性能かoffice付きか 10万円以下のモバイルPC選び
ヨドバシカメラ マルチメディアAkibaで、10万円以下のモバイルPCの売れ筋を調査した。同店のパソコン専門チーム・マネージャの本多一成氏は、「モバイルPCは予算の上限を設けずに良いものを買おうという人が増えていて、売れ筋の価格帯はここ数年上がっています」と語る。その一方でネットブック時代から続く「数万円のモバイルPC」というニーズも根強く続いているという。
「低価格のモバイルPCは入門機ニーズだけでなく、必要最低限のスペックで割り切って使う意図であえて選ぶ人も多いです。最近は10万円以下でもMicrosoft Office(ExcelやWordなどを含む統合パッケージ)が付属したり、Core i3を搭載するモデルがあるので、数年前に比べると実用性は高くなっています」
10万円以下のモバイルPCを選ぶコツ
本多氏に、10万円以下のモバイルPC選びに役立つ3カ条を教えてもらった。
2.ストレージのSSDの容量は64GB~128GBが多い。メモリーは4GBと8GBがあるので、どちらも目的に合わせて検討する。
3.実際のバッテリー駆動時間は「カタログ値×0.6」ぐらいで考える。実働8時間以上なら安心という人が多い。
10万円以下の価格帯では、必要なスペック、付属ソフト、機能をすべて満たすことは難しい。自分の目的に合わせて、何を優先して何を割り切るかの判断が重要になってくる。仕事や学業で使うならMicrosoft Officeがプリインストールされているモデルを選ぶほうがよさそうだ。しかし趣味やプライベート用と割り切ってOfficeなしのモデルを選べば、Core i3や128GB SSD、8GBメモリーなどを搭載したまずまずハイスペックなモデルに手が届く。そのうえで、バッテリー駆動時間や重さ、サイズといったモバイル性能を比較して選ぶのが良さそうだ。
10万円以下のモバイルPCランキング
同店における10万円以下のモバイルPCの売れ筋トップ5は以下のとおり。
1位:マイクロソフト Surface Go(MCZ-00014)
Microsoft Office付属のWindowsタブレット。1800×1200ドットの10型液晶に、Pentium Gold、8GBメモリー、128GB SSDを搭載。バッテリー稼働は最大約9時間。重さは約522g。実売価格は8万9420円(ポイント10%)。
2位:HP x360 11-ab120TU(4SA14PA-AAAA)
Microsoft Office付属の11.6型液晶ノート。解像度は1366×768ドットで、Celeronや4GBメモリー、128GB SSDを搭載する。バッテリー駆動は約13時間で重量は1.4kg。実売価格は7万4300円(ポイント10%)。
3位:エイスーステック VivoBook Flip 14(TP412UA-S8130)
モバイルPCとしては大きめの14型液晶を搭載した2in1ノート。Core i3と4GBメモリー、128GB SSDを搭載。バッテリー駆動は約11.7時間で重量は約1.6kg。実売価格は7万5060円(ポイント10%)。
4位:レノボ・ジャパン Ideapad 120S(81A4002BJP)
Microsoft Office付属の11.6型液晶ノート。Celeronと4GBメモリー、128GB SSDを搭載し、バッテリー稼働は9.2時間で重量は1.15kg。実売価格は7万5380円(ポイント10%)。
5位:エイサー Swift 1(SF114-32-N14Q)
14型液晶搭載ノートで、Celeronと4GBメモリー、128GB SSDを搭載する。バッテリー駆動は17時間で重量は1.3kg。キングソフトのWPS Officeが付属する。実売価格は6万4570円(ポイント10%)。
マイクロソフト純正のWindowsタブレット「Surface Go」が抜きんでた人気で、2位から5位まではほぼ拮抗しているという。
ちなみにSurface Goは1万6630円のキーボード兼カバー「Surface Go Signatureタイプカバー」と一緒に購入する人が多く、合計価格は10万円をオーバーするが、下位モデルの「MHN-00014」(6万9980円、4GBメモリー、64GB SSD)は10万円以下で収まる。
2位から5位は11~14型のモバイルノートが並んでいるが、Microsoft Officeの有無やCPUのグレード、ディスプレーの仕様でみるとオフィスソフトを求めるか、できる限り高性能な仕様を求めるかの、2タイプに分かれている。それらを踏まえて、次からモデルごとに人気の理由をみていこう。
