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高収入・高学歴は相性に難 稼ぐ女が決めた「尊敬婚」

結婚相談所代表が見た今どき「婚活」事情

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NIKKEI STYLE

日経ウーマンオンライン

婚活はしているけれど、なかなか相手が見つからない。結果の出ない婚活をこのまま続けてていいの……? そんな不安を抱えている人は、努力の末に結婚を決めた先輩方の成功事例を参考にすると、新たな光が見えてくるかも。成婚率80%以上を誇る東京・青山の結婚相談所「マリーミー」代表の植草美幸さんが、仕事をバリバリこなす40歳の女性社長のエピソードを紹介します。果たして彼女は、どのような男性と幸せになったのでしょうか……?

1歳年下の男性と「尊敬婚」、社長の婚活奮闘記

結婚相談所「マリーミー」代表の植草美幸さんが婚活のサポートを始めてから約9年。これまで培ってきたノウハウと独自の婚活テクニックを伝授しながら、結婚したい女性を全力でサポートしています。

さて、今回紹介する女性は、1歳年下の男性と「尊敬婚」をした社長・市村恵梨香さん、40歳。

「尊敬婚」とは、「年齢や年収が妻のほうが上。そして、夫もそんな妻を人として尊敬している」という、新しいスタイルの結婚のことです。

恵梨香さんは、どのようにして「尊敬婚」のお相手と巡り合ったのでしょうか。まずは彼女が婚活を始めたきっかけからお話ししていきましょう。

◆相談者プロフィール◆
市村恵梨香さん(仮名)40歳、会社経営
20代の頃から10年以上付き合っていた彼氏が「家庭的ではない」と気付き、結婚すべき相手ではないと見切りをつけ、結婚相談所を訪れる。「一流大学卒・年収1000万円以上」、この2つは絶対にゆずれない条件として、婚活をスタート。

10年以上付き合った彼に「見切り」をつけて結婚相談所へ

恵梨香さんが結婚相談所の扉を叩いたのは、20代の頃から10年以上付き合ってきた彼氏に「見切り」をつけたことがきっかけでした。

長年付き合ったが故に、相手の「家庭向き」ではない本性を、嫌というほど見てしまったのでしょう。「彼は結婚すべき相手ではない」と悟り、キッパリと別れた後、相談所を訪れました。

相談所にやってきた彼女は、まさに「仕事がデキる女」。パンツスタイルでキリッとしていて、バリキャリ女性特有のスキのない雰囲気。彼氏と別れた心の傷を抱えながらも、まるで仕事かのように気持ちを切り替え、婚活に全力投球する心構えでした。

当初、恵梨香さんが掲げていた結婚相手に求める条件は、「一流大学卒」であることと、「年収1000万円以上」であることの2つ。彼女自身が高学歴・高収入の女社長なので、この条件は絶対に譲れないと考えていたようです。

理想の相手のはずが! 自ら成婚を逃し、落ち込んで…

結婚を「達成すべき目標」として設定した彼女は、早速条件に合う「一流大卒・年収1000万円以上」の男性とお見合いをし、順調にデートを重ねていきました。

しかし、その行動力とは裏腹に、どうも気持ちは追い付いていない様子。恵梨香さんはお付き合いに本腰を入れず、義務的にデートをこなし、親への紹介を避けるなどした結果、なんと相手からフラれてしまったのです。

「理想の条件」をクリアしていたとはいえ、彼女からしてみれば、「好きでもない男性にフラれてしまった」という状況。恵梨香さんは随分と落ち込み、婚活に対するモチベーションも急降下。このままでは、「婚活をやめる」と言い出しそうな雰囲気に……。

そこで私は、「今だ!」と思い、恵梨香さんを東京スカイツリーに誘い出しました。

朝の「東京スカイツリー」で再び婚活に奮起

東京が一望できる、朝の東京スカイツリー。街を見下ろしながら、私は恵梨香さんに語りかけました。

「今回のお相手には、恵梨香さん自身がきちんと向き合っていなかったよね? 賢いあなたなら、そのことにもう気付いているでしょう?」

「……」

「あなたは、なぜ結婚相手に学歴と収入を求めているの? 厳しいことを言うようだけど、この先もずっとバリバリ仕事を続けるのなら、同じようにバリバリ仕事をする男性とは、幸せな結婚生活を送れる可能性は低いわよ。あなたの結婚生活にとって本当に大事なことを、もう一度考えてみて」

