着膨れしないダウンアウター 「細感」を引き出すテク
宮田理江のファッション戦略論
温かいダウンアウターは、冬の必需品。でも「何となくおしゃれに見えない」「ボリューム感で太ってみえる……」と心配な人が多いのでは? そのお悩み、実は着こなし次第で解決できるんです。ファッション・ジャーナリストの宮田理江さんが解説します。
以前は「もこもこ」「着膨れ」のイメージが強かったダウンアウターだが、近ごろは軽くておしゃれなものが増えてきた。上手に生かせば、かえって着痩せした姿に見せられる。極寒のカナダから日本上陸を果たしたダウンブランド「QUARTZ(クォーツ)」の新作を参考に、着こなしのポイントをおさらいしていこう。
細長アウターを軸に前開けレイヤード
着丈がたっぷりした縦長のダウンコートは、冬にうれしい細感を印象づけやすい。全身をくるんでしまわないで、部分的に前を開けることで、トップスとのレイヤード感が強まって着膨れを避けられる。ダークカラーのコートは重たく映りやすいので、開けた首元から、はっきり色をのぞかせる小技も使いこなして。フェミニンを感じさせられる赤系は着姿を色めかせてくれる。
細感を強調するには、縦長イメージの強いアイテムが役に立つ。例えば、顎まで届きそうなタートルネックは伸びやかな印象を強めてくれる。ほっそりコートと組み合わせると、さらにシャープな着映えに。ダークトーンのアウターに、グレーやベージュ系のタートルネックを添えるコーデなら、通勤ルックにも取り入れやすそうだ。
量感アウターとすっきりパンツでスレンダーに演出
今年の冬に盛り上がりそうなアイテムの一つに、アウトドア気分のアウター「マウンテンパーカ」がある。山で着たくなるような防寒性が高いダウンアウターは、しっかりと量感があるから、レイヤードの仕方次第で着痩せ効果を引き出しやすい。前を開けて、さらにボリュームを出した上で、コンパクトなトップスをチョイス。量感の落差を強調した。パンツもストレートなシルエットにして、コートをゆるっと羽織れば、細感が引き立つ仕掛けだ。
レギンスをはじめ、肌にぴったりした見栄えのボトムスが復活してきた。ボリューミーなアウターとの組み合わせは、スレンダーなレッグラインを目立たせてくれる。パンツの裾をブーツインすると、足首周りがすっきり。裾が広がり気味のアウターを選び、スキニージーンズを引き合わせるというマッチングは着膨れ感を遠ざけてくれる。
アウトドアのプロが愛用、着回しも幅広く
「クォーツ」は1997年にカナダのモントリオールで創業した。アウトドア用のダウンとして北極や南極の探検家に選ばれ続けている。保温や防水・透湿などの機能を備えながらも、スマートでスタイリッシュなデザインだから、カジュアルにもお仕事スタイルにも着こなしやすい。
ダウンアウターを重たくかさばって見せないためには、レイヤードや細身ボトムスが効果的だ。思い切って前を開けたり、春夏物のシーズンレス・トップスを投入したりするのも、着姿を軽快に見せる。割と薄手でも、しっかり温かいダウンアウターは、軽さの点でも魅力的。この冬は着膨れとは無縁な新たなダウンルックを迎えてみてはいかが。
(画像協力 クォーツ)
ファッションジャーナリスト、ファッションディレクター。多彩なメディアでランウェイリポートからトレンド情報、スタイリング指南などを発信。バイヤー、プレスなど業界経験を生かした、「買う側・着る側の気持ち」に目配りした解説が好評。自らのテレビ通版ブランドもプロデュース。セミナーやイベント出演も多い。 著書に「おしゃれの近道」「もっとおしゃれの近道」(ともに、学研パブリッシング)がある。
[nikkei WOMAN Online 2018年11月17日付記事を再構成]
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