「した覚えがない」と「忘れてた」 違いはたった一言デイビッド・セイン「間違えやすい英語」(48)remember

2018/12/13

ビジネス英語・今日の一場面

言葉の使い方を間違えて相手に誤解されてしまった。そんな体験はどなたにもあると思います。日本人向けの英語教育で豊富な経験を持つデイビッド・セインさんが、日本人が間違えやすい英語の使い方を解説します。今回は、記憶に関する単語のrememberの使い方についてお話ししていきます。今回は相手の発言を間違って受け取ったことによる誤解例を紹介します。

◇  ◇  ◇

勉強するときはいつも完全を目指す。しかし会話をするときは通じることを目指す。これが英会話には必要なポイントです。相手を前にして英語を話すときは、完璧な英語でなくても構いません。間違いがあってもいいのです。フレンドリーに笑顔で話せば、不完全さは補われます。間違いを恐れず英語を話しましょう。そして勉強するときは完全を目指しましょう。

ABC社から連絡を受け、先方はどうやら契約書を待っている模様。ナンシーに契約書について聞いてみたら、どうやら忘れてしまったらしい。大事な契約書なのに、あまり深刻じゃなさげなナンシーの態度に戸惑うヒロシ。どうやらナンシーの言葉を取り違えてしまっているようです。いったいどこで誤解がおきてしまったのでしょうか。

それはこんな会話でした。

Hiroshi: ABC said they're still waiting for the contract.
Nancy: Oh? I don't remember sending it.
Hiroshi: Oh, no! You forgot?! This is terrible.
Nancy: Don't blame me! It wasn't my fault.
Hiroshi: But you said you forgot to send it.
Nancy: No, I didn't! I just said I don't remember sending it.
Hiroshi: Huh?

実際はこれがナンシーの言いたかった内容です。

ヒロシ:ABC社が契約書を待ってるみたいだけど。
ナンシー:本当? 送った覚えはないけど。
ヒロシ:え? 忘れたの?! それはまずいよ!
ナンシー:責めないでよ、私のせいじゃないわ。
ヒロシ:だって、今送るの忘れたって言ったよね。
ナンシー:言ってないわよ。ただ、私に送った覚えはないって言ったのよ。
ヒロシ:え???

rememberは「覚えている」という意味ですが、そのあとに、動名詞が続くか、to不定詞が続くかで意味が変わってきます。ヒロシとナンシーのすれ違いの原因はどうやらそこにあるようです。ナンシーのセリフのようにrememberの後に動名詞が続く場合は、「~したことを覚えている」という意味で、すでに起こったことを表します。例えば、He remembers visiting this park when he was a child.なら、「彼は子供のころ、この公園を訪れたことを覚えている」という意味になります。なのでdon't remember ...ingで「~した覚えはない」という意味になります。I drank too much last night. I don't remember going back home.(昨日は飲みすぎて、家に帰った覚えがない)のような使い方をします。

では、どう答えればよかったのでしょうか?

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この際おさえておきたいrememberの使い方