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「デート商法」で不動産を購入 契約は取り消せるか? 弁護士 志賀剛一

2018/12/6

■被害者への損害賠償を認める判例も

そこで、デート商法の被害回復には様々な法律構成が用いられています。対象が金融商品という事件ではありますが、判例には「交際する意思はないにもかかわらず、これがあるかのごとく装い、相手方の歓心を買い、実態の乏しい法人への投資案件を勧誘するという違法なデート商法による投資勧誘行為であり、会社の業務の一環」であって販売員と会社の共同不法行為であると認定され、消費者に生じた損害額について賠償を命じたものがあります。

また、投資用マンションが対象となったデート商法でも、マンションの購入額から処分価格を差し引いた金額(かなりの差額が出ており、市場価値をかなり上回る販売価格だったことがうかがえます)や弁護士費用などが損害として認められた判例もあります。この事例は、男性販売員が女性にマンションを購入させたのですが、男性は自身に婚姻歴があることや子どもがいることを隠し、女性に結婚を意識させていた事実があったようです。

■銀行のローンは被害回復が難しく

ただし、マンション購入に銀行のローンが利用されている場合、消費者と銀行などの金融機関との金銭消費貸借契約まで無効主張や取り消しが可能かというと、そこは難しい問題です。一般に、顧客が金融機関から融資を受けて不動産を購入する場合でも、金銭消費貸借契約と売買契約は別個の契約で、金融機関は不動産についての調査や説明の義務まで負うものではなく、顧客が不動産の購入により損害を被っても金融機関は責任を負わないのが原則だからです。割賦販売法の適用もないので、「50万円のエステコース…」で述べた支払停止の抗弁も使えません。

しかし、売り主と貸主との関係や売り主の消費貸借契約手続きへの関与の内容や程度いかんによっては、売買契約と一体的に金銭消費貸借契約についてもその効力が否定され、無効になる場合がありうることを示唆する判例が現れました。

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