週末レシピ 今が旬のサバのみそ煮、グラタンにも変身
このほど2018年を代表する飲食メニュー「今年の一皿」(主催:ぐるなび総研)が発表されました。今、まさに旬の「鯖(さば)」です。サバ缶の注目により魚食文化の良さが再認識されたことなどが理由で選定されました。今回はこのサバのレシピを紹介しましょう。
サバは年間通してスーパーなどで売られていますが、「寒サバ」は、12~2月に獲れる真サバのことで、海が冷たい時期に自分の身を守るために脂をまとった、うま味の強いサバのことです。
もう一種、スーパーで見かけるサバに「ごまサバ」もありますが、こちらはゴマを散らしたような模様があるのが特徴で、もしかしたら真サバより多く見かけられるかもしれません。「ごまサバ」は真サバよりも旬が長く、値段も比較的安価。真サバよりやや淡泊な味わいです。
真サバの中でも「寒サバ」は脂がのっているので、生でも焼いても、煮てもおいしいですが、「ごまサバ」はショウガじょうゆで下味をからめて作る竜田揚げや、みそマヨ焼きなど、コクをプラスしたような料理が合います。
サバはコレステロールを下げる不飽和脂肪酸が多く含まれている青魚の一種で、ビタミンB2も豊富なので、最近では健康食材としても注目され、「サバ缶」も空前のブームとなっています。サバのレシピ本などもたくさん出ています。手軽に使えるサバの缶詰ももちろんいいけれど、今が旬の「寒サバ」を堪能しましょう。
今回は、「サバは青魚特有の臭みが気になる」「魚料理はハードルが高い」と苦手意識がある人にこそ挑戦して欲しい、サバの定番料理・みそ煮を紹介します。さらに「サバのみそ煮」を活用したポテトグラタンや、つまみ料理も紹介しますので、いろいろアレンジして楽しんでください。
<材料:2人分>
サバ(2枚おろし) 2枚(半身分) / ショウガ 10グラム / 酒 50ミリリットル / 水 150ミリリットル / 砂糖 大さじ2 / みりん 大さじ2 / みそ 大さじ2と2分の1
まずは「青魚の臭み」を取るための下準備からはじめましょう。
(1)サバの皮に一本切り込みを入れ、両面に粗塩を少々(分量外)ふり、皮面を上にして10~30分置きます
(2)鍋にたっぷりの湯を沸騰させ、(1)のサバをザルに入れ、ザルと共に湯に浸して、サバの表面の色が軽く変わったらすぐに引き上げます。手つきのザルがない場合は、サバを直接鍋に入れてすぐに箸などで取り出してもOK
これは「霜降り」と呼ばれる和食の手法の一つです。煮て味を染み込ませる前に、魚の臭みを取り除きます。
下処理が済んだら、さっそくみそ煮を作りましょう。
(1)ショウガは半分を薄切りに、残りの半分を千切り(針ショウガ)にします
(2)鍋に酒、水、砂糖、みりん、(1)の薄切りショウガを入れて中火にかけ、一煮立ちさせます
(3)(2)に下処理したサバを皮を上にして入れます
*皮を下にして入れると鍋底に皮が引っ付いて、美しい仕上がりにならないので注意
(4)(3)の煮汁を少しボウルに取り、みそを溶きます
(5)溶いたみそを(3)の煮汁に加えます
*いきなりみそを鍋に入れず、あらかじめみそを溶いてから入れることでサバにみそがなじみやすくなります。
(6)落とし蓋(もしくはオーブンペーパー)をして弱火で5分煮て、落とし蓋をはずして3分煮ます。
*時々サバの表面が乾かないようにスプーンで煮汁を上からかけます
(7)器に盛りつけ、針ショウガを飾って完成です
サバの骨からおいしいだしが出るので、ぜひ中骨の付いた二枚おろしを使ってくださいね。
みそは、今回は赤みそ2:淡色みそ1の割合で混ぜ合わせて作りました。サバのみそ煮にはこっくりとした赤系のみそがお薦めですが、手持ちのみそでも大丈夫です。好みのみそでお試しください。
サバのみそ煮は日本酒にも合いますが、「みそ+サバの脂」と赤ワインの相性もとても良いです。ワイン派の方は赤ワインでも楽しんでみてください。もちろん、ご飯のおかずとしても、幅広い年齢層に喜ばれます。
次は今人気の「サバみそ煮の缶詰」でも作ることができるアレンジレシピを2品紹介します。もちろん、前ページで作った寒サバのみそ煮を使ってもおいしく作れます。
1品目は、「サバみそポテトグラタン」
(1)ジャガイモ2個は皮をむいて幅1センチにスライス。水に浸して水気を切り、耐熱皿にのせ、ラップをかけて電子レンジ(600W)で4分加熱する
(2)グラタン用の器に(1)のジャガイモ、粗くほぐしたサバのみそ煮1切れ分(約100グラム)、ピザ用チーズを適量かけ、オーブントースターまたは魚焼きグリルで表面が色づくように焼く
(3)刻んだパセリを飾る
ジャガイモにサバのだしがからみ、みそとチーズの発酵食同士の組み合わせで絶妙な味わいに仕上がります。バケットなどのパン、赤ワインと一緒に食べても美味です。
2品目のアレンジレシピは、「サバみそキムチあえ」です。
(1)市販のキムチ 70~80グラムを粗く刻む
(2)サバのみそ煮1切れ(約100グラム)を粗くほぐし、キムチとあえる
ただあえるだけと、調理はいたってシンプル。白いご飯にのせても、お酒のおつまみとしても合う一品です。こちらも発酵食品同士であるキムチとみそがうまくマッチし、うま味を高め合います。
サバは昔から私たちの生活に浸透してきた身近な食材なので、サバを使った言葉やことわざはいろいろあるようです。
・サバの生き腐れ(外見は新鮮でも、中は腐れ始めていること)
・サバ読み(年齢や体のサイズなどをごまかすこと)
・秋サバは嫁に食わすな(脂ののった秋サバはおいしいので嫁に食べさせるのはもったいない。「秋ナスは嫁に食わすな」と似た言葉。サバは足が早いので、鮮度の落ちたサバを嫁に食わすな、という意味もある)
サバはおいしい食材ですが、足が速い食材としても有名です。購入したら、早めに調理をして堪能しましょう。
(GreenCreate 料理研究家 橋本加名子)
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。