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なやみのとびら、著名人が解決!

コミュニケーションが苦手です 著述家、湯山玲子さん

2018/12/13

著述家、プロデューサー。東京都生まれ。「女装する女」など著作多数。クラシック音楽のイベント「爆クラ!」を主宰。テレビのコメンテーターとしても活躍。

人とコミュニケーションを取るのが苦手になってしまいました。大学時代の友人と会うのが億劫(おっくう)になり、職場では後輩を指導すると考えただけで憂鬱になります。いつも笑顔でいたいのに、憂鬱さからぶすっとした表情になってしまいます。(大阪府・女性・30代)

「人と会って話してもつまんないし……」とこれが、コミュニケーションが億劫になることの真相です。ではなぜ、人と会って話すことがつまらなくなってしまったのか? 相談者さんは30代、いつまでも子ども気分が抜けない今の時代、やっと大人の入り口に立ったような時期だと思います。そうすると、それぞれが別の道を歩み出し、周囲で起こることがみんな一緒ではなくなっていきます。大学時代の友人と会うことが億劫になっているのも、共通の話題が無くなり、自分と相手を比較してモヤモヤすることが嫌なのだろうな、とも想像できます。

加えて、大人と子どもではコミュニケーションの質も違う。大人のそれは、「あるある。分かるよねー」で大笑いするクラスメートや同期会集団の狂騒のようなノリではなく、違うバックグラウンド、違うセンスの人間同士が、時間もコストもかけて、極端に言えば敵か味方かを判断するような、ある意味「面倒くさい」ものになっていくのが必然なのです。

「愛し愛されて生きるのさ」とは、オザケンこと小沢健二の歌のタイトルですが、人間関係の理想とはまさにコレ。こういう関係づくりには努力がいるのですが、同じ年齢の人間が同じ場にいて、同じような体験をすれば、おのずと仲間が出来、苦労も無くそれが手に入っていたのが日本の文化風土。しかし、ラクな分だけ退化してしまうのが、本当の意味でのコミュニケーションスキル。つまり、他人の「愛」を受け取るために自分自身を伝える言葉と、そもそも「生きのびていくのだったら、気が合う、尊敬できるいい人たちと支え合って生きていきたい」という意思こそが、他人との関係づくりに必要なのです。

コミュニケーションが苦手だという相談者さん。そこからはじめるのも悪くはないなあ。なぜならば、コミュニケーションというものは本来違う人間同士の「すり合わせ」であり、そもそも楽しいものではない。たとえば、テレビの連ドラ「おっさんずラブ」についての自分の感想が相手のツボに入り、熱気となって帰ってきた時、のように、自分の言葉が相手の心に届き、答えが帰ってくることの嬉(うれ)しさ、のような貯金を少しずつ殖やしていくしかないのです。

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[NIKKEIプラス1 2018年12月8日付]

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