日本語はアニメで勉強しました

東京大学で音楽と言語学を専攻しました。音楽も言葉もコミュニケーションツールで、私には親しみやすいんです。ラテン語にはじまり、イタリア語やフランス語などをパズルや暗号を解読する感覚で学んできましたが、文法がまるで違う日本語は難しい言語だなと思いました。

母は日本人ですが、「日本語は必要ない」と家では一切使ってこなかったんです。そんな私の日本語の先生は、スタジオジブリの映画「天空の城ラピュタ」などのアニメーションでした。外国の言葉を身につけたい人は、初めは易しいアニメなどを繰り返し見るといいかもしれませんね。

たとえ仕事で必要であっても「勉強しなきゃ」と思うより、「これがしゃべれるようになったら旅ができる」「現地の文化をより深く知れる」と思う方がやる気が出ますよね。語学を身につけるには、学ぶための動機、情熱が必要だと思うんです。私はもともと日本文化に興味があり、しかも日本にルーツがある。楽しみながら学べたのはラッキーでした。

仕事をしながら、さらに理解を深めることもあります。「おとなの基礎英語」(NHK Eテレ)でご一緒した松本茂先生はダジャレが大好き。私も先生に負けないよう、隙さえあればダジャレをその場で考え、即興で連発していました(笑)。相手が興味のあるものに自分から歩み寄るとその人も少しリラックスできるでしょうし、私にとっても新しい世界が開けました。

地方に行くたびに、インスタグラムに方言で動画をアップしている

今最も学んでみたい言語は「方言」です。同じ県でも地域によって違ったり、奥が深いですよね。コンサートやキャンペーンで地方に行くたび、「代表的な方言はなんですか?」「どう発音すればいいですか?」と現地の方にヒアリングしたり、タクシーや飲食店で聞き耳を立てていたりします(笑)。

表現者としてチャレンジを続けたい

新しい世界というと、J-POPなどの日本の歌も日本に来て初めて知った世界です。音楽活動が目的で留学したわけではないのに、たくさんの方の力添えでデビューできました。それだけでも驚きなのに、5周年を記念したベストアルバム「Timeless~サラ・オレイン・ベスト~」までリリースできるなんて信じられない気持ちです。最近は「シネマ・ミュージック」という映画音楽コンサートで、歌唱や演奏だけでなく舞台演出などトータルで手がける挑戦もしています。憧れのチャールズ・チャップリンのように、マルチに活動できたらいいですね。

日本で活動を始めたころは、「歌手なの?」「バイオリニスト?」「ソングライター?」と尋ねられ答えに困ったり、「あれこれ手をつけたら中途半端になるよ」と言われてショックを受けたりしたことも。ですが、「二刀流」で頑張るメジャーリーガーの大谷翔平選手のような人が出てきたように、変わってきたのかなと感じます。

この先もコアにある「表現者」という部分はブレることなく、いろんなことにチャレンジしたいです。音楽活動はもちろん、映画を作ったり、海外でパフォーマンスするなどいろんな形で表現してみたいなと思っています。

チャールズ・チャップリンのようにマルチに活躍するのが目標だという
サラ・オレイン
1986年10月8日生まれ、オーストラリア出身。「サラはヘブライ語で姫、オレインはゲール語で美しいという意味」だという。シドニー大学在学中からバイオリニストとして活動する傍ら、2010年に大学を最高点で卒業した。12年にアルバム「セレステ」でデビュー。洋邦楽の名曲カバーや自身が手がけた数多くのタイアップ曲を収録したベスト盤「Timeless~サラ・オレイン・ベスト~」に、映像作品「シネマ・ミュージックwithサラ・オレイン」やフォトブックなどを収めた「Timeless~サラ・オレイン・ベスト [完全生産数量限定スペシャルBOX]」を12月19日にリリース。

(文 橘川有子、写真 藤本和史)

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