オリーブオイル選ぶコツ 表示・色より生産者が肝心

日経Gooday

エキストラバージン・オリーブオイルの中には、1本で数千円、1万円とするような高額なものもあるが、「値段が高いからいいというわけではありません。ただ、先に説明したような手間暇をかけて作るので、極端に安いものはまずない。価格は正直目安にはなりませんが、あえて金額を明示するとしたら、ポリフェノールの含有量が多いトップレベルのエキストラバージンならば、250ミリリットル瓶で2000円ぐらいから上が価格の目安です」と多田さん。日常使いの油としては少し値の張る買い物だが、日本の厚生労働省にあたる米食品医薬品局(FDA)の指標によれば、毎日大さじ2杯をとるだけでも心臓疾患の予防が期待できるという。

「本物のエキストラバージンの世界はワインのように豊かです。メロンのようにフルーティーで甘いものがあるかと思えば、驚くほど辛いものもある。品種もバラエティーに富んでいるので、異なった品種を比べると味の違いが分かりやすく面白いですよ」と多田さんは楽しみ方を提案する。

風味の違いを実感するためには、100ミリリットルぐらいの小さな瓶を複数そろえるのも一つの方法。色々な油を実際に比べることで、風味の微妙な個性の違いも次第に分かるようになるという。多田さんによると、風味の特徴が一番よく分かる料理は、エキストラバージンと塩をかけただけのパスタだそうだ。

刺し身が少し生臭いときも、エキストラバージンを振りかければ風味が良くなる。写真はイメージ=(c)Petr AtA pAinek-123RF

ちなみに、少し生臭くなってしまった刺し身も、エキストラバージンを少量振りかけるだけでグレードアップするという。「肉に合うもの、魚の味を引き立てるものなど風味の違いが分かると楽しみが広がります。ぜひオリーブオイルを使い分けてほしい」

エキストラバージン・オリーブオイルは加熱してはいけないという誤解もあるが、先述した通り、酸化に強い油であるため、火を使った料理に用いるのもOKだ。

最後に気を付けたいのは保管方法。いくらいいエキストラバージンを手に入れても、保管が悪ければあっと言う間に酸化してしまう。家庭で気を付けたいのは、次のような項目だ。

●冷蔵庫に入れない――油が固まってしまう。常温下でも自然には元の油の状態に戻らないため、使用するには30℃以上まで温める必要があり、これを何度も繰り返すとどんどん酸化してしまう。

●ガス台の周囲、流しの下に保管しない――いずれも、繰り返し熱を帯びることで酸化が進んでしまう。流しの下はお湯を使うことなどで意外に暖かくなりやすい。理想的な保管場所は床に近い涼しいところ。生産者のタンクは大方15~18℃で温度コントロールされているので、それが管理温度の目安。

●光が入らないようにする――透明瓶に入っているものは、放っておくと2、3日で光により酸化してしまうため、瓶が入っていた箱に入れて保存するかアルミホイルを巻いておく。

健康効果だけでなく味わいの楽しみもイメージすることが、エキストラバージン・オリーブオイル選びのコツとなりそうだ。

(ライター 大塚千春)

多田俊哉さん
日本オリーブオイルソムリエ協会理事長。日本油化学会会員。国際基督教大学卒業後、モルガン銀行、JPモルガン証券、大手食品商社を経て、大前研一氏主宰の大前・ビジネス・ディベロップメンツ設立にともない執行役員として経営参画。2009年日本オリーブオイルソムリエ協会設立。海外の主要オリーブオイルコンテスト審査員を歴任し、2012年より日本初の国際オリーブオイルコンテスト「OLIVE JAPAN」を開催。著書に『そのオリーブオイルは偽物です』(小学館)など。

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