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クラシックの愉悦 ヤマハSR400、40年目の新型

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NIKKEI STYLE

ヤマハ発動機は1978年の登場以来、ロングセラーを続けているSR400の新型を2018年11月22日に発売した。17年9月1日から(新型車は16年10月1日から)適用された「二輪車 平成28年排出ガス規制」に適合できなかったため一旦は生産終了を余儀なくされたものの、基本構造を変えることなく規制適合モデルとして復活させた。

SR400は基本設計が40年以上も前であることに加え、パワーユニットに現在では一般的な水冷エンジンではなく空冷式の単気筒エンジンを搭載する。年を追うごとに厳しさを増す排出ガス規制をクリアするのはかなりの苦労が伴ったことだろう。排ガスをクリーンなものにするには燃焼温度の安定化が肝となるため、SRのような排気量の大きい空冷単気筒エンジンは不利だからだ。

SRがそれでも空冷エンジンに固執したのは、「変わらないこと」がSRのアイデンティティーだからである。

排出ガス規制への適合は社会的にはもちろん意義のあることだが、規制適合後のモデルはパワーダウンや値上がりするというのが常である。並のバイクであれば、排出ガス規制が適用されるタイミングでフルモデルチェンジを敢行し、新開発のエンジンや流行を取り入れた新しいスタイリングによって規制適合によるネガティブな部分を補うこともできるが、70年代から変わらぬことを価値として認められているSR400ではそれが許されない。いまだにキックスターターを採用している理由もそれだ。モデル継続はヤマハ発動機にとって難しい判断だったに違いない。

かくして新型SRは価格が従来モデルの55万800円から2万1600円アップの57万2400円に。最高出力も19kW(26PS)/6500rpmから18kW(24PS)/6500rpmとわずかにダウンした。また燃料蒸発ガスの外気への放出を低減するためのキャニスター(燃料蒸発ガス排出抑止装置)もエンジン左前部分に装着された。エンジンの造形美もSRの魅力のひとつであることを考えると、やむを得ないとはいえ少々残念な変更ではある。

一方で、従来モデルの劣化版にはしないという開発者の意地も各部から感じられる。試乗した印象を交えてリポートする。

【エンジン】実質的なトルクアップで走りが気持ち良く

4ストロークの空冷SOHC2バルブエンジンはSR400のアイデンティティーともいえる。当初はさほどルックスを意識して作られたわけではないが、市場から大排気量の空冷単気筒エンジンが失われていくにつれ、冷却フィンで覆われたその独特の造形が目を引くようになった。排ガス規制に対応させるためFI(フューエルインジェクション)セッティングを変更し、ECU(エンジン・コントロール・ユニット)も新たに搭載された。エンジンの特性を決めるボアストローク比は初代モデルから変わらず87.0mm×67.2mmとなる。

最高出力は低下したものの、最大トルクは従来モデルと同じ2.9kgf・mという値を維持。それどころか発生回転数が従来モデルの5500rpmから3000rpmへと大幅に引き下げられている。実質的なトルクアップだ。

走ってみるとその違いは明らかだ。低回転域でのアクセルレスポンスが向上し、2500~3500rpmでは、いかにも大排気量単気筒エンジン(ビッグシングル)らしい地面を蹴るような加速感と鼓動が堪能できる。

400ccという排気量は大型バイクが主流の現在ではむしろ小さい部類だが、軽い車体と増大した低速トルクによって、ハーレーのように早めにギアを上げてゆったりと「流す」走りがさらに気持ち良くなった。

もともとSRは、オフロードモデルXT500のエンジンを流用した軽量スリムなロードスポーツバイクとして世に出たが、現在ではその立ち位置は明確に「レトロ」へ移り変わっている。新型SR400のエンジン特性は現代のライダーがSRに求めるものを正確に理解したうえでのファインチューンだと思う。もっともこのエンジンは低速トルクだけではなく、きっちり6000rpmまで回してのスポーティーな走りにも対応できる。この二面性もSRの伝統だ。

