異分子を結び「超・百貨店」へ Jフロント社長の挑戦J・フロントリテイリングの山本良一社長(上)

――他社との協業や外部人材の採用などを「異分子結合」と呼んでいますね。

「社長になってから、カードビジネスなど金融ビジネスの強化を掲げました。ところが、従来のメンバーでは新しい発想が出てこない。そこで、外部から専門性を持つ幹部を連れてきました。組織の中で違和感を持つ人もいましたが、斬新なアイデアが生まれてきています」

奥田務元会長のもとで、変革とは何かを学ぶ

現場が変わらなければ会社は変革できない

「百貨店事業では優秀な人材ですばらしい能力を持っていても、IT(情報技術)など他の分野はわからない世界です。そこに専門的な人材をいれる。価値観や仕事のやり方が違う人材をいれて、新しいものを作り出す。協業を含めて、そういうことを私は異分子結合と呼んでいます。社員にも外に行ってこい、百貨店とは関係のない多様な人材の話を聞いてこい、とよく言っています。今の時代は大変革期ですし、過去の延長線上に未来がないのは確かですから」

――03年に前身の大丸の社長に就任したときから、現場を重視していますね。

「店舗で勤務していた30~40代の若いころ、構造改革という言葉がはやりました。当社でも推進室のようなものができて、構造改革をやるんだと冊子が社員に配られました。ただ、中身は組織や人事制度の変更がほとんどで、現場にいた我々からすると、仕事は何も変わらない。結局、目立った成果は上がらず、現場が変わらないと何も変わらないことを痛感しました」

「経済や社会環境が変わると、進むべき会社の戦略や方向性が変わります。新たな戦略が明確になれば、仕事のやり方や組織も変える必要があります。従業員の能力や意欲も引き上げ、さらに職場風土も変えるなど、人間っぽいところもあいまって、ようやく変革というものが起きるわけです。現場が強くなれば会社もよくなるし、成果もあがるということを、社長に就任したときから意識していました」

――奥田務元会長(現特別顧問)の下で、営業改革を担当した経験が大きかったとか。

「奥田さんとは大阪・梅田店の開設準備室で初めて一緒に仕事をしました。こんな人が大丸にいるんだと思いました。私は現場で育ってきましたが、奥田さんは米国留学も経験しており、最新のマーケティング理論などを教えてくれました」

「最も印象に残っているのが、1998年からの営業改革です。最大の顧客満足を最小のコストで実現するというミッションがあって、私は部長として、仕入れから販売にいたるすべての業務を最適化することになりました。奥田さんの指示が明確でシンプルでわかりやすく、これをやればいいんだなとすぐ納得できました。社長ってすごいなと、感動した記憶があります」

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