※なお、原稿と写真で掲載している価格とポイントは、2018年11月15日15:00時点のもの。日々変動しているので、参考程度に見ていただきたい。
幅広いユーザーに人気の「Surface Go」
2018年8月に発売されてから断トツの1位となっているマイクロソフト「Surface Go」(Wi-Fiモデル)は、専用キーボードとセットで買うユーザーがほとんどで、タブレットというより2in1モバイルPCという位置づけに近い。
8GBメモリーと12GB SSDを積んで税込み9万円を切る上位モデルを選ぶ人が多いが、前述のとおりに4GBメモリーと64GB SSDを採用する下位機を選んでキーボードと合計での9万円切りを考える人も少なくないという。
購入層は幅広いようだ。「Microsoft Officeが付属するので、職場や学校でも導入しやすいし、CPUもCeleronより一段上のPentium Goldなので性能もそこそこ高い。初めてパソコンを買う人から、仕事用のセカンドマシンとして割りきって買う人まで、ユーザー層に偏りがありません」とのこと。
自宅でちょっと使う用に人気の「x360 11-ab120TU」
2位はHPの11.6型ノート「x360 11-ab120TU」。CPUはCeleron-N4000でメモリーは4GBと、基本仕様は控えめだが、最長約13時間稼働する駆動時間の長さと、Microsoft Officeが付属するのがポイントだ。
「10万円以下で持ち運びできて安いノートはどれですか? と聞かれたときに紹介すると、気に入る人が多いモデルです。自宅用に手ごろなパソコンを1台置いておきたいという人に好まれているところがあって、仕事をバリバリやるのは会社のパソコンで、こっちは自宅でちょっとネットやメールを使うためのパソコンとして選ぶといった感じです」
低価格でスペック重視なら「VivoBook Flip 14」
3位のエイスーステック「VivoBook Flip 14」は、10万円以下のなかではハイスペックなモデルだ。タッチ対応で360度回転するフルHD14型液晶を採用し、CPUもPentium Goldよりグレードが高いCore i3となっている。ただしMicrosoft Officeは付属しない。約1.6kgというのはモバイルPCとしては重めだ。
「軽さ重視の人は1kgを切るモデルを求めますが、限られた予算でできる限りのハイスペックを追求したいという人は最終的にこのモデルを選ぶことが多く、とくに男性人気が目立ちます。Officeなしですが、スペック重視の人に評価されています」
ちなみに、数年前に比べるとMicrosoft Officeが付属することを重視する人の割合は減っているという。
薄型軽量が人気の「Ideapad 120S」
4位のレノボ・ジャパン「Ideapad 120S」は、2位の「HP x360 11-ab120TU」にスペックが近い11.6型液晶搭載モデルだ。基本スペックはCeleron-N3350に4GBメモリーと控えめだが、Microsoft Officeが付属し、バッテリー駆動時間は9.2時間、重量は1.15kgとコンパクトさを重視しているのが特徴。
「HP x360 11-ab120TUとどちらにするか比較検討する人が多いモデルです。こちらはより薄くて軽いモバイルPCを求める人に人気ですね」
お買い得感が高い「Swift 1」
5位のエイサー「Swift 1」は、3位の「VivoBook Flip 14」と同じ14型のフルHD液晶ディスプレーを搭載するが、CPUはCeleron-N4000、メモリーは4GBと基本スペックは控えめ。携帯性は高く、バッテリー駆動時間を最大17時間確保しつつ、重量を1.3kgに抑えている。
「エイサーは同じクラスの競合製品のなかで最安になることが多いブランドです。Swift 1はキングソフトのオフィスソフトが付属するし、お得感が強いところが人気です」
1977年生まれ。建設業界と葬祭業界を経て2002年にライターへ転職し、テクニカル系の記事執筆と死の周辺の実情調査を進める。「古田雄介のアキバPick UP!」(ITmedia PC USER)、「インターネット跡を濁さず」(d.365)、「ネットと人生」(インプレス シニアガイド)などを連載。
[日経トレンディネット 2018年11月20日付の記事を再構成]
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