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ライブ演芸、どこでも盛況 感謝感激の地方ツアー

立川吉笑

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NIKKEI STYLE

昔のヒット曲の題名みたいに、今日も雨が降っている長崎でこの文章を書いている。出演する落語会の9割近くが都内近郊の僕には珍しく、11月30日から4日間、東京を離れて落語を演じてきた。

落語会は、極端に言えば噺家(はなしか)ひとりと座布団1枚がそろえば、どこでもできる手軽な芸能だが、落語が育った江戸と上方を除くと「落語人口」はそれほど多くない。それだけに地方公演には潜在的なニーズが大きいと考えているのだが、その思いがさらに強まった。

若手芸人にもチャンス

まず伺ったのは名古屋。東京と大阪のどちらからもアクセスがよく、江戸落語だけでなく、上方落語の会もたくさん開かれているのが特徴だ。名古屋市の中心部には大須演芸場という素敵な小屋もある。

名古屋に僕のような若手を呼んでくれるのが「はじめ亭しげた」さんという、落語が大好きな女性。数年前から名古屋市や一宮市で、僕の独演会を主催してくれている。「月在天(げつざいてん)」というタイトルがついた今回の落語会は、4人の出演者全員が新作落語のみを披露した。伝統芸能でもある落語の主流は、どうしたって古典落語。東京でも新作落語のみのイベントは少ないのに、はじめ亭しげたさんは名古屋の方々にも新作落語を存分に楽しんでほしいとの思いで企画された。

出演者一同、新作落語だけというとがった会で本当に大丈夫なのか不安もあったけど、杞憂(きゆう)だった。前のめりな東海地区の落語ファンが駆けつけてくれたとみえて、今池ガスホールという大きな会場が笑いで満たされる大盛り上がりの一夜となった。

翌日は近鉄電車の特急に乗って三重県伊勢市に入り、伊勢神宮すぐ近くの「アマミリビング」というおしゃれなカフェが会場の「やまだ寄席」に出演した。「やまだみらいLab」という、伊勢市のまちづくりを考える団体の主催で今年5月に続いて2回目。若い世代が多いメンバーの中で、とても落語好きの方が「生の落語に触れる機会を伊勢の方々に提供したい」と僕に出演依頼を送ってくれたのがきっかけだ。

はじまったばかりの会で、地元の方々に広く知ってもらえるのはまだ先だと思うが、それでも40人ほど入る店内に28人も集まってくれた。開演前には伊勢神宮の内宮・外宮を案内していただくなど伊勢の魅力にふれることもできた。こうやってご縁を頂戴して各地を訪ねる度に、その土地を好きになっていく自分がいる。

 いったん東京に戻り、その足で佐賀県に飛んだ。「ソーゾーシー」というユニットで共に活動している浪曲師の玉川太福兄さんと一緒だ。

九州の落語熱は近ごろ、とても高まっている。大都市である福岡では、たくさんの落語会のほかに『博多・天神落語まつり』という当代円楽師匠プロデュースの大きな落語イベントが毎年催されている。東京や大阪の超一流の落語家が勢ぞろいし、期間中に数万人が訪れる落語フェスみたいなものだ(ちなみに僕はまだ呼んでいただいたことがない)。「落語de九州」という落語会情報を集約したポータルサイトも誕生し、毎日多くのアクセスがあるそうだ。

僕らの会を主催してくれたのは「弐の壱寄席」という団体名で、年に数回、落語や浪曲など演芸を企画してくれている方だ。名古屋のはじめ亭しげたさんと同じく女性の席亭さんで、お二人ともイベント企画が本業という訳ではない。自分が好きな落語や浪曲を地元の方に知ってもらいながら、若手芸人も応援しようとお考えなのだと思う。今回の会場は「酒の蔵えん」という、もともと酒蔵だった場所を改装して11月にできたばかりの飲食店。公演は昼・夜ともに満員御礼で、福岡や鹿児島からも来場していただいた。

継続することで文化は根づく

落語もさることながら、浪曲はもっとなじみがないんじゃないかと太福兄さんの高座を見ていたら、見事なタイミングで拍手が起こっていた(浪曲は落語に比べて多めに観客が拍手をしたり声をかけたり、という文化がある)。聞けばこの3年ほど年1回のペースで太福兄さんの先輩である玉川奈々福師匠が佐賀で浪曲会をやられているとのこと。年1回でも継続すると、こうやって演芸の文化は根づいていくのだ。

翌朝、太福兄さんと佐賀から長崎に移動して「チトセピアホール」で開催されている「千歳公楽座」という演芸会に出演した。年3~4回のイベントで、今回が9回目とのこと。すごいなぁと思ったのは、月曜の夜だったこと。東京では平日夜でもたくさんの落語会が催されていて、仕事帰りの方が大勢いらしてくださるのだけど、地方公演となるとやっぱり土日(それも昼公演)が多い。平日にしても、せいぜい金曜の夜があるくらいで、月曜の夜は、ほとんど経験がない。大丈夫かなぁと心配していたらこれまた杞憂で、用意した席が埋まるくらい老若男女が集まった。

太福兄さんが浪曲の間に拍手を入れるやり方なんかをネタ中に面白おかしく解説。お客様も次第に前のめりに参加されるようになった。こうやって、浪曲や落語をできる範囲で広めていくことが、ジャンルの未来につながっていくのだと思う。

ネットなどを通じて演芸に触れられる機会は圧倒的に増えた。それでもやっぱり演芸は生が圧倒的にいい。本当に、圧倒的だ。たぶん少し調べてもらえたら、読者の皆様のご近所でも落語会が開かれているのではないかと思う。イベントホールだったり、公民館だったり、飲食店だったり、お寺だったり。ぜひ一度、足を運んでみてください。伝統芸能であると同時に大衆芸能でもある落語は、初めての方でも問題なく楽しめますので。

調べたけれど、近くで落語会や浪曲会の予定がなかった場合はどうしたらいいか。うーん、困りましたねぇ。生で鑑賞すれば、思っているより手軽に、思っているより楽しい時間を過ごせることが、すぐにわかってもらえるんですが……。そうだっ。まずはお試しで僕や太福兄さんを呼んでみるのはいかがでしょう。

立川吉笑

 本名、人羅真樹(ひとら・まさき)。1984年6月27日生まれ、京都市出身。180cm76kg。京都教育大学教育学部数学科教育専攻中退。2010年11月、立川談笑に入門。12年04月、二ツ目に昇進。古典落語のほか、軽妙かつ時にはシュールな創作落語を多数手掛ける。立川談笑一門会やユーロライブ(東京・渋谷)での落語会のほか、水道橋博士のメルマ旬報で「立川吉笑の『現在落語論』」を連載する一方、多くのテレビ出演をこなすなど多彩な才能を発揮する。著書に「現在落語論」(毎日新聞出版)

これまでの記事は、立川談笑、らくご「虎の穴」からご覧下さい。

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