オリーブオイル選ぶコツ 表示・色より生産者が肝心

日経Gooday

一方のオレイン酸はオリーブオイルの主成分。オレイン酸などの一価不飽和脂肪酸は酸化しにくいため加熱調理に向き、善玉コレステロール(HDLコレステロール)の値を下げず悪玉コレステロール(LDLコレステロール)値を下げる働きがある。

ポリフェノールやオレイン酸が豊富なエキストラバージン・オリーブオイルをたっぷり使った地中海食が動脈硬化や心臓病のリスクを減らすことはよく知られており、最近では、エキストラバージン・オリーブオイルが認知症予防につながることを示す研究も報告されている。

多い偽物!「認証」「色」「酸度」のどれもアテにならない

さて、健康効果を期待して、エキストラバージン・オリーブオイルを選ぶというだけであれば、一見簡単なように思える。ちまたにはこの表示がある輸入製品があふれているからだ。ところが、ここに厄介な問題がある。「エキストラバージンとの表示がある場合でも、それ以下のバージン・オリーブオイルや精製オリーブオイルが混ぜられているなどの偽物がほとんどで、本当に基準を満たすものは2割もない」からだ。

「日本にはそもそもエキストラバージン・オリーブオイルに関する法規定がないので、表示は生産者任せになる。海外製品は本来ならIOCや各国の基準などに準じて表示されているはずですが、認証には第三者ではなく生産者自身も関わっているため、エキストラバージンを少し混ぜただけの低品質の油を最高グレードとして表示する例などが後を絶たないのです」。そのため、知らない生産者による製品の瓶やそこに表示された情報を見ただけで品質を判断するのは、プロでも不可能だという。

瓶の色も油の色も品質選びの目安にはならない。写真はイメージ=(c)ifong-123RF

例えば、酸化を防ぐために暗い色の瓶を用いている――良い油の選び方として紹介されることが少なくないが、「中には、きれいな油の色を見てほしいと、わざわざ透明な瓶を使う高品質エキストラバージンの作り手もいます」と多田さんは指摘する。ただし、光による酸化を防ぐためこれらは必ず箱などに入っているので、むき出しの透明瓶に入った製品は避けるべきだろう。

また、油の色も品質の基準にはならない。オリーブオイルのテイスティングを行う際は、色による先入観を持たないよう濃い青色グラスが使われるほどだ。それでも、辛み、苦みがエキストラバージンが含有するポリフェノールの特徴であるがゆえに、いかにもポリフェノールをたっぷり含んでいそうな鮮やかな緑色の油の方が高品質だと思っている人は多い。しかし、実際には品質と色は関係なく、「むしろ、いいエキストラバージンは黄色いものが多い」そうだ。

加えて、しばしば瓶に記載されている「酸度」についても、指標にならないと多田さんは説明する。これは、IOCが定めるエキストラバージンの酸度0.8%以下という基準がもとよりゆるいためだ。「酸度が低いということは、新鮮さを表しているのでは」と思ってしまうが、バージン・オリーブオイルのレベルでもエキストラバージンの基準に収まる数値になるものも多く、非常に低い酸度が表示されていても風味に欠陥があるケースが少なくないという。

品質の優れたエキストラバージンであれば、酸度の表示がラベルに大きく表示されていなくても、IOCの基準をはるかに下回る値でクリアしているという。「酸度の値がきちんと記載されていて、それが低ければ低いほどいい」というのはシロウトの思い込みのようだ。

風味の良しあしは何で決まる?

ちなみに、「風味に欠陥がない」ことは、先ほどの表にもある通り、エキストラバージンの条件の一つだが、そもそも「風味に欠陥がない」「ある」とはどういうことだろう。

オリーブの実は傷みやすく、収穫後なるべく早く、できれば12時間以内に搾油しなければ、腐敗や、発酵が進んでしまう。「広大な畑を持つ生産者でも、収穫後すみやかに搾油所まで運び、2時間ほどで搾油を終えないとエキストラバージンとなるようないい品質の油はできません。そのため、収穫期になると収穫して搾油するという作業を24時間続けるような状態になり、これが1、2週間にわたるという過酷な現場になります」。一方で、こうした手間を避ける生産者は、摘んでから何日分かため置いたオリーブから油を作る。こうしたことなどから、完成した油からは酸っぱい香りやカビ臭さがまとわりつくようになる。つまり「風味に欠陥あり」となるわけだ。

どんな生産者が作っているかに注目

そうしたわけで、勘のいい方であればすでにお気づきだろうが、商品を選ぶ際の一番の目安は「生産者」だ。「生の果実を用いて作るオリーブオイルは、言ってみればワインと同じ。手間を惜しまず作る生産者は、いつも安定した質の製品を作る」からだ。これと思う生産者と出会うためには、専門家のいるショップで相談したり、日本や海外で開かれるコンテストの入賞者を参考にしたりするのが近道だ。コンテスト入賞者の製品の多くは瓶にその旨が記されるので店頭でも探しやすい。

「ただし、中には過去の栄光にあぐらをかいている生産者もいるので、古い受賞歴ではなくなるべく新しい受賞の表示をしている製品を選ぶようにしてください。『エキストラバージン』と名乗るだけでは差別化できないオリーブオイルは、受賞が生産者にとって大きな販促に結びつくので、同じ生産者が毎年のように色々なコンテストに出品します。秋に収穫された果実は春にはオリーブオイルとして店頭に並び、コンテストはだいたいその頃開催されるので、春以降に買うならその年の入賞者を選ぶのがベストでしょう」

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