【マフラー】つくり込まれたぜいたくな音

美しくクロームメッキされたSRのマフラーはスタイリング上の大きなアクセントにもなっている。新型モデルはマフラーが新設計されているが、外観はそのままにエグゾーストノート、つまり「音」だけを徹底的につくり込むという、ある意味ではとてもぜいたくな改変を行った。歴代SRの排気音を聞き比べ、もっともSRらしいと感じたキャブレター仕様の音色を楽器メーカーのヤマハが持つ音響解析技術によって再現したという。

こちらも乗れば従来モデルとの違いはすぐに分かる。共振によるビビリ音がさらに抑え込まれ、中低速域の「ストトト」という単気筒らしいサウンドの一音一音がよりクリアに聞こえるようになった。スロットルをひねればまな板の上に置いた大根を中華包丁で断ち切るような快感が味わえる。

【スタイリング】

これは好みの範疇(はんちゅう)の話になってしまうが、新型に設定されたカラーはいずれも魅力的である。SRはシンプルでオーソドックスなスタイリングだけにカラーひとつで印象が大きく変わる。とくに今回試乗した「グレーイッシュブルーメタリック4」はトラディショナルでありながら、適度にカジュアルな雰囲気も加わり非常に好感が持てた。

ガラスレンズのヘッドライトやメッキフェンダー、クリア仕上げのクランクケースカバーなど、いまでは珍しくなったクラフトマンシップあふれるディテールを引き継いだ点も素晴らしい。特別な素材や製法が用いられることはないが、メーターやヘッドライトケース、タンクなど、ライディング中に目に入る部分の質感が高く、このクラスのオートバイの中では群を抜く満足感がある。

クラシックバイクを現代の技術でアップデート

新型SR400の乗り味は独特である。構成要素はクラシックバイクそのものであるにもかかわらず、各部が現代の技術でアップデートされているからだ。だからリアルな旧車とは乗った印象はかなり異なる。

エンジンは古めかしい振動を発しても、それに共振して不快なビビリ音をあげるパーツはないし、ハンドリングにも変なクセはない。挙動に一貫性があって誰でも乗りやすい。クラッチも軽く、ブレーキだって不満なく利く。おまけにキックスターターでありながら始動性だって抜群だ。

古くあってほしいところは古いままなのに、新しくあってほしいところはちゃんと新しいのである。なお今回の試乗では134kmほど走り、3.86リットルのガソリンを消費した。1リットルあたりの走行距離は34.7km。かなりの好燃費である。

乗り手との人馬一体感がバイクの本質的な面白さであるなら、余計な装備を持たず、機械の手触りをダイレクトに感じられるクラシックバイクはその原点である。SR400はそんなクラシックバイクの味わいを日常的に楽しめるという点に大きな価値がある。こればかりはカタログを眺めているだけでは分からない。乗ったことのある者だけが知ることのできる愉悦である。

(仕様)
サイズ:全長2085mm×全幅750mm×全高1100mm 
シート高:790mm 
タイヤサイズ:前90/100-18、後110/90-18 
燃料タンク容量:12リットル 
車両重量:175kg 
エンジン:399cc空冷4ストローク単気筒SOHC2バルブ 
最高出力:18kW(24PS)/6500rpm 
最大トルク:28N・m(2.9kgf・m)/3000rpm 
価格(税込み):57万2400円 

高速巡行はお世辞にも得意ではないが、時速90km程度で淡々と走る分にはさほど疲労はない。その際のエンジン回転数は約4200rpmである。心なしか先代モデルよりも高速巡行時の振動がマイルドになったような気がした。純正タイヤが「メッツラー ME77」から「ブリヂストン・バトラックス BT45」に変わっていたのでその影響かもしれない。筆者も愛車(BMW R80)にこのタイヤを装着しているが、アスファルトからのザーザーとした微振動が明らかに低減するのが印象的だった。

(佐藤旅宇)

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