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iPS細胞の利用本格化 脊髄損傷などで臨床研究へ

2018/12/11

iPS細胞から作った神経細胞をパーキンソン病患者の脳内に移植する治験を実施し、記者会見する京都大学の研究チーム(11月9日)

ヒトの様々な種類の細胞や組織に育てられるiPS細胞を使った臨床研究や計画が相次いでいます。10月に京都大学のグループがパーキンソン病患者の脳にiPS細胞から作った神経細胞を移植する臨床試験を始めました。大阪大学による重症の心臓病患者、慶応義塾大学による脊髄損傷患者への臨床研究もそれぞれ近く始まる見通しです。

京都大学の山中伸弥教授らがヒトiPS細胞の開発に成功してから今年で11年。日本発の再生医療の研究が幅広い病気を対象に実施段階を迎えています。

京都大学の高橋淳教授らは10月、50代のパーキンソン病男性患者の脳に、iPS細胞から育てた神経細胞を移植する臨床試験を実施しました。手足などが震えるこの病気は神経伝達物質のドーパミンを作る脳の細胞が減ることで起こります。

あらかじめ備蓄しておいた他人のiPS細胞から神経細胞を作り、患者の脳の左側に移植しました。経過は良好とのことで、半年後には脳の右側への細胞移植も計画しています。

慶応義塾大学の学内委員会は11月27日、岡野栄之教授らが計画している、脊髄損傷患者を対象としたiPS細胞による臨床研究を承認しました。脊髄損傷は交通事故やスポーツ事故などで脊髄が損傷して、損傷部から下の神経がマヒする病気です。

計画では18歳以上の患者4人を対象に、iPS細胞から作った神経細胞のもとになる細胞を患者1人あたり約200万個ずつ移植し、まずは治療の安全性を確認します。

今回の臨床研究の対象となるのは脊髄を損傷して2~4週たった時期の患者です。岡野教授は「将来は移植する細胞数を増やして有効性を検討し、慢性期の患者への安全性・有効性も検討したい」と話しています。

大阪大学の澤芳樹教授らは重症の心不全患者を対象に、iPS細胞から作製した心筋シートを移植する臨床研究を計画しています。2018年度から3年間で3人に移植し、移植後1年間の経過観察で安全性や有効性などを評価します。

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