マネーコラム

カリスマの直言

混迷は自ら打開 チャンスは転がっている(澤上篤人) さわかみ投信会長

日経マネー

2018/12/31

写真はイメージ=PIXTA
日経マネー

澤上篤人(以下、澤上) 人口減少で労働力不足が社会問題化しているが、日本の雇用について色々な問題が噴き出している。そのあたりを、今月は草刈と話し合ってみよう。

■国の政策は、いつもズレる

草刈貴弘(以下、草刈) この話題はちょうど自分の世代にとっては身につまされる思いですね。ここ3年ぐらいの間に、急激な人手不足が話題となりました。新卒採用で内定を出してもなかなか来てくれないとか、大手志向で中小にはなかなか人が集まらないとか。

私が大学を卒業した2001年は平成バブルの後遺症が癒えぬままITバブルが崩壊して、まさに「失われた時代」でした。私は建築学科だったのですが、結局関係のない業種に進む人も多かったと記憶しています。それが今は全く逆なのですから、あの時の対応は間違っていたのかなと思いますね。

澤上篤人氏(撮影:竹井俊晴)

澤上 2000年代に入って、小泉政権が日本を土建国家から脱皮させるべく、建設業従事者を700万人から500万人に削減する方針を打ち出した。狙いは、積年の公共投資がらみの利権を一掃するところにあった。

しかし実態は、土木建設作業の現場作業員を大幅にカットすることだけに集中した。橋やトンネルなど老朽化したインフラ整備の重要性は語られていたものの、何が何でも200万人削減を優先させた。

日本の役所はひとたび方向が定められると、その政策を徹底的に推し進めようとするから、200万人削減は首尾よく達成された。

草刈 削減することが目的で、結局新規の採用も止めてしまった。そのような小手先の対応が後々に影響を与えることを考えられていたのでしょうかね。

澤上 そんな状況下で発生したのが、東日本大震災である。今度は、復旧のための土木作業員が足らないということで、日本中から臨時の働き手をかき集める羽目に陥った。そこへ東京オリンピック需要が重なってきたから、もうテンヤワンヤである。

やみくもな人員削減で熟練作業員がいなくなったところで、土木建設需要が爆発的に拡大したのだ。このように、国の政策は支離滅裂とまでは言わないものの、いつも後手後手である。

草刈 無駄な公共工事は減らすべきですが、後の人員計画を全く考えなかったことに問題があったわけですよね。震災の復興の時は作業員がお金で東北に集められ、結果的に日本全体で建設費が上昇し必要なものも建てられないという状況や、人手不足で工事ができないということもありました。

企業経営はここら辺をも見越しておかなければなりませんね。

澤上 そう、いつも場当たり的な国の政策に振り回されていたら、経営がズタズタにされてしまう。労働市場のみならず、雇用問題などでネックとなっているところを、少し説明してくれるか。

マネーコラム 新着記事

ALL CHANNEL