的に持っているカードで支払うのも選択肢です。年会費が無料だったり、海外旅行保険が付帯していたりするカードを選ぶと良いでしょう。プリペイドカードやデビットカードは利用限度額を管理しやすいので、クレジットカードと併用するのも一案です。
(聞き手は藤井良憲)

[日本経済新聞夕刊2018年12月12日付]

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