既に分離プランを導入しているauは、分離プランの「auピタットプラン」「auフラットプラン」と、従来型の「カケホ」「スーパーカケホ」などの料金プランの両方を提供している。5分間通話し放題で、データ通信容量が20GBのプランを選んだ場合、分離プランと非分離プランとでどれだけ料金が違うのかを比べてみた。

auの分離プランと非分離プランの料金比較

その結果は上のの通りだが、分離プランと非分離プランとでは、基本料金で220円、データ通信料金で1280円、合計すると月額1500円の違いがある。端末代金の値引き分が上乗せされないことで、約2割安くなっている。

ちなみにNTTドコモは現在、分離プランに似たプランとして、4万円以下と比較的安価な指定のスマホを購入することで、料金から毎月1500円値引く「docomo with」を提供している。だが先の緊急提言案では、購入する端末によって料金が異なるのは「不公平」としているため、この仕組み自体は今後姿を消す可能性が高い。

もうスマホの大幅値引きは期待できない

一方で、分離プランが導入されると端末代金の値引きはなくなる。従来であれば、高性能なスマホの最新機種などが非常に安い価格で購入できていたのが、分離プラン導入後は値引きなしで購入しなければならなくなる。

例えばNTTドコモのオンラインショップで「iPhone XS」の64GBモデルの価格を見ると、2018年12月1日時点では12万8952円となっているが、24カ月間毎月の料金から一定額を割引く「月々サポート」を最大限適用すると5万8968円の値引きが受けられるため、実質価格は6万9984円となる。だが分離プランが導入されると月々サポートのような値引きはできなくなるため、12万8952円を支払わなければ同じ端末が購入できなくなる訳だ。仮に通信料金の値下げ分が月1500円とすると24カ月で3万6000円。「月々サポート」による値下げ分の方が大きい。高額な端末ほど値引き額も大きいので、分離プランになると高額な端末ではデメリットが大きくなる。

そうしたことから高額な端末を購入しやすいよう、auは「アップグレードプログラムEX」、ソフトバンクは「半額サポート」といった端末購入プログラムを提供している。これは自動車の残価設定ローンに近いもので、スマホを4年、あるいは2年の割賦で購入し、割賦の半分の期間が経過した後に別の端末に機種変更した場合、端末を返却する代わりに残債の支払いが不要になるというものだ。

高額な端末を購入しやすくするため、auの「アップグレードプログラムEX」など自動車の残価設定ローンに近い仕組みの導入が増えているが、総務省はこれが契約を長期間縛ることにつながるとして抜本的な改善を求めている

だがこれらのプログラムは、機種変更を値引きの条件としていることが通信契約に結び付いており、それが他社へ乗り換えづらくする要因となることから、かねてより総務省や公正取引委員会が「4年縛り」と呼んで強く批判しているものだ。先の総務省の緊急提言案でも抜本的な改善を求めていることから、今後はなくなる可能性が高い。

分離プランの導入で毎月の通信料金は安くなる。だが、iPhoneなどの高額なスマホは買いづらくなるというデメリットが生まれることも忘れてはならない。高性能なスマホが欲しいと思っている人は、大きな値引きが受けられる間に購入した方がよさそうだ。

佐野正弘
福島県出身、東北工業大学卒。エンジニアとしてデジタルコンテンツの開発を手がけた後、携帯電話・モバイル専門のライターに転身。現在では業界動向からカルチャーに至るまで、携帯電話に関連した幅広い分野の執筆を手がける。
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