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ショコラ大国フランスに挑む 明治のカカオ菓子職人

2018/12/6

アンペリアル・ショコラの主催者、世界各国最高峰の菓子職人が名を連ねる協会「ルレ・デセール」の名誉会長フレデリック・カッセルさんと、日本から唯一招待された明治の宇都宮洋之さん

パリから南東に70キロ、8世紀にわたり歴代フランス国王が居を構えた、世界遺産フォンテーヌブロー城がある。街路樹が黄金色に輝く11月半ば、この由緒ある宮殿で、パティシエ界の世界的権威が主催するチョコレートの祭典「アンペリアル・ショコラ」が開催された。ここに日本から唯一招待されたのが、カカオクリエーター宇都宮洋之さんを擁する明治。入社以来25年間、チョコレート一筋に良質なカカオを求めて世界を駆け巡り、熱帯のジャングルで現地の農家と汗を流してきた宇都宮さんが、満を持してショコラ大国フランスに挑んだ。

アンペリアル・ショコラは、フランスをはじめ、世界各国の最高峰の菓子職人が名を連ねる協会「ルレ・デセール」の名誉会長フレデリック・カッセルさんが主催する、チョコレート菓子の技術と魅力を世界に発信するイベントだ。出展は原則、フランス国家最優秀職人章(MOF)を与えられた菓子職人や、フランスの老舗店などに限られる。出展料を払えば出られる類いのイベントではない。自らも一流パティシエとして活躍し、ルレ・デセール会長として数多の名職人をみてきた、そのカッセルさんが直々に「このイベントに出てみないか」と声をかけたのが宇都宮さんだった。

中世から近代まで8世紀にもわたり歴代フランス国王が居住したフォンテーヌブロー城 ここでアンペリエル・ショコラが開催された

フランス人職人の技術と誇りが結集したイベントに、なぜ宇都宮さんが選ばれたのか。カッセルさんの答えは極めて明快だ。「彼はカカオのクオリティーに絶対的な自信を持っています。そして私でさえ、人生で一度しか見たことのないホワイトカカオをよみがえらせようとしている。素晴らしいと思いました」。

1993年の入社以来、一貫してチョコレート作りに携わってきた宇都宮さん。当時、カカオは海外で生産されたものをただ買い付けるだけだったが、素材を前面に打ち出していくなら、より上流からかかわることが必要だと考えていた。「日本が購入しているカカオは、世界のたった1%。量も買わない、(チョコレートの)歴史もない、産地での人間関係もない。それでは良い素材がなかなか手に入らない」。研究開発にまい進する一方で、変わらない状況にもんもんとするなか、転機は2005年に訪れる。

「産地に行かせてください」。カカオ基礎研究グループ長に任命されたのを機に、カカオの栽培から携わりたいと上司に直訴した。幸い、熱意が通じ、ほどなく、南米ベネズエラのジャングルと日本を往復する日々が始まった。1カ月現地に滞在し、2、3カ月帰国する。それを繰り返した。現地の農家と関係を築くのは、もちろん一朝一夕ではできない。

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