コートの季節がやってきた。とはいえ一歩、着こなしを間違えると、野暮ったくみえてしまうのが悩ましい。今季、脚光を集めるツイードコートと、近年トレンド素材のムートンコートに今回は着目、そのスタイリッシュな纏い方を研究した――。
【 ツイードコートはワントーン主義 】
クラシック回帰の流れから、ツイードコートが久々に脚光を集めている。温かみある 表情がその魅力だが、ともすると野暮ったく見えがちだ。ゆえに全体のトーンを統一し、 都会的に着こなすのが正解だ。成熟した男こそ似合うのでぜひトライしてほしい。
右:コート¥270,000(スティレ ラティーノ)、スーツ¥178,000(デ ペトリロ)、シャツ¥26,000(ヴァナコーレ)、タイ¥24,000(アントニオムーロ/すべて伊勢丹新宿店TEL:03・3352・1111)バッグ¥68,000(グレンロイヤル/ビームス ハウス 丸の内TEL:03・5220・8686)靴¥138,000(サントーニ/リエートTEL:03・5413・5333) 左:コート¥175,000、スーツ¥95,000、シャツ¥15,000、タイ¥16,000その他は参考商品(すべてポロ ラルフ ローレン/ラルフ ローレンTEL:0120・3274・20)■STILE LATINO(右)
英国の正統感とナポリの軽快感をひとつにした1着。英国伝統のガンクラブチェック柄ツイードをはじめ、ほどよくゆとりのあるシルエットやベルテッド仕様など、旬の要素が満載。ツイーディながら軽く柔軟であり、得意のアンコン仕立てと相まって、羽織るような着心地が味わえる。
■POLO RALPH LAUREN(左)
絶妙なモダナイズでクラシックを洒脱に刷新。保温性に優れる厚手の本格派ヘリンボーン柄ウールツイードを用い、しっかりとした肩パッドで構築的に仕立てられた正統派チェスターコート。ミリタリーテイストのエポーレットを追加し、ボタンを開けてもバランスがいい前合わせの浅いダブルブレストを採用するなど、モダンなアレンジも凝らされている。ビジネスシーンはもちろん、休日にもエレガントに着こなせる、頼れるワードローブだ。
■LORO PIANA
ナポリの男が日曜のミサで着たコート“カプテッラ”をモダンにアレンジ。モダンかつ軽快に着こなせる。ウールアルパカ混生地で包みこむような着心地だ。
コート¥380,000(ロロ・ピアーナ/ロロ・ピアーナ銀座並木通り本店TEL:03・3572・0303)スーツ¥125,000(タリアトーレ)、シャツ¥28,000(バグッタ/ともにトレメッツォTEL:03・5464・1158)タイ¥12,000(バーニーズ ニューヨーク/バーニーズ ニューヨーク カスタマーセンターTEL:0120・137・007)靴¥180,000(ジョンロブ/ジョン ロブ ジャパンTEL:03・6267・6010)■AUSTIN REED
紳士の定番バルマカーンコート。イタリアはプレイ社のツイード素材を用いており、ブークレと呼ばれるカールした糸が立体的で高級感のある豊かな表情を演出。大きな上襟が特徴であり、スーツはもちろん、ジャケット代わりにニットへ羽織るなど、幅広いコーディネイトに活躍するワードローブとなるはずだ。
コート¥170,000、スーツ¥160,000、シャツ参考商品、タイ¥15,000(すべてオースチン リード/トレンザTEL:072・856・9871)靴¥198,000(サントーニ/リエートTEL:03・5413・5333)
【 ムートンコートはブラックモードで 】
近年のトレンド素材であるムートンを用いたコートは、無類の温かさとラグジュアリーな表情が愉しめるが、大きめシルエットになると過度に膨張して見えることも。そこでコート以外のアイテムをブラックで統一。端正に引き締めてモードテイストに着こなすのが正解だ。
■HERMES
あたかも温かな空気を纏うような着心地。“オープンエア”をテーマとする今季のエルメス。上品なアイボリーの極上ムートンを用いたコートも、好天の空気のように温かく軽やかだ。同色レザーの大きなパッチポケットや袖のディテールが男らしいアクセントに。
コート¥2,130,000、セーター¥106,000、シャツ¥76,000、パンツ¥127,000、グローブ¥164,000(すべてエルメス/エルメスジャポンTEL:03・3569・3300)■KOLOR
武骨なコーティング仕上げのムートンと随所のテープワークが、ヴィンテージミリタリーを彷彿させる、ムートンの新たな魅力を引きだしたモード的な1着。たっぷりとしたオーバーサイズシルエットで、リラックスした優美な雰囲気を演出。ライトブラウンの羊毛にラグジュアリーも薫る、存在感あるモードなムートンだ。
コート¥370,000、トップス¥28,000(ともにカラーTEL:03・6427・6226)パンツ¥29,000(ベルウィッチ/アマンTEL:03・6805・0527)スニーカー¥49,000(スペクタス/ギャラリー・オブ・オーセンティックTEL:03・5808・7515)
■RUFFO
上品で軽やかなムートンがデイリーに活躍。柔軟なムートンはナチュラルな色調が上品。適度なゆとりとショート丈でデイリーに着こなせる。
コート¥310,000(ルッフォ/バインド ピーアールTEL:03・6416・0441)セーター¥16,000(ユナイテッドアローズ)、スニーカー¥46,000(ソロヴィエール/ともにユナイテッドアローズ 六本木ヒルズ店TEL:03・5772・5501)スカーフ¥9,800(アルテア/アスティーレ ハウスTEL:03・3406・7007)パンツ¥26,000(バーニーズ ニューヨーク/バーニーズニューヨーク カスタマーセンターTEL:0120・137・007)■BRUNELLO CUCINELLI
ヴィンテージとラグジュアリーの融合が新鮮な1着。スペイン産子羊の最上質ムートンで仕立てた新作は、繊細なスエード仕上げで軽く柔軟であり、美しい光沢を放つストレートヘアの羊毛はシルキーな肌触り。ワイドラペルやボタンを開けても着られるダブルブレスト、手仕上げのアンティーク調メタルボタンがヴィンテージのマリンコートを思わせ、男らしく上品に着こなせる。
コート¥1,250,000、ジーンズ¥92,000、スニーカー¥92,000(すべてブルネロ クチネリ/ブルネロ クチネリ ジャパンTEL:03・5276・8300)セーターはスタイリスト私物■ISAIA
合わせやすいダークウラウンのムートンコートは、重厚感のある佇まいとは逆に着心地は軽く柔軟。端正さに加え、ヒップ丈でジャケットの上にも羽織れる。装いを選ばない軽やかシックな万能ムートンだ。
コート¥690,000(イザイア/イザイア ナポリ 東京ミッドタウンTEL:03・6447・0624)セーター¥46,000(チルコロ 1901/トヨダトレーディング プレスルームTEL:03・5350・5567)パンツ¥37,000(ピーティーゼロウーノ/PT JAPAN TEL:03・5485・0058)ブーツ¥150,000(ジェイエムウエストン/ジェイエムウエストン 青山店TEL:03・6805・1691)※記事中の価格は税抜きです。
Direction=島田 明 Text=竹石安宏(シティライツ) Photograph=前田 晃(人物)、隈田一郎(静物) Styling=久保コウヘイ Hair & Make-up=MASAYUKI(The VOICE)
[GOETHE 2018年12月号の記事を再構成]
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