世界の株式相場が再び不安定さを増しています。最大の焦点である米中貿易戦争はひとまず休戦で合意しましたが、中国通信機器大手の幹部が逮捕されるなど懸念はなお消えていません。ピークアウトする経済指標を材料に、相場の先行きは依然として楽観できない状況です。
プロの世界では、先行きを見通す上で金融政策と株価動向についての一つの経験則が語られています。米連邦準備理事会(FRB)による米政策金利の引き上げが停止されるとき、もしくはそれから少し時間を経たときに株価が大幅に下落するというものです。利上げの最終局面で景気がピークをすぎるためとみられますが、このパターン通りなら当面は米国の利上げが続くことから、2019年前半ごろまでは株価の暴落はないということになります。
今までの経験則が通用しない可能性
ただし、グローバル金融危機以降、市場から債券などを買い上げることで資金の出し手となってきた中央銀行の資産残高が18年2月をピークに減少に転じ始めている点は、留意しておきたいところです。
従来の金融政策は政策金利水準を変化させるだけでしたが、今回は中銀のバランスシートも活用して政策総動員が図られたからです。例えば、再び利下げ局面になったとしても中銀の資産残高減少により金融緩和効果が減殺されることから、今までの経験則が通用しないかもしれないのです。18年の株価指数の動きが、ここ数年の動きとは異なるのは、このような背景があるからではないでしょうか。