iPS細胞の利用本格化 脊髄損傷などで臨床研究へ

「今回の臨床研究では、京都大学iPS細胞研究所の再生医療用iPS細胞のストックから提供を受け、あらかじめ移植細胞を作製して使う計画だ。提供されたiPS細胞から、慶応義塾大学などで移植用の細胞を作製して凍結保存しておく。患者から臨床研究への参加の同意が得られれば、凍結した細胞を融解して、脊髄の損傷部位に移植する」

――臨床研究にはどのような課題がありますか。

「世界最初の臨床研究なので、実際に始めてみるといろいろ困難な点が出てくるかもしれない。移植するのはiPS細胞から作る人工的な細胞なので、神経系以外の細胞になってしまうとか、あるいは腫瘍化してしまうとかいう可能性だ。動物実験の段階ではクリアしているが、ヒトの場合は一例ずつ条件が違うので、治療効果を含めて想定外のことが起きる可能性がある」

「米国の大学や企業で、iPS細胞ではなくES細胞から作った神経系の細胞の移植に取り組んでいるので、臨床計画を考える上で参考にさせてもらっている」

――慢性期の脊髄損傷患者については、どんな見通しを持っていますか。

「最近、マウスを使った動物実験で、有望な結果が出た。ヒトのiPS細胞から作った神経前駆細胞を、神経細胞への分化・伸長を促進する薬剤で処理した後、ヒトの慢性期に当たる損傷後約40日のマウスの損傷部に移植した。後脚が動かなかったマウスが約2カ月、運動能力が有意に回復した。慢性期を含む脊髄損傷へのiPS細胞の応用を考える上で大きな成果であると考えている」

(編集委員 吉川和輝)

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