京都で体感、「和」のホテル新世代 服飾ブランド協力

青をテーマカラーにしたマルダの宿の「青」の部屋
青をテーマカラーにしたマルダの宿の「青」の部屋

外国人旅行客がひしめく京都の街に、「和」の美意識を巧みに織り込んだ、モダンなミニホテルが続々と登場している。いずれも監修するのは日本のファッションブランド。上質な部屋着に趣味の良いアメニティ。建物やインテリアなどのしつらえだけでなく、衣や食にも独特のセンスを生かす。老舗旅館とひと味違う宿の味わいは、日本人客の心にも染み入りそうだ。

ミニホテル、青や赤の部屋

老舗御菓子司や著名旅館が軒を連ねる京都市内の姉小路通に10月、「マルダの宿」が完成した。1階はカフェで、部屋は2~4階に1室ずつしかない。各部屋の名前は「赤」「青」「墨」。内装はその名が示すテーマカラーを基調とし、モダンだ。広さはゆったり60平方メートル。左官が仕上げた壁、シンプルな木のテーブル、細かな小石が埋め込まれた床など、洗練と工夫があやなす空間が五感を刺激する。

ホテル運営のヴィンセント(東京・目黒)が、自然素材の洋服と生活雑貨のブランド「ババグーリ」を展開するヨーガンレール(同・江東)と組んで部屋をデザインした。肌触りの良い部屋着やタオル、香り高いせっけんなど、ババグーリの製品が使え、気に入ればホテルの向かいの店で購入できる。

朝食は古代米のご飯や色とりどりの野菜のおかずが部屋に運ばれる。もともとヨーガンレール本社の社員食堂は野菜料理で有名で、そのエッセンスを生かしている。「部屋にいながら自然の豊かさを感じてもらえたら」とヴィンセントの藤本信行社長。料金は1室1泊5万6000円から。

ヨーガンレールの社員食堂メニューのコンセプトを生かしたマルダの宿の朝食

京都ではインバウンド客の急増に合わせてホテルの建設ラッシュが進む。新規参入が相次ぐ一方で、地元企業のワコールは今春、老朽化した京町家を活用した宿「京の温所(おんどころ)」の展開を始めた。

提案するコンセプトは、「暮らすように土地に親しんでもらえる宿」だ。老朽化した町家をワコールが賃借のうえ改修して宿とし、10~15年運営してオーナーに返却する。

これに力添えしたのが、自然を絵柄にしたテキスタイル使いが人気のブランド「ミナ・ペルホネン」のデザイナー、皆川明さん。宿の名前、ロゴ、コンセプト作りを担う。なかでも二条城の近くに8月に開業した「京の温所 釜座二条」は皆川さんが全体を監修し、建築家・中村好文さんが設計した。

町家の土間は風呂に、トイレだった場所は書籍200冊をそろえたライブラリーに。天井を走る梁(はり)や坪庭の高野槙の大木が、この建物が築150年の町家であることを物語る。キッチンや調理器具を充実させ、室内はミナ・ペルホネンの布地や、皆川さんが選んだアートで飾られている。定員4人の1棟貸しで料金は税別6万円から。

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