2018/12/6

ひと

■厳密性、絶対性を表現

――シチズンが100周年を迎えた2018年のテーマは「We Celebrate Time」。展示ブース「Time Theatre」では、やはり地板を幾何学的に配置しました。

「シチズンが100年をかけてつくり上げたひとつの結晶として、年間の誤差をプラスマイナス1秒に抑えた『年差1秒』のムーブメントがあります。世界初というその精度のすごさを表現するために、全ての地板をビシッとそろえて厳密性、絶対性を表現した空間をつくりました」

「1秒という瞬間に突然世界は変わるかもしれないし、人生が変わるかもしれない。そうした『1秒のドラマ性』という意味では、パフォーマンスなどで、空間体験として1秒の価値を高め、喜びを感じることができるシアトリカル(劇場的)な空間がいいのではないかと考えました」

■建築の時間軸を圧縮

――建築とインスタレーションにはどのような違いがありますか。

「インスタレーションというのは、長く残る建築の時間軸を圧縮し、そのとき、その場所でしか体験できない、インパクトのある空間としたものだと考えています。つまり、インスタレーションがある短期間、例えば1週間の間に数万人が体験できるものだとしたら、建築は数十年の間に数人の家族が数万回使うような。時間についての考え方や、スケールが違いますが、やっている仕事は同じだと思っています」

エストニア国立博物館 photo:Propapanda / image:courtesy of DGT.

「場所というものはたったひとつしかないし、動かすことはできない。そこに本質があると思います。一方、空間はその反対で、無限でどんどん増やすこともできるし分割することもできます。それに加えて、時間と記憶という概念があります。時間は常に継続していくもので決して切ることができません。記憶は意味であり、記憶を通すことで物事を認識して理解できるのです。記憶がなければ、場所も時もわからなくなるし、空間も把握できなくなります」

「場所、空間、時間、記憶の4つの要素をいつも意識しています。そうした意味では、インスタレーションだからこう、建築だからこうというよりは、全てがいつも自分の仕事の中にある感じです」

――近代建築への批判ですね。

「近代建築を批判というよりは、そこからさらに飛躍しなくてはいけないと思っています。そこで立ち止まってしまうと安心はできても何も変えられません。批判というより、近代建築をベースにさらにどこまで行けるだろうかということが課題であり、モチベーションでもあります」

新国立競技場案 古墳スタジアム image:courtesy of DGT.

■代々木公園にスタジアム

――東京都渋谷区の外郭団体「渋谷未来デザイン」が9月、代々木公園にサッカーやエンターテインメントなどを楽しめる多目的スタジアムをつくる構想をまとめました。

「ようやく構想を発表した段階です。ここからスタートして多くの人の賛同を集め、実現に向けて頑張っていこうという長い道のりのプロジェクトです」

「きっかけは渋谷未来デザインの方から『代々木公園にスタジアムをつくってプロのサッカーチームを呼びたい』と相談を持ちかけられたことです。新国立競技場の国際コンペで最終選考に残った『古墳スタジアム』を評価していただいて、(高校時代にJリーグのクラブユースに所属するなど)自分がサッカーをやっていたことも期待のひとつでした」