実は結婚において、「稼いでいる女性」と「稼いでいる男」の相性は悪く、磁石でいえばプラスとプラスを近づけるようなもの。男性側に、「自分と同等以上に稼ぐ女性はカッコイイ」と思える器の広さがなければ、いずれ反発し合い、時にはライバルになってしまうこともある――。

学歴と収入にこだわる恵梨香さんに、そのことをきちんと伝えたかったのです。

「今、スカイツリーの下を歩いている人の中には、結婚してる人もいるし、していない人もいる。あなたと同じように婚活中の人もいれば、何かに悩んでいる人もいる。みんな、同じだよね」

恵梨香さんは黙ったまま、真剣に耳を傾けてくれていました。

「今、ここで立ち止まったら、あなたはもう婚活をやめると思う。それでいいの? あなたには、まだやれることがたくさんある。捨てるべきものも、変えられることもある。このまま不完全燃焼のまま終わらせて、後悔しない?」

伝えるべきことを伝えた上で「婚活をやめる」というのなら、それでもいい。私も覚悟を決めて、話をしていました。

しかし恵梨香さんは、バイタリティー溢れるすてきな女性。高い所から街を見下ろし、物事を俯瞰して見ることで、「今の自分の悩みは、見方を変えればとても小さなことなんだ」ということに、自ら気づいてくれたのです。

そして彼女は、再び奮起しました。

「私、もう一度頑張ります。フラれてショックだったけど、そんなの大したことないって思えてきました。やめないで、婚活を続けます!」

断捨離と変身で婚活が軌道に! 一緒にいて楽しい男性と結婚

「東京スカイツリー」でのカウンセリングを経て、今度は「気持ち」も「行動」も婚活に前向きになった恵梨香さん。

まずは「捨てるべきもの」を捨てるため、「断捨離」を実行。元彼との思い出の品も含め、家の中にあった不用なモノをすべて捨て、いつでも男性を招けるキレイな部屋にしました。

続いて、「変えられるもの」を変えるため、メイクや服装も一新。キリッとした印象から、柔らかく華のある雰囲気になるよう、私もメイク術や女子力アップ術をアドバイスしました。

こうして「断捨離」と「変身」によって、恵梨香さんは婚活を軌道に乗せていきました。

さらに彼女は決断します。ある日彼女は、学歴や年収といった条件にはもうこだわらず、「見た目が好みかどうか」だけでお見合い相手を選ぶと宣言したのです。この時の彼女の決意は固く、私が紹介した、当初の希望に沿った「高学歴・高収入」の男性を選ぶことはしませんでした。

「断捨離をして身軽になって、いろいろなことが見えてきました。これまでお見合いをしてきた高学歴・高収入の男性は、会っていても楽しいと思えず、結婚をイメージできなかったんですよね。だから今度は、もう条件とか関係なく、タイプかどうかで選ぶことにしました」と恵梨香さん。

そしてついに、恵梨香さんは当初の条件とは異なる、「見た目が好みの1歳年下の男性」と結婚したのです。

聞けば彼女が結婚を決めた理由は、「一緒にいて楽しかったから」。

お相手の男性も、恵梨香さんの「受け身ではなく行動力があり、頭の回転が速くて話が面白い」ところに魅力を感じて、結婚を決めたと話してくれました。

恵梨香さんは、結婚相談所でお見合いをして、恋愛結婚をした女性。こだわっていた条件を捨て、変化することをいとわなかったからこそ、自分を尊敬してくれる相手と結婚することができたというエピソードです。

恵理子さんのお相手は、洋服のバイヤーを務める年収600万円の男性。学歴も年収も、当初の条件通りではありませんが、今でもすごく仲が良く、つくづく結婚してよかったと話しています。

もしかすると、これは彼女が「捨てる」「変わる」という努力をしたご褒美なのかもしれませんね。

◆今回の教訓◆

「尊敬婚」でない限り、「稼ぐ女性×稼ぐ男性」の相性は基本的に悪い■「捨てる」「変わる」の先に、見えてくるものがある■「稼ぐ女性」が幸せになる道、それが「尊敬婚」

(ライター 青野梢)

[nikkei WOMAN Online 2018年10月4日付記事を再構成]

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