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女性管理職が語る

後輩たちの成長を支援 「気づき」導く質問に心砕く P&G研究開発本部リサーチフェロー 松崎薫氏

2018/12/13

松崎薫・P&G研究開発本部リサーチフェロー

管理職として活躍する女性が仕事やプライベート、働き方への思いを自らつづるコラム「女性管理職が語る」。女性管理職が交代で執筆します。今回は、P&G研究開発本部リサーチフェローの松崎薫氏。初めての登場です。

◇  ◇  ◇

私は今、日本の研究所でリサーチフェローという職務を担っています。長年培った消費者理解のノウハウと製品開発における技術的な知識とを組み合わせて、日本はもちろんグローバル全体の研究開発職員のスキルアップに貢献することが重要な役割のひとつです。

若い頃から新たなものを創造する技術職ならではの魅力に取りつかれ研究開発のスペシャリスト職を究めたいと考えていました。入社17年目に管理職レベルへ昇進する際に技術専門職を選び、2012年に日本人で3人目、日本人女性で初めてこの立場に就きました。

現在、世界中の若手社員や中堅社員のテクニカルアドバイザーまたはキャリアメンターとして、10人ほどに定期的な個別オンライン面談をしています。後輩たちが私の経験やスキルを上手に利用し、成長する姿を見るのは本当にうれしいです。

後輩の芽を摘まないように心がけています。自分の経験からつい「それをしても無駄だった」などと言いそうになりますが、私の時とは時代も消費者も変わりました。そのアイデアがなぜ新たな機会を生むのか、彼らが自らの視点で見極めるための良質な質問を投げかけることが、私の役割だと考えています。

答えに早くたどりつくためではなく、新たな挑戦ができるよう、気づきを導く。この「よい質問」が実に難しく、正しい現状把握と仮説構築につながり、有用な検証実験を促すには、どう問いかければよいか、いつも心を砕いています。

長年働く中で家庭との両立のために働き方を大きく見直す必要に迫られたこともありました。第2子出産後、同居していた実父や叔母の介護にも直面しました。日々新たな課題が突きつけられ、正解も終わりも見えない介護生活の中で、いかに精神面での安定を保つかが最大の懸案でした。

共に介護を担った実母が「家族で介護するのが当然」という信念だったので、お互いの意見を尊重しながら価値観の違いに折り合いをつけ、介護する側も受ける側も無理なく生活が続けられる環境を維持することに時間と労力を費やしました。その時に役立ったのが、仕事で培った情報収集力やコミュニケーション力、問題解決能力です。

育児や介護などとの両立に悩む後輩によく話すのですが、私はプライベートで苦しい時こそ、仕事を続けたほうがよいと考えています。外の世界とのつながりを維持することで自分の陥った状況を客観的に捉えることができ、精神面での強さにつながると思います。

P&Gには個人を尊重する考えが基本にあります。一時的にワークライフバランスを見直す必要がある時も自分に合った柔軟な働き方を選択できるこの環境に大いに助けられました。育児、介護との両立は大変でしたが、仕事を続けて本当によかったと実感します。

様々な経験を重ねる中で、今までは全く関係ないように思えた別々の情報がつながり、何かが生まれる瞬間があります。年を追うごとに頻度が高くなる、ぞくぞくするこの体験はキャリアを重ねてきたからこそのご褒美だと思っています。今、子供たちに「お母さん、めっちゃ仕事が楽しそう」とよく言われます。

まつざき・かおる
1989年入社。研究開発本部で日本やアジアのヘアケア製品や化粧品の開発を担当。12年、日本人女性で初のリサーチフェローに。2児(大学生と高校生)の母。

[日経産業新聞2018年12月6日付]

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