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9千年前の奇妙な石仮面、16個目の発見 真贋は不明

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ナショナルジオグラフィック日本版

虚ろな目、歯をむき出しにした不可解な表情。イスラエル南部の砂漠で見つかる9000年前の石仮面群は、とても風変わりで、発見された数もわずか15個と極めて少ない。だからこそ先日、イスラエル考古学庁(IAA)が16番目の仮面が見つかったと発表すると、大きな注目が集まった。と同時に、従来からあった真贋(しんがん)論争にも再び火が付くことになった。

2018年11月のIAAのプレスリリースによると、この石仮面は数カ月前、同庁の盗難防止部隊によって発見されたという。仮面の発見後、ヨルダン川西岸南部のプネイ・ヘベル居住区付近に位置する「石仮面が最初に発見されたと思われる遺跡」では、考古学者らによる調査が行われている。先日開催されたイスラエル先史学会の年次総会において、IAA盗難防止部隊のロニット・ルプ氏、IAA考古学研究部長のオムリー・バルジライ氏が、仮面の初期調査の結果を発表した。

今回発見された仮面には、現在までに見つかっている他の仮面と多くの共通点がある。顔は人間のそれと同じくらいの大きさで、柔らかい石灰岩を彫って作られている。目の穴は大きく、口の線は強調され、仮面の縁には穴が穿たれている。穴は、この仮面を顔か何かに縛り付けるためのものだったと考える研究者もいる。

「実に見事な、美しい仮面です」。仮面の回収と、発見された遺跡の特定に携わったルプ氏はそう語る。「仮面を目にすれば、幸福感で涙があふれます」

暮らし方が変化した時代?

この新石器時代の仮面は美しいだけでなく、科学的にも重要なものだ。仮面の分析を行ったバルジライ氏によると、この仮面が作られたのは、一帯の人々が定住社会を築きはじめた時期にあたるという。

「狩猟・採集に基づく経済から、古代の農業や牧畜への移行には、社会構造の変化と、儀式を行う宗教活動の急激な活発化が伴った」。バルジライ氏はプレスリリースにそう記している。

この時代を専門とする米ネバダ大学の人類学名誉教授アラン・シモンズ氏も、同じ意見だ。「人口が増えて1カ所に多くの人が暮らすようになると、何らかの社会的な統制が必要になります。そこで、より様式化された儀式活動が行われるようになるのです」。この時代に見られるその他の儀式活動の痕跡としては、人をかたどった小さな像や石膏を塗りつけた頭蓋骨などがある。

目的は不明

これらの仮面が9000年前の社会において具体的にどのような目的で作られたのかは、謎のままだ。一部には、祖先崇拝と何らかの関係があるのではないかという意見もある。

「葬儀などの儀式のためのものだったのか、それとも単なる手の込んだパーティーグッズなのか。その答えは誰にもわかりません」とシモンズ氏は言う。

こうした謎の多くは、これまでに発見された新石器時代の仮面の大半が個人の所有物であり、確固たる考古学的な由来が不明であることに原因がある。IAAの発表によると、現在のところ、16個の仮面のうち考古学的な背景が明確にわかっているものは2つにとどまる。1つはイスラエル、ナハル・ヘマルの洞窟で見つかったもの、もう1つはイスラエルの軍人モーシェ・ダヤン氏が購入したものだ。

先日見つかった仮面の場合は、発見者である匿名の個人が、ルプ氏を発見場所に案内している。仮面が盗難防止部隊に自発的に提出されたものなのか、あるいは追跡の結果見つかったものなのかについては、複数の相反する情報があり判然としない。ルプ氏によると、遺跡の表面の調査からは、紀元前7500~6000年の火おこし用の石器が見つかったという。仮面の同位体および鉱物組成の予備的な分析により、この遺物が同地域周辺から発掘されたものであることがわかった。

大半の仮面の出どころがはっきりしないせいで、その真贋に疑問が持たれるのは理解できるとルプ氏は言う。彼女はしかし、新たな仮面の出どころは前述の遺跡であると確信している。

「今回の仮面の背景については間違いありません。(最終的な仮面の分析結果の)論文を発表すれば、この話には決着が付くでしょう」

証拠が足りない

考古学者の中には、発見場所が明らかになるだけでは不十分だと主張する者もいる。「どの遺跡から出土したかがわかったとしても、仮面がどのように使われたかが判明するわけではありません」と、米シカゴ大学の考古学教授、ヨーク・ローワン氏は言う。「仮面は墓と一緒に見つかったのでしょうか。そこは儀式が行われた、何らかの聖地なのでしょうか。こうした類の疑問への答えは、考古学的な情報がない限りわかりません」

米デポール大学の人類学教授で、仮面の真贋に関する論文を執筆中のモラグ・カーセル氏は、16個の仮面のうち、科学的に正しい手法で発掘されたものが1つだけであるという事実もまた、その他の仮面は偽物ではないかという疑念を抱かせる原因になっていると述べている。

本物説の支持派が根拠として挙げているのは、2014年に行われた、石仮面12個(個人が所有する由来不明の10個を含む)の表面のパティナ(薄膜)の分析だ。このときの分析結果は、仮面はすべてイスラエルの丘陵と砂漠のある狭い範囲で見つかったことを示していた。今回の仮面もまた、同じエリアから出土している。

それでも、偽物の遺物の表面に「本物の」パティナを偽造することも可能だと、カーセル氏は指摘する。「科学的に正しい手法で発掘されたものでない限り、その仮面が偽物かどうか、本当はどこに由来するものなのかといったことは、知りようがないのです」

シモンズ氏もまた、他の仮面の出どころがはっきりしないことから、今回の新たな発見について、手放しでは喜べなかったと述べている。「非常に興味深い発見であることは確かですが、もっと多くの証拠が欲しいところです。(今回の発見を聞いて)最初に思ったのは『ふーん、それは本物なの』でした」

(文 KRISTIN ROMEY、訳 北村京子、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック ニュース 2018年12月4日付]

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