ガラスレンズのヘッドライトやメッキフェンダー、クリア仕上げのクランクケースカバーなど、いまでは珍しくなったクラフトマンシップあふれるディテールを引き継いだ点も素晴らしい。特別な素材や製法が用いられることはないが、メーターやヘッドライトケース、タンクなど、ライディング中に目に入る部分の質感が高く、このクラスのオートバイの中では群を抜く満足感がある。

薄型ボディーとレンズを採用し、スマートな造形となった新型ウインカー
クロームメッキされたフェンダーやマフラーは意匠こそクラシックバイクだが、そのクオリティーは現代の水準で仕上げられている。早朝や夕方など、陽の傾く時間帯でのたたずまいは思わず息をのむほど美しい

クラシックバイクを現代の技術でアップデート

新型SR400の乗り味は独特である。構成要素はクラシックバイクそのものであるにもかかわらず、各部が現代の技術でアップデートされているからだ。だからリアルな旧車とは乗った印象はかなり異なる。

エンジンは古めかしい振動を発しても、それに共振して不快なビビリ音をあげるパーツはないし、ハンドリングにも変なクセはない。挙動に一貫性があって誰でも乗りやすい。クラッチも軽く、ブレーキだって不満なく利く。おまけにキックスターターでありながら始動性だって抜群だ。

古くあってほしいところは古いままなのに、新しくあってほしいところはちゃんと新しいのである。なお今回の試乗では134kmほど走り、3.86リットルのガソリンを消費した。1リットルあたりの走行距離は34.7km。かなりの好燃費である。

乗り手との人馬一体感がバイクの本質的な面白さであるなら、余計な装備を持たず、機械の手触りをダイレクトに感じられるクラシックバイクはその原点である。SR400はそんなクラシックバイクの味わいを日常的に楽しめるという点に大きな価値がある。こればかりはカタログを眺めているだけでは分からない。乗ったことのある者だけが知ることのできる愉悦である。

(仕様)
サイズ:全長2085mm×全幅750mm×全高1100mm 
シート高:790mm 
タイヤサイズ:前90/100-18、後110/90-18 
燃料タンク容量:12リットル 
車両重量:175kg 
エンジン:399cc空冷4ストローク単気筒SOHC2バルブ 
最高出力:18kW(24PS)/6500rpm 
最大トルク:28N・m(2.9kgf・m)/3000rpm 
価格(税込み):57万2400円 

高速巡行はお世辞にも得意ではないが、時速90km程度で淡々と走る分にはさほど疲労はない。その際のエンジン回転数は約4200rpmである。心なしか先代モデルよりも高速巡行時の振動がマイルドになったような気がした。純正タイヤが「メッツラー ME77」から「ブリヂストン・バトラックス BT45」に変わっていたのでその影響かもしれない。筆者も愛車(BMW R80)にこのタイヤを装着しているが、アスファルトからのザーザーとした微振動が明らかに低減するのが印象的だった。

発売40周年を記念した「SR400 40thアニバーサリー・エディション」も500台限定で登場。職人の手作業によるサンバースト塗装が施されたフューエルタンクや、専用エンブレムを採用したサイドカバー、専用シートなどを装備する。価格は69万1200円(税込み)

(佐藤旅宇)