スーパーフードの王様 スピルリナ、美肌・貧血に効果
一般的な食品より栄養価が高い、いわゆる「スーパーフード」の中でも、とくに栄養価に優れている「スピルリナ」。海外のモデルや女優たちも積極的に食事に取り入れています。最近ではにおいや味のない生スピルリナも登場。今回はスピルリナの栄養や自宅での食べ方、レストランで楽しめるスピルリナグルメを紹介します。
スピルリナは栄養豊富なスーパーフードの王様
スピルリナは、地球上に大昔から存在する藻の一種。その栄養価の高さから「スーパーフードの王様」といわれることもあります。
日本スーパーフード協会の代表理事を務める勝山亜唯美さんによれば、スピルリナにはアミノ酸やビタミン、ミネラル、食物繊維など50種類以上の栄養成分が含まれているそうです。
「例えばスピルリナパウダースプーン1杯(4グラム)には、美肌にいいβ-カロテンが緑黄色野菜の1日摂取目安量である120グラム分含まれています。また、貧血予防として取りたい鉄分の含有量も多く、一般的に鉄分が多いといわれる小松菜と比較しても約30倍を含んでいます」(勝山さん)
スピルリナはパウダーの形で市販されているので、料理やドリンクに合わせて家庭でも無理なく取ることができます。海苔(のり)と抹茶をあわせたような独特の味と青臭い香りがあるので、いろいろなものに少しずつふりかけて食べるのがおすすめ。
「調味料の瓶に入れて、塩やこしょうと同様に基本の調味料の一つとして常備しておけば、さまざまな料理に『ちょい足し』できます。量を多く取りたい場合はスムージーに。その場合、豆乳やアボカド、バナナなど濃厚な食材と相性がよいです。ほかにハンバーグやつくねなどの練り物やカレーに混ぜても食べやすくなります」(勝山さん)
注意点としては、スムージーなど水分の多いものに入れると特徴的な味が時間とともに広がるので、作り置きせずすぐ飲むこと。また、ビタミンKを多く含むため、抗凝固剤を服用中の方は医師に相談したほうがいいでしょう。
続いてはレストランで食べられるおしゃれなスピルリナグルメを紹介します。
スピルリナを練り込んだオリジナル生パスタ
2017年6月、東京・西麻布にオープンしたスーパーフードカフェ&ダイニング「KITERU nishiazabu(キテルニシアザブ)」。スーパーフードを多くの人に知ってもらうことを目的にしたコンセプトレストランで、すべての料理にスーパーフードが使われています。
スピルリナを使ったメニューも多く、中でも好評なのが、生パスタを得意とする老舗の麺メーカー、淡路麺業と共同で開発した「スーパーパスタ by KITERU(R)」。スピルリナパウダーを練り込んだオリジナルの生パスタです。ソースや具材は不定期で変わり、現在は「有明産の海苔と愛媛県産釜揚しらすのスピルリナ豆乳クリームパスタ」を提供中。麺の色が緑色なので、食べる前は少し驚きますが、苦みや独特のクセも感じず、海苔の風味が効いたやさしい味わいです。
スピルリナを使ったメニューとしてはほかに「海老とスピルリナの香草アヒージョ」(800円)や「緑色のポテトサラダ」(600円)などがあります(※スピルリナを使ったメニューは、パスタを含め、現在はすべてディナータイムのみの提供)。
「お客様の年齢層は幅広く、男性の方が約半分を占めます。体にすごく気を使っている方ばかりでなく、好きなものを食べる、でもほんの少しいつもより栄養がある、というふうに『罪悪感のない満腹感』を求められる方も多いです」(同店のオーナーであるYamanaka JAPAN代表取締役の山中勇輝さん)
クセがなく摂取しやすい生スピルリナも登場
スピルリナはパウダーの形が一般的ですが、生スピルリナもあります。スピルリナを生産および販売するタベルモ(川崎市)では、国内で栽培した生スピルリナを、社名と同じ「タベルモ」の名前で15年から販売。添加物を加えず、加熱や乾燥加工も一切していないものです。
生のスピルリナのメリットは独特の味やにおいがなく食べやすいこと。スピルリナは収穫した時点では味がないのですが、加熱乾燥すると、熱でタンパク質が分解されて、においや味が出てしまうそうです。また、熱で壊れやすい栄養素を取ることもでき、例えばビタミンEは乾燥粉末と比べて約5.8倍も含まれています。
色がとても濃い緑なので、苦そうに見えるのですが、無味無臭。食感は少し海藻のようなとろみがあります。
「朝やお風呂上がりにジュースやスムージーに混ぜて飲んだり、ヨーグルトにトッピングしたり、サラダのドレッシングに入れたり、普段の食事の中で取り入れるのがおすすめです」とタベルモ代表取締役社長の佐々木俊弥さん。常温または冷たいものであれば、何に混ぜてもOKとのこと。
購入者は30~40代の女性が中心。食生活を変えず、気軽に栄養を取れることが人気の理由になっているようです。
生スピルリナを使ったおしゃれビーガンメニュー
ベルギー発祥のベーカリーレストラン「ル・パン・コティディアン」では、芝公園店・東京オペラシティ店・東京ミッドタウン店の都内3店舗で、15年から生スピルリナを使ったオープンサンドイッチ「スピルリナベジタブルトースト」を提供しています。
オーガニック小麦のウィートブレッドのスライスを土台にフムス(ひよこ豆のペースト)、さらにローストしたナスやズッキーニなどの野菜をのせ、スピルリナ入りの白ゴマソースをかけてあります。ソースは濃い緑色をしていますが、味わいはマイルド。
「生スピルリナを使用しているので、それ自体に苦みや風味はありませんが、色味がかなり濃いので、使うとしたら差し色としてソースに取り入れた方が一般のお客様に親しまれやすいと思い、スピルリナ白ゴマソースを開発しました」(ル・パン・コティディアン広報の丸山杏奈さん)
植物性の食材のみを使用したビーガン(完全菜食)メニューでもあり、ヘルシー志向の人にも好評だとか。
レストランのおいしく仕上げる工夫やクセのない生スピルリナの登場で、より食べやすくなったスピルリナ。ぜひいろいろなアレンジで楽しんでみては。
※価格は特記がない限り税抜きです。
(取材・文 GreenCreate)
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