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iPS細胞の利用本格化 脊髄損傷などで臨床研究へ

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NIKKEI STYLE

ヒトの様々な種類の細胞や組織に育てられるiPS細胞を使った臨床研究や計画が相次いでいます。10月に京都大学のグループがパーキンソン病患者の脳にiPS細胞から作った神経細胞を移植する臨床試験を始めました。大阪大学による重症の心臓病患者、慶応義塾大学による脊髄損傷患者への臨床研究もそれぞれ近く始まる見通しです。

京都大学の山中伸弥教授らがヒトiPS細胞の開発に成功してから今年で11年。日本発の再生医療の研究が幅広い病気を対象に実施段階を迎えています。

京都大学の高橋淳教授らは10月、50代のパーキンソン病男性患者の脳に、iPS細胞から育てた神経細胞を移植する臨床試験を実施しました。手足などが震えるこの病気は神経伝達物質のドーパミンを作る脳の細胞が減ることで起こります。

あらかじめ備蓄しておいた他人のiPS細胞から神経細胞を作り、患者の脳の左側に移植しました。経過は良好とのことで、半年後には脳の右側への細胞移植も計画しています。

慶応義塾大学の学内委員会は11月27日、岡野栄之教授らが計画している、脊髄損傷患者を対象としたiPS細胞による臨床研究を承認しました。脊髄損傷は交通事故やスポーツ事故などで脊髄が損傷して、損傷部から下の神経がマヒする病気です。

計画では18歳以上の患者4人を対象に、iPS細胞から作った神経細胞のもとになる細胞を患者1人あたり約200万個ずつ移植し、まずは治療の安全性を確認します。

今回の臨床研究の対象となるのは脊髄を損傷して2~4週たった時期の患者です。岡野教授は「将来は移植する細胞数を増やして有効性を検討し、慢性期の患者への安全性・有効性も検討したい」と話しています。

大阪大学の澤芳樹教授らは重症の心不全患者を対象に、iPS細胞から作製した心筋シートを移植する臨床研究を計画しています。2018年度から3年間で3人に移植し、移植後1年間の経過観察で安全性や有効性などを評価します。

iPS細胞による再生医療は理化学研究所の高橋政代プロジェクトリーダーらが14年に目の難病、加齢黄斑変性の患者を対象に実施したのが最初です。このときは患者自身の細胞から作ったiPS細胞を使い、目の網膜細胞を作製して移植しました。2例目も検討しましたが、作製したiPS細胞に遺伝子異常が見つかり、移植を見送った経緯があります。その後は品質管理が容易な他人のiPS細胞を使った移植を行っています。

iPS細胞は全く新しい治療技術なので、安全性を十分に確認して進める必要があります。

岡野栄之・慶応義塾大学教授「新しい治療法実現への一歩」

iPS細胞から作った神経系の細胞を脊髄損傷患者に移植する臨床研究を計画している岡野栄之・慶応義塾大学教授に、臨床研究の意義や見通しを聞きました。

――臨床研究を行う意義は何ですか。

「臨床研究の計画では、iPS細胞から作った神経のもとになる細胞(神経前駆細胞)を患者の損傷した脊髄に移植する。脊髄損傷に対して神経前駆細胞の移植を行うのは、従来にない世界で初めての手法で、新しい治療法実現に向けた一歩となる」

――臨床研究の対象となるのは脊髄損傷の患者の中でも、受傷後あまり時間が経過していない人に限られるそうですね。

「脊髄損傷の病態は、損傷直後の急性期、次の亜急性期、そして慢性期と日が経つにつれて変化していく。臨床研究の対象となるのは、亜急性期の患者で、損傷後2~4週間に当たる。神経前駆細胞を移植する治療は、比較的早期に実施した方がいいとされる。これまで行った動物実験でも損傷後2~4週間の亜急性期に移植するのが最も効果が大きいことが分かっている」

――臨床研究では備蓄していた他人のiPS細胞を使う計画です。患者自身の細胞から作ったiPS細胞は使わないのですか。

「今回の臨床計画のように、脊髄を損傷してから比較的早期に細胞を移植する場合、患者自身の細胞からiPS細胞を作っていたのでは移植すべき時期に間に合わない。ヒト細胞からiPS細胞を作るのに約3カ月かかり、そこから神経系の細胞を誘導するのに約2カ月かかり、さらにその細胞の品質をチェックするのに約半年必要で、すべて合わせると1年近くの準備期間がいる」

「今回の臨床研究では、京都大学iPS細胞研究所の再生医療用iPS細胞のストックから提供を受け、あらかじめ移植細胞を作製して使う計画だ。提供されたiPS細胞から、慶応義塾大学などで移植用の細胞を作製して凍結保存しておく。患者から臨床研究への参加の同意が得られれば、凍結した細胞を融解して、脊髄の損傷部位に移植する」

――臨床研究にはどのような課題がありますか。

「世界最初の臨床研究なので、実際に始めてみるといろいろ困難な点が出てくるかもしれない。移植するのはiPS細胞から作る人工的な細胞なので、神経系以外の細胞になってしまうとか、あるいは腫瘍化してしまうとかいう可能性だ。動物実験の段階ではクリアしているが、ヒトの場合は一例ずつ条件が違うので、治療効果を含めて想定外のことが起きる可能性がある」

「米国の大学や企業で、iPS細胞ではなくES細胞から作った神経系の細胞の移植に取り組んでいるので、臨床計画を考える上で参考にさせてもらっている」

――慢性期の脊髄損傷患者については、どんな見通しを持っていますか。

「最近、マウスを使った動物実験で、有望な結果が出た。ヒトのiPS細胞から作った神経前駆細胞を、神経細胞への分化・伸長を促進する薬剤で処理した後、ヒトの慢性期に当たる損傷後約40日のマウスの損傷部に移植した。後脚が動かなかったマウスが約2カ月、運動能力が有意に回復した。慢性期を含む脊髄損傷へのiPS細胞の応用を考える上で大きな成果であると考えている」

(編集委員 吉川和輝)

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