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キャリアコラム

「ゴーン問題」機に見直せ 日本の報酬メンタリティー マーサージャパン 井上康晴プリンシパルに聞く

2018/12/5

とはいえ、米国を中心に経営者と一般従業員の報酬格差が広がりすぎているとの批判が高まっているのも確かだ。こうした動きを受け、米企業では報酬についての情報開示を増やし、透明性を高める動きが出ているという。井上氏は代表例として3つ挙げる。

■報酬の透明性向上に動く米企業

1つは株主総会で一人ひとりの役員の報酬について、株主が賛成か反対かを表明できる「Say on Pay」と呼ぶ制度だ。法的拘束力はないものの、反対が多ければ、企業側も考慮せざるを得ない。実際、反対された役員の報酬を減らした企業の例もあるという。

2つ目は従業員の平均的な報酬に対し、役員の報酬が何倍にあたるかを示す数字「Pay ratio」を開示する動きだ。マーサーによる前述の調査によると、米企業(S&P100)ではCEOの報酬は一般従業員・役員の286.8倍にもなる。日本企業(TOPIX Core30)は23.8倍だ。米ではPay ratioの開示を企業に義務付けるべきだという議論もある。

3つ目は「Realized Pay」や「Realizable Pay」と呼ばれる概念だ。長期報酬のストックオプションなどは権利を行使しないと実際には受け取れない。企業は財務諸表上に費用として計上するのに妥当な金額を計算し、その額をもとに開示している。Realized Payは実際に、その決算期中に役員が権利を行使して確定した報酬額を示す。一方、Realizable Payは役員が将来受け取れると期待される額を示す。どちらも、より実態に即した報酬額を株主に開示しようという流れの一環といえる。

日本企業の事業活動はますますグローバル化し、世界中から優秀な人材を獲得する必要に迫られている。「日本でも高い業績を上げた経営者は、堂々と高い報酬を受け取り、説明責任を果たせばいい。高額批判を恐れ、そこそこの報酬で株主から業績に関する厳しいプレッシャーを回避しようとする経営は、いずれ通用しなくなるのではないか」。井上氏はこう警鐘を鳴らす。

(村上憲一)

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