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「バーミキュラの魅力に引かれて多くの人材が入社してくれた」と話す愛知ドビーの土方邦裕社長

「バーミキュラの魅力に引かれて多くの人材が入社してくれた」と話す愛知ドビーの土方邦裕社長

兄弟経営で鋳物ホーロー鍋「バーミキュラ」を大ヒットさせた愛知ドビー(名古屋市)。2017年にはそれまで主力事業だった部品加工の下請けをやめ、バーミキュラ事業に特化した。今後は海外市場にも本格進出する構えだ。急成長の背景にはどんな経営判断があったのか。人材はどうやって集めたのか。兄で社長の土方邦裕氏に聞いた。(前回の記事は「『バーミキュラ』生んだ職人魂 兄弟経営で町工場復活」)

下請けをやめ、バーミキュラに特化した

──バーミキュラを開発中だった08年にリーマン・ショックが起き、会社経営にも深刻な影響が及びました。それでも「世界最高の鍋」を作ることにこだわったのはなぜですか。

「やはり長く愛される商品を作りたいじゃないですか。それに類似商品を出したとしても、果たして継続的に売れるだろうかという心配もありました」

「奇跡的にうまくいった試作品の鍋で、(弟の智晴)副社長が水なしで作ったカレーを食べました。ニンジンがとても甘く感じられ、ニンジン嫌いの私でも鍋の中からニンジンを探して食べるくらい、おいしくできていました。こんなにおいしい料理ができるなら、絶対に世界で認めてもらえる。ふつうの鍋は出したくない、このレベルの鍋を量産できるまで頑張ろう、と思いました」

──17年5月に下請けをやめ、バーミキュラ事業に特化した理由は。

「できるなら両方やりたかったのですが、現実問題として、どちらかを選択しないといけない状況になりました。バーミキュラは型に使う砂からこだわって作っています。工業部品と同じラインで作ると、いろいろと支障が出てしまう。簡単に言うと、片方を安く作ろうとすると、もう片方が高くつくわけです」

「悩んでいた時に、副社長がいいことを言いました。工業製品を作れる会社は世の中にごまんとあるけれど、バーミキュラを作れる会社は愛知ドビーしかない。だったら、私たちの使命はバーミキュラを作り続けることでしょう、と」

「バーミキュラを作り始めてから工業製品の品質も上がってきて、お客さんの評価も高まっていました。鋳物を作り、精密加工までして納品できる町工場は全国にもそうありませんから、やめないでくれという声もありました。急にうちが部品の製造をやめてしまったら、取引先に迷惑がかかります。長年つきあっていただいた恩をあだで返してはいけないと思い、うちと同じ設備を持っていて後継者もいる工場にノウハウも含めて事業を移管し、そこから調達してください、と引き継ぎました」

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