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自動回転する店頭販促(POP)を置いた特設の平台を国際関係書の書棚の脇に設置する(紀伊国屋書店大手町ビル店)

自動回転する店頭販促(POP)を置いた特設の平台を国際関係書の書棚の脇に設置する(紀伊国屋書店大手町ビル店)

ビジネス街の書店をめぐりながら、その時々のその街の売れ筋本をウオッチしていくシリーズ。今回は定点観測している紀伊国屋書店大手町ビル店に戻る。12月に入って例年なら来年の経済予測本が売れ筋上位に顔を出す季節だが、今年は仕事の進め方やマネジメントに関する本や金融関係の本など、細かいジャンルに関係なくビジネス・経済書全般がまんべんなく売れているという。そんな中、書店員が注目したのは、トランプ米大統領の意思決定の現場をつぶさに再現した話題の翻訳書だった。

執務室でのやりとりを再現

その本はボブ・ウッドワード『FEAR 恐怖の男』(伏見威蕃訳、日本経済新聞出版社)。9月に米国で発売され、既に190万部を突破、それをわずか3カ月足らずで翻訳刊行した話題の本だ。同店には11月30日に入荷し、店が休みの土日をはさんで取材に訪れた3日には、一気に売れ行き1位に。大統領就任時には関連本の売れ行きがさえなかったが、『FEAR 恐怖の男』は、ニクソン大統領のウォーターゲート事件をスクープし、以来、歴代大統領をめぐる本を執筆してきた米紙ワシントン・ポストのウッドワード氏の著作だけに、読者の期待が高いようだ。

著者がフォーカスするのは、オーバルオフィス(大統領執務室)だ。2017年9月、ゲーリー・コーン国家経済会議委員長(当時)がレゾリュートデスク(大統領の執務机)に近づく。するとそこには韓国大統領宛ての大統領親書の草稿が1枚置いてあった。米韓自由貿易協定(KORUS)を破棄するという内容だった。驚愕(きょうがく)した同氏は、トランプ大統領が見たら署名するのではないかと不安に駆られ、「保管」と書かれた青いフォルダーにしまい込んだ。

後に彼は同僚に語る。「あの男には見せない。絶対に見られないようにする。国を護らなければならない」。KORUSをめぐる大統領、主席秘書官、大統領上級顧問、国防長官らのオーバルオフィスでの動きを描写しながら、「2017年のアメリカは、感情的になりやすく、気まぐれで予想のつかない指導者の言動にひきずりまわされている。ホワイトハウスのスタッフたちは、大統領の危険な衝動から生まれたと見なした事柄を、故意に妨害している」とウッドワード氏は書く。これがプロローグだ。

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