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私のモノ語り

サラ・オレイン 東大才女の孤独時代を支えたのは

2018/12/7

サラ・オレインさん。2018年10月にベスト盤「Timeless~サラ・オレイン・ベスト~」をリリースした

NHK大河ドラマ「西郷どん」の「大河紀行」テーマ曲で柔らかで清らかな歌声を響かせるオーストラリア・シドニー出身のアーティスト、サラ・オレインさん。

幼少期からバイオリンを学んだサラさんは、イタリア語なども堪能なマルチリンガル。シドニー大学在学中の2008年に、世界で25人が選ばれる東京大学の留学生となり来日したという折り紙付きの才女でもある。

突出した才能ゆえに、いじめに遭うなど孤独を感じたことも多かった少女期。そんなサラさんを支えてくれたのが、ドイツ生まれのぬいぐるみだったという。

◇  ◇  ◇

音楽を専門に学ぶ中高一貫校に通っていましたが、1学年が1クラスだけで人数も30人ほど。とても狭いコミュニティーでした。ささいなことから仲間はずれに遭い、学校に行くことがつらくなって……。両親に相談すると、普段は厳しかった親も理解を示してくれ、学校をやめ、自宅で通信学習することになりました。

でも、一人っ子でペットもいない。10代の女の子にとって、ものすごい孤独でした。精神的に不安定な時期でもあり、大好きなバイオリンと当時夢中になっていたイタリア語の大きな辞書だけを持ってプチ家出をしたこともありましたね(苦笑)。

ドイツ生まれのNICIというブランドのぬいぐるみと出合ったのは、そんな多感な時期でした。母親とシドニーの街中にあるショッピングセンターへ出かけ、クラブツリー&イヴリンというナチュラル・フレグランス・ショップを何気なくのぞいたら、たまたまコラボしていたぬいぐるみに目が留まったんです。直感的、衝動的に「買いたい!」と思いました。しかも、見た瞬間に「この子の名前は、クーピーだな」って思ったんです、不思議ですよね。

買って帰ると、すぐに仲良くなりました。「不思議ちゃんなのかな?」と思われるかもしれませんが、子供の頃からぬいぐるみに興味はありませんでした。むしろ中身がどうなっているか気になって解体してしまったこともあるくらいです(笑)。

右がお姉さんの「クーピー」。左が妹の「ビークー」

そんな私が、16歳になって「どうしてもぬいぐるみが欲しい」と思うなんて、自分でも理解できませんでしたが、今思うとそれだけ孤独だったのでしょうね。姉妹や家族、クラスメートなど、いろんな役割をクーピーは果たしてくれました。次第にクーピーが一人では気の毒になり、1年後にひと回り大きなぬいぐるみも買いました。「大きなクー」という意味で「Big Coo=ビークー」という名前にしました。体は大きくても、妹です(笑)。

バッグにこっそり隠して、一緒に映画館に行ったこともあります。不安だった当時の私にとって心の支えで、ある意味で神のような存在。本当に彼女たちに救われました。

シドニー大学に進学すると、生活は好転しました。同じ目的や目標を持つ仲間が増え、友達もたくさんできたんです。東京大学への留学も楽しい思い出しかありませんね。違うバックグラウンドでありながら、日本に興味がある共通点を持つ25人の仲間ができました。寮生活も含め、新たな国を体験するのはとても新鮮で、いい刺激をたくさんもらいました。

2人を抱っこすると顔も自然に和む

そんなとき、ふと思い出したんです、シドニーに置いてきた2人を。自分が落ち込んでいるときだけ頼りにして、都合が良すぎるんじゃないか。もしかしてバチが当たるかも……と思い(笑)、母に頼んで送ってもらいました。それ以来、ずっと一緒です。車の後部座席にシートベルトをかけて旅を楽しんだり、ぬいぐるみ専門の「温泉」にも連れていったりしました(笑)。

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