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2020年から見える未来

選手村マンションは「パラ仕様」 車いすで楽々出入り バリアフリーの新たな標準となるか

2018/12/6

このようにハルミフラッグは通路幅、エレベーターの形状、スロープの勾配ともに、従来のマンションに比べて規格外といえる。「通常のマンション開発の場合、これまでの基準を大きく逸脱するのは難しい。五輪・パラリンピックの選手村という所与の条件があったからこそ踏み込めた」と三井不動産レジデンシャルの担当者は話す。

国際オリンピック委員会(IOC)と国際パラリンピック委員会(IPC)は選手村の仕様について、細かな基準を設けている。「選手村として使ってもらえるように計画された」(三井不動産レジデンシャルの藤林清隆社長)のがハルミフラッグだ。仮使用という形で選手村に供され、その後の改修工事を経て、新築物件として購入者に引き渡される。

■立地・広さ・価格だけでいいのか

結果的にハルミフラッグは、日本のマンション業界に大きなインパクトを与える可能性がある。

これまで日本のマンション業界は立地、広さ、価格の3つを最も重視してきた。限られたスペースを有効に活用するため、バリアフリーは法令の範囲で最小限にとどめてきたのが実情だ。たとえば共用廊下を広くとるより、その分、各戸の専有部分を大きくする方が優先される。

それは入居者が求めてきたことでもある。「モデルルームでお客さんと話していても、買うかどうかの判断材料は駅から歩いて何分で、坪あたりいくらかだけ。バリアフリーはほとんど注目されない」と、ある不動産会社の幹部は明かす。

だが日本が世界にも例をみない超高齢化社会になると、様相はがらりと変わる。「長く住むにはバリアフリーが欠かせない。若いときには気付かない不便さが、年をとると身に染みて分かってくる」。車いすで使いやすい住宅づくりに長年取り組んできた建築士の吉田紗栄子さん(NPO法人・高齢社会の住まいをつくる会理事長)は、車いすに乗る人を「水先案内人」と表現する。

三井不動産レジデンシャルも「車いすで使いやすいマンションは、ベビーカーや小さい子供、お年寄りなどすべての人にとって暮らしやすいはず」と期待する。

もっとも「規格外」のバリアフリーが入居者のニーズに合致するかどうかは、フタを開けてみないと分からない。たとえばスロープの勾配を緩やかにした結果、移動距離が長くなって不便と感じる人がいる可能性もある。一方、共用廊下の幅は1メートル50センチだが、車いす同士ですれ違うには1メートル80センチは必要だ。

「我々にとって初めての経験。マンションを引き渡した後も入居者の声を真摯に聞いて、今後のマンション開発に生かしたい」。三井不動産レジデンシャルの担当者はそう言葉に力を込めた。

(高橋圭介、山根昭)

ハルミフラッグ
2020年東京五輪・パラリンピックの選手村を大会後に改修して、マンション23棟、商業施設1棟からなる街を開発する。三井不動産レジデンシャル、三菱地所レジデンス、野村不動産、住友不動産、東急不動産、東京建物など11社が特定建築者として参加。敷地面積は約13万4000平方メートル。マンション戸数は5632で、うち分譲が4145、賃貸が1487。19年春にモデルルームを公開し、5月下旬に発売する。入居開始は選手村を改修する21の中層棟が23年春、大会後に新設する2つのタワー棟が24年春の予定。

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