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林檎・宮本の楽曲に漂う「売れる違和感」(川谷絵音)

ヒットの理由がありあまる(5)

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NIKKEI STYLE

連載5回目となり、今回はどの曲にしようかと悩んだのですが、これでいきます。『獣ゆく細道』椎名林檎と宮本浩次。

いやぁ、しびれた。林檎さん特有のミュージカル風の曲調に、エレカシの宮本さんのボーカルが重なると、こんなにも重厚になるものかと。宮本さんの声って本当に何でもハマるというか、歌がうまい人って何を歌ってもかっこいい。ただ、エレカシのイメージってロックで熱くて硬派ではないだろうか? そのイメージを覆すおしゃれさなのだ。

売れる曲の条件の1つは「ギャップ」だと思っているのだが、『獣ゆく細道』にはそれが絶妙に当てはまっている。ギャップはもちろん大切なのだが、聴く側はそのいつもと違う違和感を許容するのにある程度時間が掛かるもの。それが許容できない違和感だと、「このアーティストは迷走してるな」と思われてしまうリスクもある。この曲に漂う"売れる違和感"というものは聴き手をスッと許容させるもので、気付くといつの間にかスタンダードになっているのだ。米津玄師だって最初出てきた時に、「不協和音を使うこのギターフレーズって、何なんだ?」と一瞬思ったが、気が付くとそれを米津のスタイルとして受け入れている自分がいた。売れるアーティストというのはそういうものなのだ。

椎名林檎さんも、独特な言い回しの歌詞と唯一無二の声、メロディーで違和感を与え、一気に国民的アーティストになった。まあ違和感とは、いうなれば個性のことで、練習や勉強で出せるものではない。しかし、作ることができる違和感もあって、それがコラボレーションなのだ。林檎さんはこの曲を宮本さんに歌わせることで、あえて違和感を生み出していて、本当に策士だなぁと思う。椎名林檎と宇多田ヒカルという2人はまぎれもなく天才であり、策士なのだ。その2人がコラボした『二時間だけのバカンス』なんて、あまりにも尊すぎる1曲だ。

おっと、話がそれてきたので戻すが、『獣ゆく細道』は曲の長さも3分40秒ぐらいですごく聴きやすいし、僕が毎回言っている「畳み掛けの法則(※)」に当たる、歌の怒涛(どとう)の畳み掛けもある。それに加えて、林檎さんの曲は演奏がかっこいいから間奏もずっと聴いていたくなる。実際、間奏が飽きないアーティストってなかなかいないのが事実で(だからこそ、「畳み掛けの法則」なんて言葉が生まれるわけなんだけど)。林檎さんは、間奏で聴かせられる稀有(けう)なアーティストだと思う。

極論かもしれないが、楽器をやっている人が主に間奏を楽しめて、楽器をやっていない人は間奏を楽しめないというのが、普通だと思う。楽器を弾かない人からすると、歌を聴きたいわけだし。特に日本人は歌が好きだ。でも、洋楽って間奏を楽しめませんか? 曲にもよると思うが、英語の歌詞って内容が分からないから、日本語より歌の比重が無意識に下がるのだ。だから自然と演奏に耳がいく。一方、日本語100%の歌詞だと、歌ばっかり聴いてしまうわけだ。

林檎さんの歌詞は英語の場合もあるが、日本語の時も林檎語といっていいくらい独特で。これが良い違和感を与えるとともに、間奏に耳を傾けさせる要因となっている。今回の曲も林檎節が炸(さく)裂していて、声や音として耳に入ってくるので、無意識に演奏も歌も楽しめてしまう。そんななかで急に、日本語100%の歌詞が入ってきたりもするもんだからドキッとする。今回でいえば「正体は獣」という部分なんかがそう。難しいメロディーなのに、一緒に歌ってしまいそうになるぐらい気持ちが上がるのだ。でも、そもそも林檎さんの曲のアレンジが攻め攻めで毎回クールだということが、歌も演奏も楽しめる大前提ではあったりするのだが。あぁ字数が足りない。なので、それについてはまたどこかで。エレカシの曲を聴きたくなったから聴きますね。ではまた。

※川谷が最近のヒットに共通する特徴の1つだと考える、間髪入れずまくしたてるように歌うことで聴く人を圧倒する曲調のこと

川谷絵音
1988年12月3日生まれ、長崎県出身。ゲスの極み乙女。、indigo la End、ジェニーハイ、ichikoroといったバンドのボーカルやギターとして多彩に活動中。12月末の「COUNTDOWN JAPAN」に、ゲスの極み乙女。とindigo la Endが出場する。

[日経エンタテインメント! 2018年12月号の記事を再構成]

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