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長期休暇は引き金になりやすい ゲーム依存に注意 ゲームと病気(上)

日経Gooday

2018/12/20

「例えば、サッカーで上達してプロになるには相当の努力が必要ですが、ゲームは簡単にうまくなるようにできています。彼らは現実生活のストレスやトラブルを避けて、簡単に称賛が得られたり、居場所が見つかったりするゲームの世界へと逃げ込んでしまうのです」(樋口さん)

ゲームにのめり込むほどに感情をコントロールできなくなり、「性格が変わったみたいに突然キレたようになる」と表現されることもよくあるという。

「ゲームの中で人を殺したりしているわけですから、そうしたバーチャルな世界とリアルな世界の区別ができなくなっていくことは容易に想像できます。しかし、ゲームの種類にかかわらず、依存していると攻撃的になるというのは、概して世界的に同じ傾向のようです」(樋口さん)

このようなゲーム依存の影響が毎日の生活に広がると、親子の間にあつれきが生じる。思春期の男子の場合、多くは暴力など攻撃の矛先が母親に向かうので、受診する時点では疲弊しきっている母親も少なくないという。

■「やり過ぎ」と「依存」の境目は?

こうした背景を知ると、「自分の子ども(または自分自身)も危ないかも?」と気になる人もいるだろうが、「やり過ぎ」と「依存」の境目は分かりにくい。樋口さんによれば、「ゲームの過剰使用がある」ことと「そのために何か明らかな問題が生じている」ことがセットで起こっていれば依存が疑われる。

例えば朝起きられない、睡眠時間が短くて昼間居眠りする、仕事のパフォーマンスが落ちている、勉強しないために成績が落ちる、など少しでも日常生活に問題が起きていないかを振り返ってみよう。また、周囲の人からやり過ぎを指摘されたときにカッとなったり、むきになって否定したりする場合も、依存が進行していることの表れかもしれないという。

「明らかに度を越えた状態にありながら、それを指摘されると急に怒り出したりするのは“否認の病”ともいわれる依存症に特徴的な反応です。外来を受診する子どもたちもゲームをやめることには抵抗しますし、家庭で親御さんと争って、暴力を振るったりするケースも珍しくありません」(樋口さん)

■ゲーム依存になりやすいリスク要因は?

なお、樋口さんらが2016年、ゲーム依存に関する13の縦断研究(同一の対象者を一定期間追跡する疫学研究)をレビューしたところ、ゲーム依存のリスク要因も浮かび上がってきたという[注1]。次のような人は、そうでない人に比べゲーム依存になりやすい傾向があるかもしれない。

ゲーム依存になりやすいリスク要因】
●ゲームを始めた時期が早かった
●ゲーム時間が長い
●ゲームを原因とする問題がある
●父子家庭・母子家庭で育った
●(親もゲーム好きなど)ゲームを肯定する傾向が強い
●男性である
●友人がいない(少ない)
●衝動性が高い

依存が進行していることが疑われる状態なら、家族だけで抱え込まず、外部の力を借りるほうがいい。親や家族が言って聞かなくても、学校の先生や友人の言うことには従うというケースもあるという。医療機関に相談する場合、専門の病院や医師は少ないのが現状だが、まずは地域の精神保健福祉センターや以下のリストにある病院を参考に相談してみよう。

●依存症専門病院リスト(国立病院機構久里浜医療センターホームページより)
http://japan-addiction.jp/cl/2016_izon_senmon_hosp_list.html

ゲーム依存の進行は早く、長引くほど回復も難しくなってしまう。様子を見ても自然に良くなることはまずないので、できるだけ早い段階で適切な対応をしたい。できれば依存に陥る前に防ぎたいものだ。次回はゲーム依存からの回復、家族の対応や予防策について、お伝えする。

[注1]Mihara S,et al.Psychiatry Clin Neurosci. 2017;71(7):425-444.

(ライター 塚越小枝子、図版作成 増田真一)

樋口進さん
独立行政法人国立病院機構久里浜医療センター院長。1979年東北大学医学部卒業。慶應義塾大学医学部精神神経科学教室に入局、1982年国立療養所久里浜病院(現・国立病院機構久里浜医療センター)勤務。米国立衛生研究所(NIH)留学を経て1997年国立療養所久里浜病院臨床研究部長。2012年から現職。日本アルコール関連問題学会理事長、WHOアルコール関連問題研究・研修協力センター長、WHO専門家諮問委員(薬物依存・アルコール問題担当)。

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