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ゆりかもめ新車両 小さな車両に工夫がぎっしり 南田裕介の変わる「鉄」を見にいく

2018/12/14

清水 お客さまに分かりやすい「7500系の向上」というと、ドアの上の車内案内表示画面が2つになりました。17インチワイド液晶画面の表示を1扉につき、2面設置しています。停車駅の案内表示、左画面で広告やニュース、天気予報を表示します。

ドアの上には液晶の案内表示器を2画面設置

南田 うぁ! 幻の「急行」バージョンも表示された(笑)。

幻の急行版停車駅案内。「新橋」からノンストップで「お台場海浜公園」に行く計画もあったとか

清水 現在のゆりかもめには「急行」は走っていませんが、開業時にはそのプランも実はあったんですよ(笑)。

平山 優先席や車いすスペースのデザインも変わったんですよね。

清水 デザインを見直しました。優先席は滑り止め加工されたポール(持ち手)を足し、車いすスペースの手すりは当社をご利用されるお客さまの声から高さを変えることで2段化し、使い勝手が良くなるように設置しました。

優先席付近は滑り止め加工された黄色いポール(持ち手)が設置され、車いすスペースの手すりは異なる高さの2段になっている

■小さな車両だから既製品が使えない

南田 この(連結部分手前の)壁には、何が入っているんですか?

清水 列車無線や保安装置など、様々な機器が入っています。普通の鉄道なら床下にぶら下げますがゆりかもめはそのスペースがありません。一般的な鉄道は冷房の本体も車両の上にありますが、ゆりかもは屋根に何も搭載できません。冷房の室外機は床下にあり、室内機は車内にあります。小型の車両であり、仕組み上の理由もあり、床下に収まらない装置を入れているわけです。

清水 7300系車両と比べて構造的に変わったのは、ここも大きいですね。ラインフローファンを追加しました。

ゆりかもめ車両をつくる鉄道マンたち、こだわりの空調装置。小さく狭い車両に合わせたコンパクトサイズを採用。快適性をアップさせた(写真はカバーを開けたところ。通常はしまっている)

南田 空調装置のことですか?

清水 空調装置ではないのですが……。冷房の風を循環させる扇風機のようなものです。夏は、特に人が滞留する出入り口ドア付近が暑くなる傾向にあります。冷房装置は、天井両サイドのスリットから送風する「ダクト式配風」を7300系から採用していますが、新たにこのラインフローファンを加えました。こちらも「車内が暑い」というお客さまの声から改良しました。

平山 高架を走るゆりかもめは、陽当たりがいいですもんね。

清水 一般鉄道で使われているラインフローファンは、ゆりかもめにとっては、大きくて、うまく天井には収まりません。そこで、担当者が一生懸命コンパクトな物を探したんです。小さな車体のゆりかもめは、既製品がなかなか合わず、機器の搭載には苦労しています。

平山 小さな車両は制約だらけなんだ!

南田 技術といえば前から気になっていたんですが、自動運転の運行管理システムを支える中央指令所はどうなっているんですか? 1人の職員が1車両を管理しているわけではないですよね。

■ゆりかもめの最高速度は?

清水 そうですね。実は違うんです。中央指令所にいる職員は、駅を見ています。車両は運行ダイヤに沿ってどんどん進むなかで、各駅の混雑具合をモニターで監視しながら、あらかじめ駅の停車時間を延ばしたり、停車中の車両の出発を待たせたりしたほうが良いのか、など細かく指令しています。

南田 ドアの開閉も自動ですよね。

清水 はい、決められたプログラムで開閉されます。ただ、ご利用されるお客さまが多いと乗り切れない場合もありますので、そのような場合は、指令所から手動にて操作します。

南田 利用客の人数で予測するんですか。それとも目視で?

清水 各駅のホームにカメラがついていますので、モニターを見ながら操作をしています。車両のドアにお客さまが万が一はさまったときは、電気式の戸閉装置によって自動開閉する仕組みになっています。

南田 ちなみに、ゆりかもめの理論上の最高速度は時速何キロですか?

清水 時速60キロです。

南田 もっと速度が出ている気がします。レインボーブリッジを走るとき、道路を並走する乗用車に、ゆりかもめがスピードで勝ってる気がするけどなぁ。

平山 ……南田さん、新車両の取材じゃなくて、鉄道ファン同士のおしゃべりになっていませんか(苦笑)。

技術部車両課の鉄道マンたちと記念撮影
今回の取材に対応してくださった総務部のみなさん

◇  ◇  ◇

取材後、南田さんは、「素晴らしい! 見事!」と大絶賛でした。新交通システムに対して、「都会の未来の乗り物で、無機的な印象」を持っていた南田さん。でも、今回の取材で、「自動運転だからこその人の必要性を強く感じた」と考えも変わったそうです。当たり前は、当たり前には作れないんですね。

南田裕介(みなみだ・ゆうすけ)
芸能事務所に勤務するマネージャー。1974年生まれ、奈良県出身。静岡大学卒業後、ホリプロ入社。現場マネージャーとして働くうちに「鉄オタ」だと知れ渡り、「タモリ倶楽部」へ出演。鉄道BIG4としてお笑いタレントと肩を並べ「アメトーーク!」に出演するなど、ホリプロのマネージャーとしてタレントをプロデュースする傍ら、鉄道愛あふれる専門家として活躍している。著書に「ホリプロ南田の鉄道たずねて三千里」(主婦と生活社)等。

平山ゆりの(ひらやま・ゆりの)
ライター。1981年生まれ、京都出身。エンタメ、教育の分野で主に活動。息子の影響で鉄道に魅せられ、休日は都内近郊で「乗り鉄」を楽しむ。「国鉄型」を愛する南田に対し、新型車両や特急型車両が好き。

(写真 渡辺慎一郎=スタジオキャスパー)

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